革靴を履くにあたって、「フィット感」って重要な要素ですよね?
自分の足と革靴の大きさが合っていないと、脱げそうになって歩きにくくなったり、靴擦れを起こして足が痛くなってしまいます。
そういった意味で、自分の足にあった革靴を選ぶということは非常に大切なこと。
ですが、ビスポーク(オーダーメイド)でもしない限り、既製品で完璧にフィットする革靴を見つけるのは難しいです。
しかも、「自分が気に入ったデザインの革靴の中で」と範囲が限定されると、ますます見つけるのは困難になります。
それを解消するのが、大半の靴についている「靴ひも」。
靴ひもは、足と革靴のフィット具合を調整する役割を持っています。
靴ひもで靴と足を固定すれば、足と靴のサイズが少々合っていなくても快適に履けるというわけです。
そこで、靴と足とを固定するために靴ひもを結ぶわけですが、その結び方しだいで「より良いフィット感」が得られること、ご存知でしょうか?
この記事ではフィット感が向上する靴ひもの結び方について、ご紹介いたします。
靴ひもの役割
そもそも、靴ひもの役割とは何なのでしょうか?
まずはそれをひも解いてみましょう。
靴ひもだけに!
靴ひもとは、「靴の甲部の合わせ目などにつけ、履く際に合わせ目をとじ合わせるのに用いるひも。また、はき口をくくるひも(※出典:大辞林)」のことを指します。
靴ひもは靴と足とを一体化させる役割を持っており、快適な歩行をサポートしてくれます。
ローファーなどの一部を除き、ほとんどの革靴には靴ひもがついていて、それによりフィット感の微調整が可能となっていますよね。
一方で間違った結び方や締めが緩い場合、足の動きが制限され、つまづく原因となったり、靴擦れや外反母趾の発症につながる恐れも出てきます。
また、足と靴とがフィットしていないと、靴が脱げてしまったりすることもありますし、歩行時に靴のかかとを引きずりやすく、ヒールのすり減りを著しく早めてしまうこともあるのです。
靴ひもを正しく・しっかり結ぶことでリスクが軽減され、快適なシューライフを送ることができるようになるというわけなんです。

靴ひもの結び方

靴ひもの結び方といっても、その種類はさまざま。
色々な結び方があります。
その中で、今回ご紹介する結び方は
パラレル結び
というものです。
「パラレル結び」というのは、足に対して靴の安定性が高く、靴ひもが緩みにくいという特徴を持った結び方。
パラレル結びは靴ひもの結び方で最もシンプルな「シングル結び(※下の図をご参照下さい)」と並び、メジャーな手法。
フォーマル度が高い結び方の一つである「パラレル結び」は「パラレル」という言葉が表す通り、シューレースが「平行」になる結び方です。

「パラレル結び」は両方の羽根を靴ひもで均等に締めることが可能であるため、靴を足へ保持する効果が高く、非常に良いフィット感を得ることができる上に、緩みにくいという特徴を持ちます。
一方で、若干ではありますが「シングル結び」よりも結ぶのに手間がかかります。
実践:靴ひもを結んでみる
そういった方も中にはいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、実際に手順を追いつつ、パラレル結びをしてみようと思います。

登場してもらったのはオールデン(Alden)の975、ロングウィングチップです。

こちらの靴は現在、シングル結びを施していますが、これをパラレル結びに変更してみます。
ちなみにこの靴、靴ひもは紗乃織靴紐(さのはたくつひも)のものに変えています。
蝋引きなので丈夫で緩みにくいことが特徴の靴ひもです。

まずは靴ひもを外します。

ここから靴ひもを結んでいくわけですが、靴ひもの通し方を文章だけで説明しようとすると結構ややこしくなるので、あらかじめアイレット(靴ひもを通す穴)に番号を振っておきます。

このような番号振りを設定しました。
「靴の内側・1段目(最下段)」のアイレットを①、「靴の外側・1段目」のアイレットを②、「靴の内側・2段目」のアイレットを③…、というように全10か所のアイレットに番号を付けました。
さぁ、では最初に、靴ひもを羽根の裏側から「内側・最下段」のアイレット①と「外側・2段目」のアイレット④に通します。

続いて、「内側・最下段」①に通した靴ひもを羽根の表側から「外側・最下段」②に通します。

「外側・最下段」②に通した靴ひもを、今度は「内側・3段目」⑤に通します。


正しく行えていれば、現段階で上の図のようになっているはずです。
続いて、先ほど「外側・2段目」④に通しておいた靴ひもを「内側・2段目」③に通します。

そして、その靴ひもをそのまま「外側・4段目」⑧に通します。


ここまでくれば、後は同じ操作の繰り返しになります。
「内側・3段目」⑤の靴ひもを「外側・3段目」⑥に通します。

そして、そのまま「内側・5段目」⑨のアイレットへ。

次は、先ほど通してあった、「外側・4段目」⑧のアイレットから出ている靴ひもを「内側・4段目」⑦へ通します。

そして、最後はちょっと変則的ですが「内側・4段目」⑦から出ている靴ひもを「外側・5段目」⑩に通したら、これにてひもを通す作業は終了です。

後は、羽根の開き具合や、靴ひもの両端の長さのバランスを調整します。

今回の靴は片側5ホールのアイレットでしたのでこのようになりますが、6段以上のアイレットを持つ靴の場合は、さらに一段飛ばしの操作を最上段に達するまで繰り返して下さい。
最後に両端を結んで、完成です。

「シングル結び」の場合と比較してみましょう。

「パラレル結び」は羽根の裏側でしっかりと靴ひもが絡み合っていて、いかにもフィット感が確保されていそうなのがわかります。
これが!
一方で、「シングル結び」の見た目のシンプルさも捨てがたいです。
気分で使い分けるのも良いかと思います。
革靴をとことん楽しみたい、そう思いますね。

結び方をひと工夫して靴のフィット感を確保しよう
今回は靴ひもの結び方についてのご紹介でした。
「パラレル結び」をすることで靴ひもが互いに絡み合い、しっかりと足と靴とを固定することが可能となります。
それによりフィット感が向上し、つまづきや靴擦れを防止することが出来るだけでなく、かかとの削れ等、靴を傷めるリスクを軽減することも可能です。
何気なく結んでいる靴ひも、その結び方にもひと手間加えてあげると、靴の履き心地も変わって新たな発見もあるかもしれませんよ。
より良いフィット感を求める方は、インソールの使用も視野に入れてみても良いかもしれませんね。
ぜひ、試してみてください。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧頂き、ありがとうございました!
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