革靴のアウトソール、いわゆる靴底。
普段は見えない箇所ですが、歩くとき、足を上げた際には後ろから見えますよね?
と、なりませんか?
靴底が革製の場合、色を付けるのは実は容易。
手軽にそんなオシャレを楽しむことができるのです。
本記事では、革製の靴底であるレザーソールを着色する方法についてご紹介します。
靴底は普段目につかない、でも…
革靴を見てみると、まず何よりもアッパーのデザインが目を引きます。
きめ細やかな甲革、美しい曲線を描く形状、キュッと閉じた靴ひも…。
革靴を選ぶ決め手となるのはまずデザイン。
そして、気に入ったデザインのものを履いてフィッティングを確認。
このような流れが革靴の購入順序だと思います。
靴底までは見ないという方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。
でも、靴底のデザインは一見目につかない箇所と思いきや、意外と歩くと目につきやすいものです。
靴の裏側である靴底は自分では見ることはできませんが、後ろを歩いている人には結構目につきやすいのです。
特に、階段を上っているときなど、他の人の目線が一段下がる場所はそれが顕著。
僕の場合、前を歩いている人の靴底の状態をひたすら目で追ってしまっている場面がちょいちょいあります。
そこで目にした靴底がレザーソールで穴が開きそうだったりすると、ソールを交換した方が良いなぁ…、なんて勝手に思ったりしています。
逆に、革の削れがそこそこで、削れによる白味も少ない革靴を履いている方。
あるいは、「カラス仕上げ(革底を黒く塗装した仕上げ)」がはっきりと残っている靴を履いている方をお見かけすると、すごくテンション上がります。
「良い靴ですね!」と話しかけてみたくなったりします。
そういった、普段は目につかない箇所に気を使われている方ってすごく素敵だな、と思います。
特に、それを靴で実践されている方を見ると、大人の嗜みとは何たるかを教えていただいたような気になり、得した気分になるのです。
僕自身、「オシャレは足元から」という言葉の意味を
細かいところまで気を回せる大人の余裕を表現する
というように解釈していて、それを目指して精進する日々です。
靴底までこだわる
ということは、正にそれを体現しているように感じるのです。
靴底をカラフルにアレンジ
靴底までこだわるということ。
レザーソールであれば、日々のお手入れによってケアが行き届いていることだと思います。
それと同時にデザイン、つまりは見た目がスタイリッシュであるという意味合いも持っているとも思うのです。
確かに、レザーソールは下図のような色が最も一般的だと思います。
その他にもカラス仕上げや半カラス仕上げのような、
黒く染めたレザーソール
等もありますが、その色のバリエーションは決して多くはありません。
しかも仮にもし、好みの色のソールがあったとしても、アッパーの革質やデザインが好みでなかったらその靴を履きたいとは思わないでしょう。
レザーソールの色にこだわるといっても、そもそも選択肢が少ないな~
選択肢ですか?
そうです。
色を付けてしまいましょう。
レザーソールを着色すれば、お気に入りの靴のソールを好きな色に変えることができるのです。
靴クリームは色が豊富
さぁ、ここからが本題です。
レザーソールに着色する
これには道具が必要です。
しかも、自分の好みの色を見つけることができるように、豊富な色の選択肢が必要…。
おや?
うってつけのものがシューケア用品にはありますよね?
靴クリーム!
靴クリームには、とにかく色の種類がたくさんあります。
例として、M.モゥブレィのシュークリームジャーを見てみると…
種類半端ないって!!
赤、青、黄色とカラフルな色味がラインナップされています。
アッパーはきめ細かな革、ソールは丈夫で厚い革を使っているだけで、アッパーもソールも素材は革。
多少の差はあれど、基本の性質は変わりません。
つまり、ソールにも油分補給が必要なわけです。
そして、靴クリームは革へ油分を補給するためのケア用品。
レザーソールにも靴クリームを使用して油分補給することは可能なのです。
レザーソールを靴クリームで染める
では、実際にレザーソールに色を付けてみます。
ソールを染める靴はこちら。
シェットランドフォックスのウィンストン。
ソールはこんな感じです。
普段はサフィールノワールのソールガードでケアをしていますが、ソールの染色をやりたくなりました。
ブートブラックの靴クリームを使います
そして、ソールを染めるための靴クリームには、ブートブラックのシュークリームを使用します。
この靴クリームは、シューケアの基本となる栄養補給と補色効果のある乳化性のクリーム。
革の表面の凹凸に合わせて極細粒子のクリームが乗るために革本来の陰影を残し、深みのある色を引き出せます。
色味もこの通り。
※株式会社コロンブスブートブラック公式ホームページより
M.モゥブレィに迫る色の種類です。
今回、僕が使用する色味は「バーガンディ」。
オールデンの「No.8」でおなじみの色味ですね。
こちらのクリームを使ってレザーソールを染めていきますよ。
レザーソールの着色を実践!
まずはレザーソールの着色手順を見てみましょう。
- レザーソールのホコリを落とす
- レザーソールの汚れを落とす
- 靴クリームでレザーソールの保革・染色を行う
- 靴クリームをブラシでなじませる
通常のレザーソールケア工程との違いは、ソールの保革にレザーソール専用品ではない靴クリームを使用し、そのクリームをブラシでなじませるという2点です。
レザーソールのケアの最後には、いつも革の引き締め工程が入るのですが、ソールの引き締めのためにクロスでこすると、折角染めた色味を落としてしまうことになるので、今回は行いません。
ホコリ落とし
まずはタワシと馬毛ブラシによる、ソールのホコリ落としから。
しっかりと着色させるために、余計なゴミやホコリは落としておきましょう。
汚れ落とし
ホコリ落としの次は、ソール表面に染み付いた水汚れ・油汚れを落とします。
ブートブラックのツーフェイスローションをクロスに取り、ソールを拭きます。
この工程の意味合いとして、先ほどのホコリ落としと同様に、クリームの浸透を妨げる邪魔者を除去する効果と、クリームの浸透を補助するためにあらかじめソールを湿らせるという2つの意味を持ちます。
靴クリームで染める
ここが今回のテーマのメインイベントです。
靴クリームをレザーソールに塗り込んで、革の油分補給と染色を行います。
靴クリームをペネトレイトブラシに取り…
ソールに塗り込みます。
アッパーのケアの場合、取るクリームの量は米粒1~2粒程度で十分です。
しかし、ソールの染色の場合は、ある程度の量が必要。
とはいえ、一度に大量の靴クリームをブラシに取るのではなく、ソールの状態を確認しながら、少しづつクリームで色を足していくと上手くいきやすいと思います。
片足の靴クリームを塗布している途中の状態です。
元々の茶色が赤く染まっています。
深みのある紫がかった赤色が上品な雰囲気をかもし出しつつあります。
両足のソールに靴クリームを塗り終わったら次の工程に進みます。
ブラシで靴クリームをなじませる
アッパー(甲革)のケアと同様、レザーソールに靴クリームを塗った後は豚毛ブラシの出番。
靴クリームをブラッシングしてなじませます。
レザーソールは削れや小石の食い込みなどで、表面が凸凹しています。
そのため、ブラシでクリームをなじませて隅々までクリームを行き渡らせることが好ましいです。
ブラッシングすると…
このような仕上がりに。
ツヤが出ているのがわかります。
アップで見てみましょう。
隅々までバーガンディの色に染まっています。
これにて作業は終了。
レザーソール染色前後での色の変化を見てみましょう。
全く雰囲気が異なっています。
ちょっとした一手間を加えると、ますます靴への愛着が湧きますね。
レザーソールに色を付けて革靴ライフを楽しむ
この記事ではレザーソールの着色をしてみました。
普段はあまり気に留めないレザーソールでも、歩いた時や足を組んだ時など、人目に触れることもあります。
そんなとき、カラフルなレザーソールが見えたらどうでしょう?
見えないところにも気を使う、大人のファッションを表現できるのではないでしょうか。
自己満足の世界かもしれませんが、趣味とはそういうものだと個人的には思っています。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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