コードバンは光沢の強い革種。
革のダイヤモンドといわれるほどの美しさを誇ります。
コードバンはそのままでも光り輝く革で、そのままでも十分美しいのですが…。
ワックスで磨くと、より強い光沢が出てエレガントな見た目が一層増します。
鏡面に仕上げる行為ですね。
コードバンは繊細な革のイメージが強く、
なんて不安がありますが、まったく問題ありません。
コードバンにワックスを塗るメリットはもう1つ。
水への耐性が向上すること。
もともとコードバンは水に弱く、雨に濡れるとすぐにシミができます。
晴れの日専用の靴になりがちですが、ワックスを塗れば少しの雨なら耐えられるのです。
もちろん、ずぶ濡れになったらどうしようもないですが…。
とはいえ、コードバンの水への耐性が向上するのは確か。
輝きの強いコードバンをワックスで磨くのは大いにあり。
本記事ではコードバンを鏡面磨きするメリットを解説します。
あわせて、メリットとデメリットも解説しますね。
- コードバンをワックスで磨くメリットは?
- コードバンをワックスで磨くとどうなる?
- コードバンの鏡面磨き方法を知りたい
コードバンの輝きの弱点
コードバンは馬のお尻の皮をなめして作る革。
革の繊維を無理矢理寝かせて平坦な面を作っています。
コードバンの特徴は光り輝く美しい光沢です。
牛革では出せない圧倒的なツヤが魅力。
例えば、こちら。
コードバンを使った革靴です。
美しいツヤを放っています。
この通り、コードバンは多くの人を虜にする魔性の革種です。
ただ、コードバンには弱点があります。
水に弱いことです。
そもそも革は水に弱い素材。
ただ、コードバンの水への弱さは他の革種よりも顕著です。
少し触れただけで水シミが付きます。
白っぽく変色するのです。
というのも、コードバンは革の繊維を無理に寝かせているため、少しの刺激で革が立ち上がり、シミのようになるため。
水に濡れても同様です。
そのため、コードバンは繊細な革と言えます。
コードバンの美しいツヤは儚いものなのです。
コードバンをワックスで磨くメリット
さて、この記事のメインはコードバンをワックスで磨くことで得られるメリットについて。
コードバンは水に弱いと述べた後にこんなことをいうくらいですから、ワックスのメリット、予想が付きますよね?
そう。
ワックスで磨くとコードバンの水への耐性を高める効果があります。
ワックスは油です。
コードバンをワックスで磨くことはコードバンに油の層を塗るのと同義。
油と水はなじまないのは一般常識。
コードバンの上にワックスの層を作れば、ワックスが水からガードする役目を果たします。
コードバンに水シミができにくくなるのです。
コードバンは水に弱いため、水を避けなければなりませんが、ワックス層は水をはじくため、コードバンを水から守ります。
ワックスを塗り重ねておくと、急な雨でも落ち着いて対応可能。
…と、こんな感じで、コードバンにワックスを塗ると水への耐性を高めるメリットがあります。
当然、ワックスによって強いツヤが出ますから美しさも向上。
見た目をエレガントにしつつ、水への耐性向上を実現。
外見だけでなく、機能性も付与できるのがコードバンをワックスで磨くメリットです。
コードバンをワックスで磨くデメリット
一方で、ワックスで磨くデメリットもあります。
単純に作業がひと手間増えますから面倒です。
- ワックスを塗って
- 磨く
上記のステップを踏まなければなりませんからね。
ただ、コードバンはもともとツヤが強いため、少しワックスを乗せただけで劇的に光ります。
牛革の鏡面磨きよりも圧倒的に早く仕上がるので、かける時間は少なくてすみます。
また、ワックスを塗ってツヤを高めると、コードバン本来の風合いとは質感が少し違ってきます。
当たり前ですけれど。
ワックスで生み出されるツヤは強くシャープな輝き。
対して、コードバン本来の革の輝きはヌラリとした有機的で柔らかい輝きです。
柔和な光沢が好みの人は、ワックスを塗らずにコードバン本来のツヤを楽しんだ方が満足度は高いでしょう。
上記のデメリットはあるものの、ワックスを塗ったツヤは美しく、コードバンの弱点である水への弱さをカバーできる点はデメリットを上回る大きなメリットです。
ぜひともワックスでコードバンを磨いてみてください。
コードバンをワックスで磨く方法
この項目ではコードバンの革靴をワックスで磨く方法について解説します。
実際に磨いてコードバンがどれほど輝くのかを確認することに。
磨く革靴は先ほどお見せしたオールデン(Alden)の975です。
バーガンディのロングウィングチップ。
ホーウィン社のコードバンを贅沢に使った1足。
もともと輝きが強いホーウィン製コードバンですが、ワックスでより一層強い光沢を与えることにします。
手順は以下の通り。
- ワックスを塗る
- ワックスを乾かす
- 磨き上げる
では、実際に作業していきます。
ワックスを塗る
まずは革靴にワックスを塗ります。
光らせたいところに塗っていきます。
つま先にヌリヌリ。
かかと部分にも塗って革靴全体を光らせます。
片足に塗ったらもう片方の革靴にも塗りましょう。
ワックスを乾かす
ワックスを塗った後は乾かす工程。
ワックス中に含まれる溶剤を飛ばして、革の上にワックスのロウ分を固定化させるのです。
溶剤の乾燥が不十分な状態で磨き工程に入ってしまうと、ロウ分がクロスでずれて輝きが生まれにくくなります。
急がば回れの精神で5分程度待ちましょう。
磨き上げる
ワックスを乾かした後はクロスで磨きます。
磨き用クロスを指に巻き付け、ハンドラップで少量の水を付けましょう。
その後、ワックスを少量クロスに付けて革靴を磨きます。
円を描くようにクルクルとクロスをすべらせましょう。
力を入れる必要はありません。
片方の靴をある程度磨いたら、もう片方の靴も。
左右交互に革靴を磨き続けます。
磨き続けるうちに徐々に光沢が出始めてきます。
コードバン本来のツヤがワックスでブーストしていくのが分かりますよ。
磨き続けてもツヤが変わらなくなったら磨き終了。
仕上がりはこちらです。
コードバンの光沢が増しました。
明らかに艶めきが高まり、エレガントなコードバンがますます美しく。
コードバン表面にワックスの油膜が張った状態なので、水への耐性が高まるのも良い点です。
なんだかんだとデメリットを言いつつも、ツヤが出て美しく仕上がるのは嬉しいですね。
コードバンを鏡面磨きした結果
コードバンをワックスで鏡面磨きしたことで靴の見た目や耐水性がどれだけ変わったかを見ていきます。
まずは見た目。
鏡面磨きのビフォーアフターをご覧ください。
見た目は明らかに変わっています。
ワックスで磨いた後は輝きが増しエレガントな見た目に。
上品に仕上がりました。
もう1つ、水への強さを検証。
水を垂らしてみます。
水をかけたときの水弾きはこんな感じ。
水弾きが良いです。
コードバンが水を弾き、玉を作っています。
水をはじくため、水シミができません。
ちょっとやそっとの雨ならなんてことなし。
少しの雨程度ならおびえずに済むようになりました。
ずぶ濡れはさすがにNGです。水シミの原因になるので避けましょう。
コードバンのツヤをワックスで守ろう
本記事ではコードバンをワックスで磨く方法を解説しました。
コードバンはもともと光沢のある革。
ワックスで磨くとさらにツヤが増し、エレガントな雰囲気がアップします。
それだけでなく、コードバンの弱点である水への弱さも軽減。
ワックスの層が水を弾くようになるからです。
コードバンへの鏡面磨きは見た目を美しくするだけでなく、機能面でもサポートする効果があります。
コードバンはもともとツヤがある革なので、
と考えてしまうかもしれません。
しかし、コードバンの鏡面磨きはしっかりと意味のある行為。
コードバン靴がより美しく、気軽な使い心地に進化します。
ぜひ試してみてください。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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