チャッカブーツを一言でいうと、くるぶし丈のブーツ。
羽根に2~3組のシューホールが設けられ、アッパーはつま先革と腰革の2つのパーツで構成されているのが特徴です。
チャッカブーツと聞くと、
とネガティブな印象を持っている人は少なくないでしょう。
事実、ストレートチップの短靴のようにフォーマルな場に履いていけるわけではなく、かといって、ブーツのようにアウトドアでもガシガシ履けるわけでもなく。
使いどころに迷う革靴ではあります。
ただ、チャッカブーツにはチャッカブーツの良いところがあります。
というのも、チャッカブーツはカジュアルすぎず、フォーマルすぎない革靴なので、カジュアルな恰好をきれい目に仕上げてスタイリングを洗練させます。
また、オフィスカジュアルシーンで履けば、カッチリし過ぎない雰囲気で抜け感を出しつつ、かといって、フォーマルさも忘れないバランスを提供。
冠婚葬祭やガチのアウトドアには対応できずとも、その間、中庸的な立ち位置で運用領域は広く、汎用性が高いです。
チャッカブーツを買う前は、
と思いがちですが、購入後はついついヘビロテしてしまうシューズ。
それがチャッカブーツです。
本記事ではチャッカブーツの特徴とおすすめチャッカブーツを紹介します。
- チャッカブーツの利点は?
- チャッカブーツのおすすめモデルを知りたい
- チャッカブーツを履いたスタイリングはどんな感じ?
チャッカブーツはくるぶし丈の革靴
チャッカブーツはくるぶし丈のブーツを指します。
チャッカブーツの名称の由来は諸説ありますが、ポロ競技から生まれた説が有力です。
チャッカブーツの「チャッカ」はポロ競技が由来
チャッカブーツのチャッカ(ChukkerもしくはChukka)とは、ポロ競技の時間の単位を指します。
1チャッカは7分間というのは豆知識。
ポロ選手が履いていたカジュアルなブーツがチャッカブーツの起源といわれています。
革靴にとって、起源は履き方や使用シーンを決定する重要な情報ですからね。
知っておいて損はありません。
チャッカブーツはスポーツが起源のため、フォーマルシーンには不向き。
ダークスーツなどのフォーマルな装いに合わせるのはNGです。
チャッカブーツはちょうど良いバランスの革靴
しかし、チャッカブーツはフォーマルすぎず、カジュアルすぎない絶妙な塩梅の革靴です。
そのため、様々なシーンで履けるのが魅力。
チャッカブーツの使用シーンとして、例えば、
- ビジネスシーンでも私服で対応する場合に足元を彩る
- フォーマルすぎる格好をカジュアルダウンする
上記のシーンで重宝します。
チャッカブーツのデザインの特徴
さて。
チャッカブーツには様々なバリエーションがありますが、基本的なデザインの特徴は以下の通りです。
- くるぶし丈のアッパー
- 2~3組のシューホール
チャッカブーツの伝統的なデザインはカーフスエードのラウンドトゥ。
ヴァンプ(つま先革)とクオーター(腰革)の2種のパーツが組み合わさってできています。
また、チャッカブーツは薄いレザーソールを用いることで履き心地を向上させている場合が多いです。
後述の、チャッカブーツと似ているデザートブーツにはクレープソールが採用され、歩行時の返りを良好にしています。
ウィンザー公が有名にしたチャッカブーツ
ここで、チャッカブーツに関する豆知識を1つ。
チャッカブーツを有名にしたのはイギリスのウィンザー公です。
革靴の歴史を語る上でイギリスの歴史や王室を知ることは必要不可欠。
ウィンザー公は1920~1930年代にポロ競技に精通。
ファッションアイコンでもありました。
現代でいうところのインフルエンサーともいうべき存在。
ウィンザー公がチャッカブーツをよく着用したため、多くの男性に浸透し流行。
その後、ファッションの定番アイテムとして定着しました。
チャッカブーツと似た革靴
実はチャッカブーツとよく似ている革靴があります。
それが、
- デザートブーツ
- ジョージブーツ
です。
パッと見はどれも同じデザインのブーツに見えますが、誕生した背景や細かなデザイン、特徴が異なります。
違いを見ていきましょう。
デザートブーツ
デザートブーツはチャッカブーツと同じデザインの革靴です。
2組のシューホールを持ち、靴底に天然ゴムを使ったブーツ。
合成ゴムソールのデザートブーツもありますが、基本的に天然ゴムを使った靴をデザートブーツと呼びます。
デザートブーツは1950年代にクラークス社が発表し、そこから1960年代にかけて流行しました。
今では定番のシューズですね。
デザートブーツの特徴としてはライニングがなく、ソールが天然ゴムのクレープソールのため、非常に軽量です。
また、履き心地は柔らか。
デザートブーツはチャッカブーツよりもカジュアルな靴の位置付けでアウトドアに向いたシューズ。
もともとが戦場で履かれていた靴から着想を得ていますからね。
ジーパンやチノパンなどのリラックススタイルのボトムスと相性が良いです。
ジョージブーツ
ジョージブーツはデザートブーツ同様に、チャッカブーツと類似したデザインのシューズです。
イギリス国王の名前が由来。
ジョージ6世が軍用ブーツとして生み出しました。
ジョージブーツは3組のシューホールが特徴。
ジョージブーツは軍人の夜会正装と合わせて着用され、比較的フォーマルな使い方もあり。
将校用のドレス靴です。
ブラックやブラウンのカラーリングで革種としては、
- カーフ
- スエード
- エナメル
を使います。
ジョージブーツはチャッカブーツよりも高い位置にシューホールがあり、ジョージブーツの方がやや丈が長いです。
これはジョージ6世が靴紐が足元から見えるのを好まなかったから。
ジョージブーツは軍用靴でもあり、将校の正装に合わせる用途もあるため、チャッカブーツよりも重厚な作りであるにも関わらずフォーマルなシルエット。
何かと便利。
質実剛健なくるぶし丈のブーツです。
デザートブーツとジョージブーツはチャッカブーツとは異なる
デザートブーツとジョージブーツは、チャッカブーツとは似て非なるシューズ。
ですが、デザインは非常に似ているため、近年では区別があいまいになっている節があります。
革靴好きとしては、しっかり見分けられる知識と経験を身に付けたいものです。
チャッカブーツの定番モデル3選
チャッカブーツには多くのモデルがあります。
定番の革靴なので、取り扱っているシューズメーカーが多いです。
いざチャッカブーツが欲しいと思ったとき、モデルが多すぎてどれを選んで良いのか分からなくなります。
そこで、この項目ではおすすめのチャッカブーツを紹介します。
おすすめの基準は、
- 美しいデザイン
- ブーツならではの堅牢さ
を持っているか、です。
ではどうぞ。
オールデンの1339
オールデンの1339はコードバンを使ったエレガントなチャッカブーツです。
ダークバーガンディカラーの妖艶な雰囲気とコードバンの強いツヤが相乗効果を発揮。
芸術品のような美しさを纏ったチャッカブーツ。
ダブルソール仕様でガンガン履いても安心の頑丈さが魅力です。
その分、履き下ろし直後は硬い歩行感ですが、徐々になじんで足にピッタリついてくる極上の履き心地に仕上がります。
上品な見た目とカジュアルに履ける気軽さを両立した素晴らしい1足です。
チャーチのライダー
チャーチのライダーはカーフスエードのアッパーが可愛らしさと上品さを醸し出す独特の1足です。
毛並みが揃った上質なスエードは、スムースレザーとは性質の違う美しさを放ちます。
クレープソールの履き味は柔らかく、履き始めから快適にガシガシ履けます。
その分、削れやすいのがクレープソールの欠点。
ですが、グッドイヤーウェルテッド製法の採用によりソールを修理交換しつつ、長く愛用できるチャッカブーツに仕上がっています。
クロケット&ジョーンズのチャートシー
チャートシーは、1960年代半ばからデザインを変えずに作られてきたクロケット&ジョーンズの定番チャッカブーツ。
多くの支持を集めるモデルでイギリスを代表するチャッカブーツの1つです。
オールデンのチャッカブーツと同じく、ホーウィン社のシェルコードバンを使ったモデルが展開されており、スタイリッシュな足元を演出できる革靴です。
甲がやや高めでかかと小さめ。
日本人の足にフィットしやすい木型なのも嬉しいポイント。
ベーシックなチャッカブーツが好みならおすすめのモデルです。
イギリスの伝統的なラウンドトゥを採用しつつも細身でドレッシー。
チャートシーならではの特徴ですよ。
チャッカブーツの使用シーンと着用例
筆者の場合、チャッカブーツの主な使用シーンは休日のカジュアルスタイル。
デニムパンツやカーゴパンツなど、カジュアルなボトムスに合わせると足元にフォーマルな印象が加わり、スタイリング全体のバランスが取れます。
カジュアルになり過ぎず、大人コーデが完成しますよ。
ツヤめくコードバンのチャッカブーツなら足元を軽い印象に。
合わせる服装や履いて行く場に合わせて履き分けるとオシャレ。
チャッカブーツは1足だけでなく、素材違いで複数足持っておくと何かと重宝します。
まだチャッカブーツを履いたことがない人は、とりあえず1足買ってみてください。
予想以上に使いやすく、2足、3足と欲しくなる魅力を持った革靴だと気付くはずです。
夏でも履けるチャッカブーツ
チャッカブーツは通常のブーツではなく、ショートブーツです。
一般的なブーツの場合、ふくらはぎ手前くらいまで靴が覆うため、秋冬に最適。
逆にいえば、夏場は暑いです。
蒸れますし、見た目にも暑苦しくなります。
ですが、チャッカブーツならくるぶし丈なので、暑くならずに通常のブーツよりも見た目が軽快。
夏でもOKです。
シンプルで面白みがなくなりがちな夏のファッションを足元から彩ります。
Tシャツにジーパンのラフなスタイリングにチャッカブーツを合わせると、足元が華やぎオシャレなコーディネートになりますよ。
当然、春・秋・冬にもチャッカブーツは大活躍。
オールシーズン履けるのが通常のブーツにはないチャッカブーツの強みです。
チャッカブーツでカジュアルとフォーマルのはざまを楽しもう
本記事ではチャッカブーツの特徴とおすすめモデルを紹介しました。
くるぶし丈のブーツであるチャッカブーツは完全にフォーマル寄りではなく、完全にカジュアル寄りでもない、中庸の位置付けの革靴です。
見方を変えれば中途半端かもしれませんが、裏を返せば極端なシーンを除き、幅広い場面で着用できる汎用性の高さを持ちます。
普段のラフなオフィスシーンから休日のクラシックスタイルまで。
足元を上品に、それでいて、カッチリし過ぎない雰囲気へまとめてくれます。
まだ履いたことがない人にとっては、
と思われがち。
ですが、1度履いて日常を過ごしてみるとその印象が一変。
とても使いやすい革靴だと分かります。
なんてことがあるかもしれません。
筆者のように。
それでは、今回はこの辺で。
この記事がチャッカブーツの魅力に気付くきっかけになれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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