本記事では革靴の補色方法について実践を踏まえつつ紹介していきます。
革靴を履いていると、
- どこかにぶつける
- 雨に濡れる
なんてことは日常茶飯事。
色が剥げたり、薄くなってしまったりしませんか?
革靴に限らず、革製品において革の変色は避けられない現象…。
そんなときは色あせを味としてとらえて、経年変化の一部として楽しむこともできます。
しかし、
という人もいますよね?
そんな人へ向け、革靴の色を元に戻す補色方法を説明していきます。
ポイントは補色クリームの色選びと色調の再現です。
革靴の変色はなぜ起こるのか
革靴が変色してしまう原因は、大きく3つに分類されます。
- 革靴のこすれ
- 革の乾燥
- 他のものへの色移り
革靴のこすれ
革靴は歩くときに履くものです。
革靴を履いて歩いているうちに、何かにぶつけて革がこすれたり、傷がついてしまうことがあります。
擦れたり傷がついてしまった箇所は、そうでない箇所よりも、色が薄くなったりして変色が目立つようになってしまいます。
ワークブーツなどはむしろ傷がついた方が、より雰囲気が出て味わい深いものとなりますが、ドレッシーな革靴には似つかわしくない場合がほとんどです。
革の乾燥
また、革の乾燥が進行すると、色があせてきて全体的に色が薄くなります。
革の水分や油分が無くなり、発色の良さが失われていくのです。
そうなってしまうと革の風合いが色と共に損なわれて、革のひび割れはもちろんのこと、革靴の見た目がみすぼらしくなってしまうことさえあります。
他のものへの色移り
また、他のものへの色移りということでも革靴の変色は発生します。
革はなめし時に染色されており、後から色を付けて作られています。
そのため、完全に革の色落ちを防ぐ加工は不可能。
雨に濡れたときなど、革の色が他のものへと移りやすくなります。
上記3つが原因で革靴の変色は起こります。
変色した革靴をどうする?
では。
そんな変色した革靴。
どうしたら良いでしょうか?
そのままの状態で履き続けるというのも1つの愛情のかけ方。
ですが、
- 変色した革靴をもとの状態に戻したい
と思うのも親心。
色落ちや色あせで変色してしまった革は、補色すると元の美しい状態へと戻すことが可能です。
革は原皮をなめす際に染料を使って色を付けているため、革製品として出回っている大半の革は、革そのものの色ではありません。
それゆえに色が抜けやすいということがあるのですが…。
だからこそ裏を返せば色を入れなおしやすいということも言えるわけです。
良いも悪いも表裏一体ですからね。
そして、革へと色を入れなおすための道具は充実しています。
サフィールの、
- レノベイティングカラー補修クリーム
もその中の1つ。
カラー補修クリームを革靴の色落ち箇所に塗るだけで、革の補色ができます。
実践:革靴の補色方法
ここからは、実際に革靴の色落ち箇所の補色をします。
今回補色するのはこちらの革靴です。

カステルバジャックというブランドのブラウンのレザーシューズ。
この靴は長年履いていることもあり、ところどころに革の色落ちがあります。
この靴はブラウンとベージュの2色使いの革靴。
日々のお手入れを無色の靴クリームでしており、靴クリームでの変色が起こらないように気を使っています。
ですが…。
つま先部分のベージュラインの装飾をご覧ください。

製造時に、元々は茶に染色した革を更にベージュで塗ったためなのか、ベージュの色が剥げています。
茶色に変色していますね。
シューレースのアイレット付近も。

シューレースの茶色の色が移り、ベージュのラインの一部が茶色に変色しています。
この革靴の場合、ベージュの色がブラウンに変わっているのが問題です。
つまり、
- ブラウンに変色した箇所にベージュの色を入れなおす
という対策で、革をもとの状態に戻してあげることができそう。
ここで、革に色を入れなおすために使う道具の紹介を。
それがこちら。

- レノベイティングカラー補修クリーム
- 細筆
- プラ板
補色の肝はなんといっても、サフィールのレノベイティングカラー補修クリームです。
フランスのアベル社が展開するシューケア用品ブランドである「サフィール」から販売されている補色クリーム。
レノベイティングカラー補修クリームは、革についた傷やこすれによる色の変化をカバーして、革の状態を自然な仕上がりに戻すことができます。
絵の具のように革へクリームを塗るだけの簡単な方法で補色が可能であるにもかかわらず、着色力が強く色落ちの心配がありません。
また、クリームの重ね塗りでしっかり色を乗せ、他の色と混ぜ合わせて絵の具のように色の調整が可能。
仮に補色をミスしたとしても、同ブランドの強力クリーナー、
を使用すれば補色クリームを落とすことができるため、やり直しがききます。
先ほど紹介した道具の中で、1つ気になる点がありませんか?
補色クリームが2本ありますよね?
実は、このうちの1本は色の調整を行うために使う「うすめ剤」です。
その名の通り、うすめ剤を使えば補色クリームの色を薄めることが可能。
今回はベージュのクリームとうすめ剤を混ぜ合わせることで革靴に合う色味を調合します。
補色の完成度を高めるためには、
- 革靴に合う補色クリームの色を選ぶ
- 革靴にピッタリ合う色調を再現する
のが重要です。
レノベイティングカラー補修クリーム以外の道具として、
- 補修クリームを塗るための筆
- 色調整のためにパレット代わりにするプラ板
も用意しました。
レノベイティングカラー補修クリームはうすめ剤で色調を変えるだけでなく、絵の具のように色同士を混ぜ合わせて新たな色を作ることができます。
これらの道具を使って以下の手順で革靴の補色をしていきます。
- 補色クリームの色調製
- 革靴へ補色クリームを塗る
- 補色クリームを乾かす
- クロスで補色箇所を磨く
革靴の汚れがひどいときには、補色の前にしっかりと汚れを落としてから作業に臨むようにしましょう。
汚れが色の乗りを邪魔してしまいますからね。
また、キズが深い場合にはあらかじめ紙やすりで表面を平らにしておくと、仕上がりがきれいになるためオススメです。
補色クリームの色調製
まずは補色クリームを革靴の補色したい箇所の色に合わせるために、色の調整をします。
サフィールのレノベイティングカラー補修クリームは40色以上のカラー展開があります。
バリエーションが非常に豊富。
ですが、すべての色をカバーできるわけではありません。
必要な色は絵の具のように調製することで、色のバリエーションを無限に作り出せます。
今回の僕の革靴のベージュの色味も、レノベイティングカラー補修クリームのベージュとは発色が微妙に異なります。
そのため、そのままでは使えません。
色の調整が必要です。
ということで、まずは色の調整からすることに。
レノベイティングカラー補修クリームの、
- ベージュ
- うすめ液
をプラ板にとります。

上の写真は白飛びが激しいですが、上がうすめ液、下がベージュです。
次に、筆を使って補色クリームを混ぜ合わせます。

色の変化を見つつ、補色箇所の革と同じような色を目指していきます。
補色クリームのバランスを見極めながら慎重に混ぜ合わせましょう。

ある程度、補色箇所の色へと近づけることができました。
もったいないですね…
無駄を最小限にするにはまだまだ修行が足りません。
日々精進です。
革靴へ補色クリームを塗る
色の調合が終わったら補色クリームを革靴の補色したい箇所へと塗ります。

つま先の変色部分や…

シューレースの色移り箇所にも。
今回は補色箇所が狭いです。
そのため、比較的細い筆を使っています。
しかし、アッパー全体の補色などの補色面積が広い場合には、ペネトレィトブラシや太い筆で一気に補色クリームを塗ることをオススメします。
その方が満遍なく補色クリームを塗り広げられるので、色ムラを作りにくいです。
また、今回のように比較的濃い色(ブラウン)に薄い色(ベージュ)を乗せる場合、
- 1度の補色クリーム塗布だけでは濃い色を覆い隠すことができない
こともあります。
そんなときには2度塗り、3度塗りをして色を重ねていきましょう。

下地のブラウンが見えなくなるまで色を塗り重ねていきます。
補色クリームを乾かす
補色クリームを塗り終えたら、10分程度の時間をおいて補色クリームを乾燥させます。

しばらく放置して補色クリーム中に含まれている有機溶剤を飛ばします。
有機溶剤を飛ばすことで補色クリームの色が革へと定着するのです。
補色クリームを塗った量が多い場合、30分から1時間程度の乾燥時間を設けるようにしましょう。
乾燥が不十分だと、次の磨き工程でせっかく塗った補色クリームを落とすことになります。
クロスで補色箇所を磨く
補色クリームの乾燥を確認したら、補色クリームを塗った箇所をクロスで磨きます。

補色クリームにはツヤを生み出すロウが含まれているので、磨くことでツヤが増します。
そして…。
磨き後の革靴がこちら。

茶色に変色していた箇所の補色をすることで、革靴の装飾のベージュラインが際立つ仕上がりになりました。
つま先のトゥ部分を拡大してみます。

茶色の変色部分をレノベイティングカラー補修クリームで覆い隠せています。
アイレットの部分も合わせてご覧ください。

ベージュのラインがスッと通り、スタイリッシュな印象が増しました。
補色前後の状態を比較
まずはトゥ部の補色クリーム使用前後の比較です。

上が補色クリーム使用前。
下が補色クリーム使用後です。
ベージュの発色がよみがえり、革靴のデザインの輪郭がハッキリしています。
次はアイレット部分。

補色クリームによって茶色のシューレース跡を消せています。
こうして比較してみると、補色効果は一目瞭然ですね。
革靴のデザインをより活かすためには、革の変色を見過ごさずにしっかりと補色して、元のデザインや装飾の雰囲気を維持してあげるのが重要です。
革靴を補色して美しく保とう
今回は革靴の色落ちした箇所の補色方法を紹介しました。
革靴は日々履いていくうちに、色落ち・色あせ・色移りが起こります。
革が変色していくのです。
革の変色も経年変化の内ととらえて付き合っていくという考え方もありますが、それもTPO次第。
ドレスシューズの場合、ビジネスシーンや冠婚葬祭のセレモニーで履く機会も多く、きれいな状態の靴を履くこともマナーとして求められます。
そういったことを踏まえれば革の変色を「味」と言い切ってしまうのも少々問題です。
どのような場面で履く革靴なのかを考えた上で、必要であれば革を補色しましょう。
先ほど紹介した通り、革の補色は意外と簡単です。
構えずにトライしてみてはいかがでしょうか?
足元がきれいになれば気分も軽く、その日1日を楽しむことができますよ。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧頂き、ありがとうございました!









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