靴磨きに使う「靴クリーム」には様々な種類がありますよね?
各シューケア用品メーカーから成分が異なる種々の靴クリームが販売されています。
- 革への水分・油分補給効果が高い靴クリーム
- 靴に深いツヤを与えられる靴クリーム
- 伸びが良く使いやすい靴クリーム
といったように…。
どんな成分が入っているかは、靴クリームのパッケージを見るとある程度分かりますが、それ以上の情報を得るのは困難。
そんなことをふと思いましたので、靴クリームをミクロな視点である顕微鏡で観察してみました。
結論として、靴クリームの種類によって状態が異なっていたのですが、具体的にどのような違いがあったのか…。
本記事では、靴クリーム4種を顕微鏡で観察して分かったことについて書きました。
観察する靴クリームは?
顕微鏡で比較する靴クリームには以下の4種類を選びました。
- M.モウブレィ シュークリームジャー(ブラック)
- サフィールノワール クレム1925(ニュートラル)
- ブートブラック アーティストパレット(デニム)
- サフィールノワール ビーズワックスポリッシュ(ブラック)
観察するのは計4種。
ビーズワックスポリッシュは、厳密に言えば靴クリームには分類されませんが、クリームとワックスの比較をしたいと思い、ラインナップに加えてみました。
顕微鏡観察の前に、各靴クリームの特性をおさらいしておきます。
M.モウブレィ【シュークリームジャー】
まず1種目は、M.モウブレィのシュークリームジャー。

シューケア用品メーカーであるR&Dから販売されている、ヨーロッパの伝統的な製法とノウハウで作られた本格的靴クリーム。
優れた浸透性を持っているため、靴にうるおいと栄養を与えやすく、靴が長持ちしやすくなります。
クリーム自体の感触として、なめらかで良く伸び、使いやすいです。
それでいて、しっかりとした補色力を持ちます。
色の定着力が強く、かつ油分が多いのが特長の靴クリームが、M.モウブレィのシュークリームジャーです。

色はブラック。

サフィールノワール【クレム1925】
2種類目はサフィールノワールのクレム1925です。

厳選した高級ビーズワックスやカルナバワックス、シアバターなどで作られた最高級靴クリームがサフィールノワールのクレム1925。
皮革に美しい光沢を与えると同時に、補色や保革も行ってくれる靴クリームです。
靴磨きに使う靴クリームに迷ったら、「とりあえずクレム1925」と思っても問題ないくらい、靴磨き愛好家の方々に絶大な支持を得ています。

色はニュートラル(無色)。
クレム1925には多くの色の種類がありますが、その中でもニュートラルは溶剤が多く含まれていて、ワックス落としにも応用できます。

ブートブラック【アーティストパレット】
3種類目はブートブラックのアーティストパレット。

アーティストパレットは油性クリームです。
本来、油性クリームは触感が固めで伸びにくいのですが、アーティストパレットはアルガンオイルが含まれていることによって伸びが良く、革へと浸透しやすい特性を持つのです。

色はデニム。
濃紺の深みのある色合いです。

サフィールノワール【ビーズワックスポリッシュ】
4種類目はサフィールノワールのビーズワックスポリッシュです。

サフィールノワールのビーズワックスポリッシュは、高級カルナバワックスとビーズワックスベースの靴用ワックスです。
深みのある上質な光沢と風合いを演出してくれます。
こちらのビーズワックスポリッシュは、靴クリームというよりは靴用ワックスに分類されるので、先ほどまでの3種類とは少し異なる特性を持ちます。
靴クリームは革へ油分や水分を補給するために使われますが、靴用ワックスは革へ光沢を与えることが主な役割。
そのため、靴クリームに比べて油脂や水分が少なく、ロウ分が多め。
靴クリームと靴用ワックスでどのような違いがあるのかを見るため、選びました。

色はブラック。

靴クリームをミクロな視点で見てみよう!
さて、ここから本題の靴クリームを顕微鏡で見てみようのコーナーです。
顕微鏡の倍率を1000倍に設定して、それぞれの靴クリームを見ていきます。
顕微鏡画像:M.モウブレィ【シュークリームジャー】
まずはM.モウブレィのシュークリームジャー(ブラック)から。

球状の細かな粒子が沢山ありますね。
シュークリームジャーは乳化性クリームであるにもかかわらず、顔料にも勝るとも劣らない着色力を示します。
これらの粒子状の成分が革へと入り込み、しっかりと革を染色してくれるからなのかもしれません。
顕微鏡画像:サフィールノワール【クレム1925】
続いては、サフィールノワールのクレム1925(ニュートラル)です。

クレム1925はシュークリームジャーとは異なり、「球」というよりは「面」といった感じ。
クレム1925は比較的溶剤が多いため、このような見え方をするのだと思います。
顕微鏡画像:ブートブラック【アーティストパレット】
3種類目はブートブラックのアーティストパレット(デニム)です。

アーティストパレットも先の2種類の靴クリームとはまた見え方が異なり、粒子が集まってゴツゴツとした表面を形成しています。
アーティストパレットは顔料ベースの靴クリームなので、粒子が大きくそれが画像に反映されているようです。
アーティストパレットはその名の通り、革をパレットに見立て、数々の色の変化を楽しむことができる靴クリーム。
顕微鏡画像:サフィールノワール【ビーズワックスポリッシュ】
最後はサフィールノワールのビーズワックスポリッシュ(ブラック)。

今回唯一の靴用ワックスからのエントリーで、これまでの3種の靴クリームとはまた異なる状態かと思いきや、意外や意外。
ブートブラックのアーティストパレットと似た状態、ゴツゴツとした表面です。
靴用ワックスであるサフィールノワールのビーズワックスポリッシュは革の上に乗って、輝きを与える役割です。
「革の上に乗って革靴を美しく演出する」という点ではアーティストパレットと同様の効果。
靴クリームの種類が違えば状態も異なる
4種類の靴クリームについて、顕微鏡で観察してみた画像を見比べてみました。
結果としてはM.モウブレィのシュークリームジャー(ブラック)とサフィールノワールのクレム1925(ニュートラル)の状態は、他の靴クリームとははっきりと異なるものでした。
一方で、ブートブラックのアーティストパレットとサフィールノワールのビーズワックスポリッシュの状態は似ており、どちらも革の上に留まって革靴を美しくするという効果の秘密を垣間見た気がします。
一見、同じような靴クリームでも、各シューケア用品メーカーの靴クリームにはそれぞれ異なる配合成分や性質があります。
各靴クリームをミクロな視点で見ることで、それぞれの明確な違いを実感することができました。
靴磨きはやはり奥が深いと感じると共に、沢山の種類の靴クリームを使ってみたいという願望がより強くなった今回の比較。
それでは、今回はここまで。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧頂き、ありがとうございました!
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