革靴には様々な種類のものがありますよね。
ストレートチップやプレーントゥといった装飾の違いやラストの形、外羽根・内羽根式などなど…。
革靴の種類を挙げていけば、枚挙に暇がありません。
そんな数ある革靴のバリエーションの中、色というのも革靴の印象を左右する重要な要素です。
最もフォーマルなブラック。
カジュアルなブラウン。
少し個性を持たせたネイビー、バーガンディなど…。
そして、それらの色を複数持った多色の靴もあります。
ここで一つの疑問が浮上します。
多色の靴は何色の靴クリームで磨けば良いの?
結論、複数の色が使われた多色の革靴には無色の靴クリームを使いましょう。
今回は多色の革靴をお手入れする方法を紹介します。
革靴のお手入れ時に使う靴クリーム
革靴の栄養補給やツヤ出しに使用する靴クリーム。
様々な種類がありますが、靴クリームの色にも相当数のバリエーションがあります。
基本的に、靴の色と同じ靴クリームを使うことで革の色落ち部分を補色したり、革靴の色により深みを持たせることができます。
そのため、靴と靴クリームの色の系統は合わせることが好ましいです。
そうすることで、その革靴の魅力がますます高まり、革自体が味わいのある表情に変化していくのです。
多色の靴に使う靴クリームの色は?
では、2色以上の色を持つ多色靴の場合、靴クリームは何色を使えば良いのでしょうか?
例えば、ブラックとブラウンの2つの色を持つ靴の場合、どちらか一方の色の靴クリームを使用すると、次のようなことが起きます。
使用する靴クリーム | 2色(ブラック・ブラウン)の靴に対する補色効果 |
ブラック | ブラック部は補色・ブラウン部は黒みを帯びる |
ブラウン | ブラック部にほぼ変化なし・ブラウン部は補色 |
濃い色のクリーム(上表ではブラック)を比較的薄い色の靴(ブラウン)に塗ると、色の変化が顕著にわかります。
逆に、薄い色のクリーム(ブラウン)を濃い色の靴(ブラック)に塗っても、その変化は肉眼ではほとんど分かりません。
薄い色のクリームを濃い色の革靴に塗ることではあまり変化は見られないのですが、濃い色のクリームを薄い色の靴に塗る場合は注意が必要なのです。
薄い色の革靴に濃い靴クリームを塗ると、明らかに色が変わるのがわかりますからね。
これではせっかくの革靴自体の発色の美しさがそこなわれます。
そのため、多色の靴をケアする場合は、
- 無色(ニュートラル)の靴クリームを使用する
ことをオススメします。
無色クリームは着色の恐れがないため、どんな色の靴にも使えて、革本来の色を邪魔することもありません。
多色の靴を無色クリームで磨く
ここからは、実際に2色の色を持つ靴を無色の靴クリームで磨いてみます。
磨くのはこちらの靴。
カステルバジャックのレザースニーカー。
ブラウンとベージュ、2色の組み合わせからなるカジュアル靴です。
ブラウンとベージュの2色構成ということは、いわゆる「多色」靴です。
こちらの靴に無色の靴クリームを使って栄養補給をしていきます。
磨き手順はいつも通りの方法で。
- ホコリ落とし
- 汚れ落とし
- 靴クリームの塗布
- ブラッシング
- クロスで磨き上げる
ホコリ落とし
まずは恒例行事である、馬毛ブラシを用いたブラッシングでホコリを落とします。
丹念にすみずみまでブラシ掛けをして、ホコリをしっかりと落とします。
汚れ落とし
次はクリーナーでの汚れ落とし。
今回の靴は、お手入れの期間が比較的長く空いてしまったので、汚れと古い靴クリームをしっかり落とす意味合いを込め、こちらを使用します。
サフィール(SAPHIR)のレノマットリムーバー。
スムース革に付着した汚れやシミを強力に落とし、靴の表面に残った余分なポリッシュや、革の塩吹き、カビなども取り除く効果がある優れもの。
この靴は以前にワックス層を落としたばかりなので、その残骸処理も期待して、比較的強力なクリーナーであるレノマットリムーバーを選択しました。
シューケア用品はたくさんの種類の製品が販売されているので、色々と使い分けができて楽しいですよね。
- 今日はこれを使おう
- 今回はこっちにしてみよう
そういった選択肢が豊富にあるので常に新鮮な気持ちで革靴のお手入れをすることができるんです。
最高!!
話がズレましたね…。
レノマットリムーバーを使って靴の表面の汚れを落としていきます。
クロスに少量の液を取って、クロスで滑らせるようにクルクルと拭いていきます。
アッパー全体の汚れ落としが終わったら、次の工程に移りましょう。
靴クリームの塗布
そして、いよいよ今回のテーマである無色の靴クリームが登場です。
サフィールノワール(SAPHIR NOIR)の靴クリーム「クレム1925」です。
色はもちろん、ニュートラル(無色)。
クレム1925はミツロウ(ビーズワックス)やカルナバワックス、シアバターなどで構成された最高級の靴クリーム。
このクリームを革靴に使用することで、革に美しい光沢と栄養を与えられます。
無色クリームなので、多色の靴にも安心して使用できます。
クレム1925は色のバリエーションが多いことも魅力の1つ。
無色以外にも多様な色を持ったクリームがあります。
使い心地も良く、靴磨き愛好家の方々の支持も厚い信頼の靴クリームです。
ぜひ1度チェックしてみてください。
さて。
クレム1925を靴へ塗布していきます。
ペネトレィトブラシに米粒1,2個分くらいのクリームを取って…
靴に塗ります。
クレム1925は油性クリームなのですが、伸びが非常に良く、かなり塗りやすい部類のクリームです。
油性クリームらしからぬ使いやすさ。
非常に重宝します。
ブラッシング
次は豚毛ブラシでブラッシング。
ここでのブラッシングはホコリ落とし時のブラッシングとは意味合いが異なります。
先ほど塗った靴クリームをまんべんなく靴に行き渡らせてなじませるとともに、余分なクリームをブラシに移すことで除去する効果があります。
そのために、コシの強い豚毛を使用するのです。
同じ「ブラッシング」でも、ホコリ落としと靴クリームを塗り伸ばすという目的の違いがあるので、使用する毛の種類も異なるというわけです。
クロスで磨き上げる
最後に、ブラシでは除去しきれなかったクリームの除去と靴のツヤ出しをするために、クロスで磨き上げます。
指にクロスを巻き付けると、スムーズに作業できます。
そして、とどめのグローブクロスでのさらなる磨き。
手にはめて豪快に最後の磨き上げをしたら…
作業終了。
靴磨き完了です。
多色の靴は無色クリームでお手入れしよう
本記事では複数の色を持つ靴、多色靴の靴磨きを無色のクリームで実施しました。
最後に靴磨き前後の比較画像を。
磨き後は控えめなツヤが出ていて、無色クリームでも充分に革の美しさを引き出すことが可能だと分かります。
靴クリームを多色靴に使う場合、いずれかの色にクリームの色を合わせてしまうと、それ以外の色のツヤや色味を損なうことになってしまう危険性があります。
その点、無色のクリームならば、そういった心配はまったくありません。
なにせ、色が付いていないわけですからね。
反面、補色効果はありませんので、革へ色を与えたい場合は色付きクリームを使用した方が仕上がりの状態は良くなります。
もちろん、仕上がりの状態は個人個人で好みの違いがありますけれど。
靴の種類や状態によって靴クリームの色を使い分けて、靴磨きライフをより充実したものにしていきましょう。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。