化粧釘は革靴の靴底に打たれている釘です。
飾り釘とも呼びます。
疑問を抱く人は少なくないかと。
そもそも必要なのか、気になりますよね?
結論、化粧釘というだけあって、ほぼほぼ飾りみたいなもの。
見た目を整えてエレガントな雰囲気にあるための意匠が化粧釘です。
しかし、化粧釘には実用的な側面もあります。
化粧釘は靴底を華やかにするだけでなく、
- 靴底の固定
- 靴底の削れ防止
といった機能的な面があります。
控えめながら確かなメリットを感じられる革靴のデザインです。
本記事では革靴の化粧釘の役割とメリット・デメリットについて説明します。
- 化粧釘って何のために打ってあるの?
- 化粧釘の効果って何?
- 化粧釘って必要なの?
化粧釘は靴底を彩るオシャレデザイン
化粧釘は革靴の靴底に打ってある釘のこと。
百聞は一見に如かず。
化粧釘、別名「飾り釘」を見てみましょう。
靴底を見てみると…
化粧釘が何本も打ってあります。
エレガントで上品な印象。
靴底が映える感覚を覚える仕上がりです。
化粧釘というだけあって、まさに靴底を化粧したような感じ。
手間が掛かっているのが分かる仕様。
実際、化粧釘が打たれている革靴は価格高め。
化粧釘の材質は真鍮製が多いです。
こちらの靴もその例にもれず。
釘自体は深く打ち込まれ、表面が平らにならされています。
歩いたとき、床に傷を付けないための工夫です。
こちらのJ.M.ウエストンの革靴に関していえば、つま先にも化粧釘が施されています。
ウエストン(WESTON)の頭文字「W」と打たれた釘が洒落ていますね。
化粧釘は実用的
化粧釘は見た目を彩り整えるデザインですが、実用的な側面を持ち合わせています。
それは、
- 革底の削れを防げる
こと。
例えば、つま先の部分。
実際に革靴を履いて歩いてみると…
化粧釘付近は削れが防げていますね。
つま先に打たれた化粧釘は革底の削れを抑えてくれます。
というのも、革靴のつま先は歩行時に地面と接触してガリガリと削れていきます。
革は靴底の素材の中で比較的弱い材料。
だからこそ返りが良く、履き心地が快適なのですが…。
摩擦によってどんどん削れていくのが弱点です。
革底のつま先部分は購入後、すぐに修理に出さなければいけなくなることもしばしば。
しかし、つま先に化粧釘が打たれていると削れを緩和してくれます。
化粧釘は金属製なので、革よりも頑丈。
つま先に化粧釘を打った靴底の革ももちろん削れるのですが、一定以上削れた後は金属の化粧釘が衝撃を代わりに吸収。
歩行時に加わる革底へのダメージの身代わりとなってくれます。
かかと部分も同様です。
ヒールの外側に配置された化粧釘はかかとの革削れを緩和。
結果として、革底の張替え時期を遅らせます。
オールソール含め、靴底の修理スパンを長くできますよ。
化粧釘は単純な飾りではなく、実用的な側面も持ち合わせたデザインなのです。
化粧釘のメリット・デメリット
靴底に化粧釘を打つことで得られる効果はいくつかあります。
良いところもあればイマイチなところも。
具体的にいうと、メリットとデメリットは以下の通り。
- 靴底がエレガントになる
- 削れの抑制
- 靴底の交換時期の判断に活用可能
- ヒールの固定
- すべりやすい
- 床を傷付ける可能性がある
- 歩いたときに音が出やすい
メリット|靴底がエレガントになる
化粧釘は金属の高級感がソールを彩ります。
冒頭の通り、化粧釘は別名「飾り釘」と呼ばれるだけあって、装飾の意味合いがあります。
実際、化粧釘は1足で数万円から数十万円クラスの高級革靴に施されていることが多いです。
靴底に打たれた化粧釘は目立たない部分ですが、見えないところにもこだわりが詰まってる、それこそが高級革靴たる所以。
化粧釘はその象徴の意匠なのです。
メリット|削れの抑制
化粧釘は革底の削れを抑制する効果があります。
靴底の削れ対策の定番はビンテージスチールやラバーを取り付けること。
ですが、化粧釘で多少なりとも削れを抑制できます。
革底に加わる衝撃を化粧釘が受けてくれるためです。
ビンテージスチールほどではないですが、化粧釘は金属なので革よりは耐久性があります。
メリット|靴底の交換時期の判断に活用可能
化粧釘は靴底の交換時期を判断するのに活用できます。
というのも、化粧釘は真鍮製のものが多く、鉄やステンレスほどの強度はありません。
革ほどは削れないけれど、全く削れないというわけでもないのです。
化粧釘は履き続けていると、釘の頭が平たく伸びてきます。
釘が平らに伸びきって、履き始めよりも明らかに面積が大きくなっているのなら靴底の交換時期です。
メリット|ヒールの固定
化粧釘は今でこそ飾りの意味合いが強いですが、もともとはヒールの固定のために打たれていました。
現在でも、ヒールの化粧板(積み上げ板)の固定として活用されることは少なくありません。
時代とともに接着剤の性能が上がってきたとはいえ、化粧釘を打ち込んで物理的にヒールを固定するのは安心感が違います。
革靴を履いて歩いたとき、一番強い負荷がかかるのは靴底のかかと部分です。
万が一、かかとの接着剤が劣化した場合でも化粧釘を打ち込んであれば、かかとの積み上げ部位が外れてしまうのを防げます。
デメリット|すべりやすい
化粧釘はメリットが多いですが…。
一方でデメリットもあります。
化粧釘は、打ち方によっては歩いたときにすべりやすくなります。
化粧釘は金属製の釘を靴底に打っているため、革以上にツルツルとすべる特性があるからです。
しかし、真鍮製の化粧釘ならすべりやすさは比較的軽め。
鉄製の釘と比べるとすべりにくいです。
そのため、真鍮製の化粧釘がおすすめです。
デメリット|床を傷付ける可能性がある
化粧釘は金属製。
床や地面に接触して傷付けてしまうリスクがあります。
カーペットなどの柔らかい素材の上を歩くときは特に注意が必要です。
繊維に引っかかってしまいますからね。
とはいっても、基本的には化粧釘は床を傷つけないように、考え抜かれた位置に打たれていることがほとんど。
デザイン性を追求して化粧釘をそこかしこに打っている革靴の場合のみ、心配すればOK。
化粧釘が床を傷つける行為は紳士とはかけ離れた行為です。
たくさんの化粧釘を打った革靴を履くときは、行く場所のことを考えて履くかどうかを決めましょう。
デメリット|歩いたときに音が出やすい
化粧釘のデメリットはもう1つ。
化粧釘を打った靴底は歩いたときに金属音が鳴ることがあるのです。
その音もまた、履いている本人にとっては気分が上がる要因となるのですが…。
周囲の人はそうは思わないかもしれません。
人によっては不快に感じるかも…。
とはいえ、真鍮製の化粧釘の場合、靴底と共にすり減るため音が鳴ることは少ないです。
靴を作る際の追い込み処理で釘が深く刺さり、化粧釘が床や地面に直に触れないパターンもあります。
最近のこだわり抜かれた高級革靴では、心配するほどのことではないデメリットではありますね。
靴底を守る化粧釘
本記事では革靴に付けられた化粧釘のメリットとデメリットをまとめました。
飾り釘とも呼ばれる化粧釘は靴底に打って高級感を高めるデザイン。
エレガントな高級革靴に多い意匠です。
また、化粧釘はデザイン面だけではなく、機能的な側面も合わせ持ちます。
革底が削れるのを抑え、ヒールパーツの固定に一役買ってくれますよ。
すべりやすさや床を傷付けるかもしれないリスクがありますが、履き方や状況をよく注意すればデメリットの影響は最小限に。
高級感を高めるだけでなく、革靴を楽しく履くために化粧釘の存在は忘れることはできません。
革靴選びの際には化粧釘にも注目してみてはいかがでしょうか?
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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