靴クリームは靴磨きを楽しむ上で欠かせない存在です。
革を乾燥から守るとともに上品で美しいツヤを与え、革靴を良好なコンディションに保ってくれます。
ブートブラック(Boot Black)のアーティストパレットも靴クリームの一種。
その名の通り、使用者を芸術家に見立て、革靴をさもパレットやキャンバスのように彩る靴クリームがアーティストパレットです。
顔料ベースのアーティストパレットは色を革に乗せて楽しむ靴クリーム。
クリームの色が革に乗っているだけなので、革靴に別の色を乗せたいと思ったら、クリーナーを使って簡単に落とせます。
まるで絵を描くように革靴の雰囲気を変幻自在に変えられる、使っていて楽しいアイテムがアーティストパレットです。
牛革やガラスレザーなど、革種を問わずその風合いを変化させ、新鮮な印象を演出してくれます。
どんな革をも美しく彩ってくれるのがアーティストパレットのすごいところ。
本記事では、様々な革種の靴でのアーティストパレットの使い方をまとめました。
- アーティストパレットってどんな革に使えるの?
- カーフレザーなどの牛革だけでなく、ガラスレザーやコードバンに使った様子を見たい
- アーティストパレットで革靴を磨いたときの仕上がりを確認したい
アーティストパレットの特長
アーティストパレットは日本のシューケア用品ブランド「ブートブラック(Boot Black)」が展開する靴クリームです。
水を含まない油性のクリームで、革のツヤを高めるのが特徴。
一般的な油性クリームは水分を含まない分、革への潤い補給効果が薄くなってしまいがちなのですが、アーティストパレットは違います。
アーティストパレットには独自の特性が備わっているのです。
- アルガンオイルが高い保革効果を実現
- 着色料は顔料を使用
- アーティストパレットは分量次第でツヤ加減が調節できる
アーティストパレットの特長を見ていきましょう。
アルガンオイルが高い保革効果を実現
アーティストパレットは高保湿性の高級オイル「アルガンオイル」を含み、革への保湿作用が高いです。
アルガンオイルと言えば高級化粧品などでも使われ、その保湿性は折り紙つき。
- アルガンの種子から採れるオイル
- 浸透性が高く保湿効果が高い
そのアルガンオイルを革靴に使おうというのだから何とも贅沢ですね。
着色料は顔料を使用
アーティストパレットは顔料ベースの靴クリームなので、革の上に乗って色を表現します。
顔料は水や油に溶けず、バインダー(定着剤)を加えて面に塗ることで色が着く
※出典:トーヨーカラーウェブサイトより
顔料は染料とは性質の違う着色料です。
革を染める染料ベースの靴クリームとは違い、靴クリーナーで簡単に色を落とせます。
染料ベースの靴クリームは革に浸透し染色するため、一度塗ったら完全に落とすのは困難です。
そのため、
- 黒の靴には黒の靴クリームを使い続ける
といった、靴クリームの色にある種の制限がかかった状態になります。
アーティストパレットならば、同じ靴でも靴磨きの機会の度に別の色味を使えます。
靴と違う色を塗っても問題なし。
繰り返しますが靴の上に着色料が乗っている状態なので、クリーナーで簡単に落とせますからね。
染料ベースの靴クリームは色あせた革をしっかりと補色するのに適しています。
黒い靴には黒い靴クリームが鉄板ですが、
- それ以外にも選択肢があって良いじゃない!
と思わせてくれる、そんな魅力がアーティストパレットにはあります。
アーティストパレットは分量次第でツヤ加減が調節できる
アーティストパレットはクリームの分量を調整すればツヤ加減が調整できるので、
- 気分によって色の乗せ方を変える
そんな楽しみ方ができる靴クリームです。
自分があたかも画家のように、革靴の仕上がりを自由自在に操れます。
使っていて楽しい靴クリームですよ。
アーティストパレットを使った靴磨き
アーティストパレットはクリームの色を革に乗せるという性質上、様々な革種に使えます。
カーフレザーやコードバン、ガラスレザーにオイルドレザーなど。
色が革に浸透して定着することがないので、気軽に使える靴クリームというわけです。
一度磨いた後に仕上がりを変えたいと思ったら、サッとクリームを落とし、別の種類の靴クリームや異なる色を使ってもよし。
そんな汎用性の高いアーティストパレット。
実際にいくつかの革種を磨いた様子をまとめました。
- カーフレザー(牛革)
- コードバン(馬革)
- ガラスレザー
- オイルドレザー
いずれも問題なく、美しい仕上がりにできます。
それぞれの革種について靴磨きの様子を見ていきましょう。
カーフレザー(牛革)
カーフレザーは牛革の1種。
きめ細やかで自然なツヤを放つカーフレザーは革靴に使われる革種ではもっともメジャーな存在かと。
アーティストパレットはカーフレザー本来の美しさを引き立ててくれます。
では実際に、アーティストパレットのみで磨いた革靴がどのような仕上がりになるのか、確かめてみます。
磨く靴はこちら。
スコッチグレインのアシュランス。
カーフレザーの革靴です。
革靴へアーティストパレットを塗っていきます。
元々、アーティストパレットは非常に伸びが良いクリーム。
それに加えてクリームが指の体温で温められているので滑りが良く、スイスイ塗れます。
両足とも磨いた後の様子がこちらです。
黒々とした印象がより強くなりました。
つま先部分の周囲の映り込みの度合いが明らかに違っていて、光沢が顕著に表れています。
また、お手入れ後は革の質感がみずみずしく、生き生きとして深みのある表情になりました。
コードバン(馬革)
強い光沢を放つコードバンは馬のお尻の革をなめして作られた高級レザー。
ホーウィン社の極上のコードバンを使ったAldenの靴など、その美しさは見惚れてしまうほどです。
コードバンをアーティストパレットで仕上げる…。
それは正に鬼に金棒。
- ツヤ × ツヤ
の夢のコラボレーションです。
アーティストパレットは水を含まない油性クリームのため、水気を嫌うコードバンには好相性。
コードバンは比較的繊細な革種ですが、アーティストパレットならば気兼ねなく使えるのです。
革靴を磨くにあたっては、靴の色と靴クリームの色の組み合わせは重要。
今回は、オールデンのバーガンディのコードバンをアーティストパレットのルージュで磨きます。
バーガンディをあえて言葉で表現するなら、茶色身の強い深い赤色といったところでしょうか。
さて、靴磨き。
アーティストパレットを手に取り、革靴に塗ります。
一度に大量につけるのではなく、少量ずつ数回に分けて塗り重ねるようにすると、より均一にクリームを塗れます。
そして、革靴を磨くと…
仕上がりはこんな感じ。
ツヤが出ていますね。
靴磨き前後でコードバンの状態を比較してみます。
光沢が増しているのが分かります。
元々のバーガンディ色に、より赤みが強いアーティストパレットのルージュが乗ることで、華やかな印象になりました。
アーティストパレットの威力を改めて感じます。
アーティストパレットには、いつもの革靴の印象を大きく変化させる力があるのです。
ガラスレザー
革の上に樹脂加工を施したガラスレザーは、靴クリームの栄養源である油脂をあまり吸収してくれません。
ガラスレザーに靴クリームを塗っても樹脂コートに阻まれ、ほとんどが革に浸透せず、革の上に残ります。
ガラスレザーに靴クリームを塗ることは保革というよりは、ツヤ出しや色あせ補修の意味合いが強いです。
アーティストパレットは顔料ベースのため、革の上に残ります。
ということは、アーティストパレットとガラスレザー、この組み合わせはお互い好都合です。
革靴をキャンバスに見立て、アーティストパレットで満足の行く仕上がりを目指すにはバッチリのパートナー。
- ときには青色、ときには赤色を乗せてどんな仕上がりになるのかワクワクする
そんな楽しみ方ができます。
アーティストパレットでガラスレザー靴のお手入れをやっていきますね。
磨く靴はコールハーン(COLE HAAN)のペニーローファー。
ガラスレザーをアッパーに使った革靴です。
アーティストパレットを靴に塗っていきます。
ここではブラシを使ってアーティストパレットを塗ります。
ステッチや甲の履きジワには重点的に塗り込みます。
履きジワに塗ることによって、ガラスレザーの樹脂層が割れた箇所からクリームが浸透し、樹脂層の下にある革にクリームの成分を行き渡らせる効果があります。
ワックスでの鏡面磨き時と同じように、クロスで靴を磨きます。
クロスで円を描くようにクルクルと。
自分が納得のいくまで磨き、これにて作業終了。
仕上がりを見てみましょう。
かなりツヤが出ているのがわかります。
ガラスレザー本来のツヤ以上の輝きを放っていますね。
ガラスレザーのツヤも良いですが、アーティストパレットで磨くと、ツヤに奥行きを持たせられます。
上品でみずみずしい輝きが美しいです。
オイルドレザー
オイルドレザーはなめし工程で油分をタップリ含ませたタフな革種です。
オイルドレザーはマットな質感で上品なツヤとは縁遠い存在。
しかし、優れたツヤ出し効果を持つアーティストパレットなら、オイルドレザーに光沢を与えることが可能。
オイルドレザーの質感にマンネリを感じたら、アーティストパレットでお手入れしてみてください。
同じ靴であるにもかかわらず、全く別の革靴になったかのような、そんな感動を覚えます。
実際に、オイルドレザーの革靴にツヤを与える靴磨きをしてみます。
磨く靴はダンスコのオイルドレザーのサボ靴。
革の光沢はあまり強くはありません。
日頃から磨いているので若干の光沢はありますが、一般的なカーフレザーなどの革靴と比べると、やはりマットな感じが残っています。
そんなオイルドレザー、アーティストパレットを使って磨いていきます。
ペネトレイトブラシにアーティストパレットを少量付けて…
靴に塗り込みます。
ブラシを使うことで、履きジワの細かい隙間までクリームを行き届かせることができます。
アーティストパレットが光沢を作り出すので、光らせたいところにはしっかり塗っていきましょう。
ハンドラップで少量の水をクロスに染み込ませて磨きます。
アーティストパレットで磨くことで、マットな質感のオイルドレザーがどのように変化したか見てみましょう。
輝きを放っているのがわかりますね。
磨く前と磨いた後で比較しますと…
深みのあるツヤが出ています。
オイルドレザーの靴でも、こんなにも輝くことができるのです。
アーティストパレット、さすがと言わざるを得ません。
アーティストパレットは色の豊富さが魅力
様々な革種の靴を彩ってくれるアーティストパレット。
色の種類が多いのも特長です。
全20色のカラーラインナップ。
※出典:ブートブラックウェブサイトより
どの色を使おうか、迷ってしまう豊富さです。
黒の革靴に青や赤の色を乗せ、ほんのり明るさを持たせるのも面白いですし、茶靴に黒を乗せ、アンティーク仕上げ風にしてもよし。
もし仕上がりが思うようにいかなかったとしても、色を乗せているだけですから取り除くのも簡単。
何度でも色を乗せ、満足の行く仕上がりを目指せます。
これが楽しいのです。
全色そろえて、
そんな靴磨きの楽しみ方を提案してくれる稀有な靴クリーム。
それがアーティストパレットです。
気分は画家!アーティストパレットで靴磨きを楽しむ
本記事では、まるで画家のように靴磨きを楽しめる「アーティストパレット」で様々な革種の靴を磨く様子をまとめました。
顔料ベースのアーティストパレットは、革の上に色を乗せるタイプの靴クリーム。
塗るのも簡単なら、落とすのも簡単。
手軽に理想の仕上がりを目指せます。
カラー展開が豊富で、正に画家のように革靴の風合いを思うがまま、自由自在に変えられるケアクリームです。
油性クリームでありながら、アルガンオイルによって保革効果もバッチリ。
アーティストパレットは革靴を良好な状態に保ちつつ、靴磨きを楽しめる靴クリームに仕上がっています。
使って楽しい靴クリームをお探しの方は、アーティストパレットをチェックしてみてください。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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