革製品のケアとして、クリーナーでの汚れ落としがあります。
革靴や革小物の場合、表面についた汚れを落として栄養クリームで水分や油分を補給する一連の流れがあります。
でも、洋服等の構成要素の一部として革が使用されている場合、ケアはどうしていますか?
そんなとき、僕は構わず革も一緒に洗濯しています。
というのも、洗濯で革が水に濡れたとしても、その後のケアをすれば何の問題もないからです。
本記事では部分的に革が使われた衣類を洗濯した後の扱い方について解説します。
衣類に部分的に使われた革はどう扱う?
革のケアには専用のクリーナー、衣類には衣類用洗剤をそれぞれ使いたいところ。
ですが、革がデザインの一部として服などに付いていて取り外しができない場合、困りますよね?
- 洗濯すると革まで水に浸かってしまう…
- かといって、洗濯しないのはちょっとなぁ…
洋服は洗濯しなければ不衛生ですよね…。
とはいっても、革を取り外すことはできない…。
となると、どうしたって革も一緒に洗濯しなければなりません。
でも、革は水に弱いです。
水に濡れた革は繊維が水分を含むことで柔らかくなり、そこへ強い負荷が加わると型崩れが発生することがあります。
また、革が乾燥する際、急激に水分が蒸発すると革の繊維が乱れてしまい、革の変形につながります。
さらに、水分の蒸発に伴って、革に必要な油分も抜けてしまいます。
こういった理由から革は水に弱いといわれ、革製品の水洗いはある程度のリスクを孕むものだといわれるわけです。
ですが裏を返せば、それらに対して、
ということでもあります。
何事もアフターケアが大事ということです。
革を洗濯するとどうなる?
アフターケアすれば良いとはいうものの、漠然とした上記の不安がありませんか?
事実、革製品をただ水洗いするだけだと、乾くときに革自体の水分が蒸発。
革が硬くなります。
ただ、革製品は水洗い可能。
洗った後にしっかりケアして油分を補給すれば、何の問題もありません。
実際、クリーニング店でも革は水洗いします。
水で洗うと革中の潤いと栄養が失われるので、革に栄養補給することはクリーニング店でも欠かしません。
ただ、革への栄養補給はクリーニング店の専売特許ではなく。
自宅でもできます。
保革用クリームをはじめとしたケア用品を持っていれば、自宅での洗濯が可能。
注意点としては洗濯後の革はしっかり乾燥させること。
洗濯後は形を整え、日陰において干すことが重要。
日なただと乾燥が早すぎて、過度に革が収縮する恐れがあるためです。
2~3日程度じっくり時間をかけて乾燥させた後に保革しましょう。
革製品は水に浸けすぎると型崩れします。そのため、洗濯後は速やかに水から出して形を整えて干すことが重要です。
水に濡れた革はどうすればダメージを抑えられるのか
濡れた革。
つまりは、
- 洗濯した後の革
をどのように取り扱えば良いか、具体的な手順を下記にまとめました。
- 形を整える
- 風通しの良い場所で陰干しする
- 革に油分を与える
各ポイントがなぜ必要なのかを説明していきます。
水に濡れたら…①形を整える
革を洗濯したら、もしくは水に濡れてしまったら、まずは形を整えることが大事です。
これは、洗濯シワや革繊維の乱れを防ぐためという目的があります。
濡れた革は柔らかくなりますが、それが乾くときに再度硬くなるのです。
濡れた状態の革は非常に柔らかいため、通常の濡れていない状態のときには成り得なかった歪んだ形状になっていることもあります。
その状態のまま革が乾くと、歪んだ状態のまま革が固定されてしまい、元の形に戻らなくなってしまうことがあるのです。
美しい形を維持したいのであれば、しっかりと形を整えましょう。
水に濡れたら…②風通しの良いところで陰干しする
形を整えた後は、風通しが良く直射日光が当たらない場所で陰干しします。
風通しの良い場所は革から蒸発した水分がその場にとどまらないため、湿気がこもった環境を防ぐことができます。
陰干しというのもポイントで。
日光が直接当たる場所に置いておくと、革に含まれた水分の蒸発が急速に進み、革の繊維が一気に収縮して革の硬化も一層ひどくなります。
自然乾燥が鉄則です。
同じ理由で乾燥機やドライヤーの温風やストーブの近くでの乾燥も厳禁。
革の風合いをキープするために意識しておきましょう。
水に濡れたら…③革に油分を与える
革を乾かしたら、保革のため油分補給を行います。
水に濡れた革は水分が乾燥するにしたがって、革に含まれていた油分も一緒に抜け出してしまうのです。
イメージしやすい例としては、ジーパンの革パッチですね。
革パッチが徐々に硬くなっていくのは、洗濯を繰り返すうちに、徐々に革パッチに含まれている油分が水分と一緒に抜け出してしまうから。
こういったことを繰り返して、革に含まれる油分が極端に少なくなると、革自体にひび割れが生じます。
元の状態に戻らなくなるという最悪の事態になってしまうのです…。
そうならないために、革から抜け出してしまった油分を改めて補給してあげる必要性が出てくるわけです。
革の洗濯の例として帽子の革製アジャスターをケアする
一部が革でできている衣類の一例として、帽子をあげてみます。
こちらはフランスのブランドであるべトンシレ(BETON CIRE)のキャップで、モデル名はミキ(MIKI)。
フランス・ブルターニュ地方のフィッシャーマンが使用している、伝統的な帽子のスタイルがインスピレーションの源となった帽子です。
海上の強い強風に飛ばされないようにツバを無くして、周りの音が聞こえるように耳に掛からないようにデザインされた逸品。
後ろにはアジャスターがついていますが、これ、実は革ベルトなんです。
革なのでなるべく水につけたくない、つまり、洗濯は避けたいところではあります。
ですが、これは帽子。
かぶっていると汗をかくこともしばしば。
夏もガンガン使っていますから、洗濯しないという選択肢はあり得ません。
今回も洗濯して、陰干しまでしています。
それがこちらの状態です。
洗濯乾燥直後なのでカサついている印象。
潤い補充が必要です。
ということで、革アジャスターへの油分補給を実践。
使用するのはこちら。
毎度おなじみのサフィールノワールのスペシャルナッパデリケートクリームです。
革小物をお手入れする際は、ほぼほぼ登場しています。
信頼と実績の保革クリームです。
今回はこのクリームの瓶に記載の以下の方法に則ってケアをします。
その手順とは…。
- クロスで乾拭きする
- クリームを塗る
- 3分待つ
- クロスで磨く
この通りにやっていきますね。
まずは、クロスで帽子のアジャスターを乾拭きします。
続いて、スペシャルナッパデリケートクリームを少量指にとって…
革部分に塗り込みます。
アジャスターの裏側も革なので、こちらにも忘れずに塗ります。
面積が小さいので、クリームの塗布はあっという間に終わります。
超簡単作業です。
続いて、クリームの浸透を促すため、そのまま3分ほど待ちます。
その後、クロスで磨きます。
クリームを塗りすぎた場合は、ここで一緒に拭き取ってしまいましょう。
これで作業は終了。
洗濯後の革のケア、完了です。
仕上がりは下図の通り。
少し革の色が濃くなって、潤いが補充されたことが分かります。
触り心地もしなやかさが付与され、優しい肌触りとなりました。
革製の箇所があっても、問題なく洗濯可能。
とはいえ…。
- どうしても洗濯したくない
- 革の洗濯に不安がある
という人は、除菌スプレーをチェックしてみて下さい。
洗濯を避けて除菌ができます。
革の洗濯に不安があるならクリーニング店で!プロなら安心
そんな人はプロフェッショナルを頼りましょう。
クリーニングのプロなら大事な革製品を丁寧にクリーニングしてくれます。
確実な仕事をしてくれるので、安心してクリーニングを任せられますよ。
自分で洗濯してうまくいけばよいですが、万が一にも失敗したら目も当てられません。
高価なアイテムならなおさら。
プロに依頼するとお金こそかかりますが、確実にきれいになって戻ってくる安心感が得られます。
絶対に失敗したくないなら革クリーニングのプロを頼るべきです。
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衣類の一部が革でも洗濯は可能
本記事では、洗濯した後の水に濡れた革の油分補給について紹介しました。
- 革に水は厳禁
そのようなイメージが強く、革の洗濯を躊躇してしまうことはよくあること。
ただ、洗濯後のケアさえしっかり行えば、革が深刻なダメージを受けることはありません。
衣類を洗濯しないと汚れは蓄積する一方…。
とても衛生的とは言えませんよね?
一部が革だからという理由で水洗いをためらう必要はまったくありません。
適切な方法をとれば、衣類の清潔さと革の風合いを保つことの両立は可能です。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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