革の色落ちが気になってきたとき、あると便利なのが「革用の補色剤」。
数ある革用補色剤の中でもサフィールのレノベイティングカラー補修クリームは使いやすくて重宝します。
色のバリエーションも豊富なので、異なる色を混ぜ合わせれば、自分で色味を調整できるのも魅力のひとつ。
混ぜる色や分量によって微妙な色の違いを表現できるので、再現できる色の可能性は無限大。
ただ、ここでひとつの課題が。
色味を微調整できるからこそ、目的の色を再現するのが難しい…。
- 作りたい色に近づけるにはどの色を混ぜれば良いのか
- 分量がどの程度なのか
実際にやってみないとわからないというところがあります。
ということで、実際に検証してみました。
色の調整によく登場するであろう、色のうすめ剤、白色、黒色。
加えて、色味のバリエーションが多い「茶色」の調整で必要な黄色。
それらをベースとなる色に混ぜたとき、どのような色に変化するのか…。
レノベイティングカラー補修クリームの「フォーン(淡い茶色)」をベースに、今挙げた4種の色を混ぜてみます。
レノベイティングカラー補修クリームについて
今回のテーマである「レノベイティングカラー補修クリーム」というのは、シューケア用品メーカーであるサフィール(SAPHIR)が展開している革用の補色クリームです。
レノベイティングカラー補修クリームは、スムース革全般に使用可能な着色補修クリームで、色だけでなくキズをカバーする効果もある優れもの。
使用後の仕上がりがとても自然で、いかにもな「着色しました感」がなく、それでいて着色力も強いので、色落ちの心配もありません。

レノベイティングカラー補修クリームの色調整
レノベイティングカラー補修クリームの色の調整は、混ぜるだけの簡単作業で行えるので、とてもお手軽。
豊富な色のバリエーションの中には、うすめ剤もラインナップされているので、微妙に色合いを変化させたいときにも対応できます。
持っている革製品の色にピッタリの色がない!
補色ができない…
という方も大丈夫です。
レノベイティングカラー補修クリームは、色を混ぜ合わせることで使うことができます。
例えばブラウン系の中間色を作る時は薄い色の茶に濃い色の茶を少しずつ混ぜて色を調節可能です。
- 黄と赤を混ぜる → オレンジ
- 赤と青を混ぜる → 紫
- 青と黄を混ぜる → 緑
- 各色に白を混ぜる → 薄い色へ
- 各色に黒を混ぜる → 濃い色へ
ただ、この色調整、場合によっては補色しようとする革の色の再現が難しいことがあります。
茶色の調整は難しい…
革色の再現が難しい色とは…、
茶色です。
一言で茶色といってもその色調は様々で、ダークブラウンのような濃い茶色やライトブラウンといった淡い茶色もあります。
茶色の革は経年変化によってもその色味を変化させていき、同じ革でも部分部分によって、茶色に濃淡に差が生じることも。
それが茶色の革の魅力でもあるのですが、いざ茶色の革を補色しようとすると、その再現に手を焼いてしまいます。
僕が以前、革靴に付いてしまった傷を埋めるためにアドベースを使った際、アドベースに着色する方法として、レノベイティングカラー補修クリームを混ぜました。
ここで問題が。
実際に革靴の傷を補修したところ、傷は埋まったのですが、色味が合っていなかったのです。
僕としては慎重に色合わせしたつもりだったのですが、革靴と色味調整後のアドベースの色が全然違っていました。


補修箇所の茶色が薄くて、黄色味も足りない感じがしませんか?
そこで初めて、茶色の革の色を再現するのは難しい、と思ったのです。
そして、同時にこうも感じたのでした。
茶色のレノベイティングカラー補修クリームに混ぜる色
思い立ったら即行動。
以前の革靴の補修時に感じた、黄色味の足りなさ。
その感覚を頼りに、早速、レノベイティングカラー補修クリームの新たな色味を購入しました。

その色とは…、

「バターキャップ」です。
「深みを感じる黄色」とでも言いましょうか。
そんな色味。
今回新しくゲットしたバターキャップに加え、「ホワイト」と「ライトニング(うすめ剤)」の計3色を、以前の靴補修の際に使用した茶色味の「フォーン」に混ぜます。

- ホワイト(白)
- ライトニング(うすめ剤)
- バターキャップ(黄色系統)
サフィールのレノベイティングカラー補修クリームは、色のバリエーションが実に豊富で、40色を超える多様さも魅力の一つ。
ライトニング(うすめ剤)とは、補色クリームの粘度を変えずに色の濃度だけ変えたいときに使用するうすめ用クリーム。
着色力はそのままに、色の調整を行うことができます。
フォーンとその色味調整用補色クリーム3種、計4種のレノベイティングカラー補修クリームを用意して、フォーンをベースにそれぞれの色味を混ぜたとき、どのような色になるかを確認していきます。
ちなみに、黒の補色クリームを混ぜてみた結果も別途、ご紹介します。
レノベイティングカラー補修クリームを混ぜてみる
ここから実践編です。
それぞれレノベイティングカラー補修クリームを混ぜていきます。
具体的な方法は以下の通りです。
- レノベイティング補修クリーム2種類を1:1の分量で採取する
- 筆で均一に混ぜる
- どのような色味になるか確認する
混ぜ方のパターンは3種類、そして、比較対象としてフォーン(茶色)単体の色味も示します。
- 「フォーン」
- 「フォーン」+「ホワイト」
- 「フォーン」+「ライトニング(うすめ剤)」
- 「フォーン」+「バターキャップ」
まずはベースとなる「フォーン」のレノベイティングカラー補修クリームを4箇所に分け、プラ板に取ります。
プラ板にはクリームが浸透しないので、絵具のパレットのような使い方ができます。
一番左側がフォーンのみの比較用。
その左から順にホワイト、ライトニング、バターキャップを混ぜてどのような色味になるかを確認するためのベースクリームです。

それぞれ色調整用のクリームを取った状態がこちら。

ベースとなるフォーンとその他の色味の分量はおおよそ1:1。
これをそれぞれ、筆で均一に混ぜていきます。

まぜまぜ。
レノベイティングカラー補修クリームを混ぜ合わせた結果、このようになりました。

当然ながら元々のフォーン(一番左側)と比較して、その色味は3者3様。
ホワイト(白)、ライトニング(うすめ剤)、バターキャップ(黄色)で全く異なる色を示しました。
ホワイトと混ぜると茶色の主張が弱まり、かなりベージュに近い色合いとなりました。
うすめ剤は元々の色をそのまま濃度を落とした感じの仕上がりに。
色の微調整をしたいときに、重宝しそうです。
バターキャップ(黄色)を混ぜたものは黄色味が強く出て、明るい印象を強くする結果となりました。
少し黄色の主張が強い使い心地なので、黄色味を足す場合は、茶色に少しずつ黄色を足していって、様子を見つつ調整するのが良さそうです。
2つの色を混ぜたとき、どのような色味になるのかはイメージだけでは中々分かりにくいもの。
こうして試してみると、実際に目で見ることができるので、具体的にどの色を・どの程度混ぜれば良いのかが分かりやすくなります。
おまけの検証として、同じ要領でフォーンにブラック(黒)を混ぜてみます。

水性絵の具の場合、黒は少し混ぜるだけでかなり黒みが強くなりますが、レノベイティングカラー補修クリームの場合はどうなるのでしょうか。
混ぜてみると、このような状態になりました。

黒寄りのダークブラウンといった様相に。
レノベイティングカラー補修クリームもブラックの力は相当強いですね。
ブラックで暗みを足す色調整を行う場合には、ほんの少量で色が変わるので慎重に行うことが吉のようです。
レノベイティングカラー補修クリームの色調整は試行錯誤で!
今回はレノベイティングカラー補修クリーム同士を混ぜて、色を調整したときの変化をご紹介しました。
もともと色の種類が豊富なレノベイティングカラー補修クリームですが、それらの色を混ぜ合わせればそのバリエーションは無限大。
フォーン(茶色)にそれぞれホワイト(白)、ライトニング(うすめ剤)、バターキャップ(黄色)を1:1の分量で混ぜ、現れた色の変化を以下にまとめました。
混ぜる色 | 混ぜた時の色味の変化 |
ホワイト(白) | 元々の色の主張が弱まり、白みが増す。 |
ライトニング(うすめ剤) | 元々の色の濃度が薄くなるが、色味自体の系統は変わらない。 |
バターキャップ(黄色) | 元々の色の発色を明るい印象にする。 |
ブラック(黒) | 黒の主張が強いため、暗みを足すなら少量で。 |
異なる色同士を混ぜたときにどんな色になるのか、想像することはできるものの、実際にやってみないと分からないというのが正直なところ。
上記の表が少しでもお役に立てば幸いです。
色の選択肢が多いレノベイティングカラー補修クリーム同士を混ぜ合わせて、理想の色味を作ってみてください。
それでは、今回はこの辺で。
ご覧頂き、ありがとうございました!

革製品には財布やバッグ・ベルトなど様々な種類があります。
愛用の革製品をお手入れする方法についてご紹介しています。