コードバンは馬のお尻の革。
革の繊維を寝かせることで滑らかで密な表面を形成し、美しい光沢を放つコードバン。
そんな美しいコードバンも潤いが失われると光沢が消え、独特の艶やかな質感が損なわれてしまいます。
コードバンは牛革などに比べ裂けやすい革種ですが、潤いが失われたコードバンは更にもろくなり、耐久性に不安が…。
- 裂けてしまってからでは遅い!
コードバンの乾燥を防ぐため、潤いを補給して良好なコンディションをキープしてあげることが必要です。
ということで、本記事ではコードバンに潤いを補給する方法をご紹介します。
ブートブラックの保革クリーム「リッチモイスチャー」を使ったやり方ですよ。
- コードバンの乾燥が気になる…
- コードバンに潤いを与える方法が知りたい
- コードバンにリッチモイスチャーを使っても問題ないの?
コードバンの乾燥は避けなければ!
馬のお尻の原皮をなめして作られる革がコードバン。
革の繊維をむりやり寝かせることで緻密で平らな表面を作り上げ、コードバン特有のみずみずしい光沢を放つようになります。
ただ、その美しい光沢は時間と共に失われていきます。
なぜなら、コードバンが徐々に乾燥してくるからです。
革という素材はだんだんと潤いや油分が抜けていき、カサカサになっていく性質があります。
それは馬革であるコードバンも同じ。
少しずつ潤いと油分がなくなっていきます。
本来、美しい光沢を持つコードバン。
ですが、乾燥が進むとそのツヤが失われ、コードバン表面が荒れたような質感になります。
見た目が損なわれるのはもちろん、耐久性も低くなってしまうのです。
コードバンは緻密であるがゆえに引っ張りに弱く、裂けやすい性質があります。
乾燥が進むとより裂けやすくなってしまうわけです。
裂けやすいだけに!
コードバンへの潤い補給
コードバンが裂けてしまうのを防ぐためには、定期的なお手入れで潤いや油分を補給してあげることが必要です。
保革して潤いと油分をキープすれば、いつまでもコードバンのみずみずしい光沢を維持し、上品な風合いを保てます。
しかし、コードバンのお手入れをするにあたり、一つ注意しなければならないことが。
何それ?
コードバンは水を嫌うため、保革するためのケアクリーム選びは少し気を払わなければなりません。
水を多く含むケアクリームは避けるのが無難です。
コードバンを乾燥から守るためのケアクリームには、水分が少な目のものを選びましょう。
リッチモイスチャーでコードバンに潤いと栄養を与える
コードバンに潤いと栄養を与えるために使うケアクリームには、様々な候補があります。
その中で、この記事中ではリッチモイスチャーを使うことにします。
リッチモイスチャーはシューケア用品ブランド「ブートブラック(Boot Black)」の製品ラインナップのうちの1つ。
革に潤いや栄養を与える効果の高いケアクリームです。
いわば、保革特化型クリーム。
M.モゥブレィのデリケートクリームなど、革に潤いを与えられるクリームは多くの種類がありますが、それらは水分が多く、水を嫌うコードバンのお手入れには不向き。
リッチモイスチャーはロウや油脂を比較的多く含み、相対的に水分量が抑えられているため、コードバンにも安心して使えます。
- ロウ
- 油脂
- 乳化剤
- 水
より詳しい成分にまで言い及ぶと、
- オーガニックアルガンオイル
- マカダミアナッツバター
- ヒマワリバター
- カルナバワックス
など。
高級天然成分が贅沢に配合されたケアクリーム、それがリッチモイスチャーです。
保革特化ケアクリームでコードバンに潤いと栄養を与える方法
ここからはコードバンを乾燥から守るべく、実際にお手入れしていきます。
お手入れするのはこちらの靴。
シェットランドフォックスのウィンストン。
水染めコードバンを使った革靴です。
ウィンストンのコードバンを近くで見てみると…
コードバン特有の光沢が失われていることが分かります。
コードバン靴の履きジワともいうべき深いうねり部分が白っぽくなり、かさついています。
角度を変えて見ても、つま先部分の光沢は感じられるものの、羽根に近づくにつれ光の反射が弱くなっている印象です。
この靴の状態はまだ深刻ではなく、乾燥は軽度。
しかし、さらに乾燥が進むとほとんど光沢が失われ、革自体が毛羽立ったカサカサした質感になってしまうでしょう。
そうなる前に、保革クリームでコードバンに潤いと栄養を与えることが大事です。
コードバンの乾燥を防ぐためのお手入れ方法は以下の通り。
- ホコリを落とす
- 汚れを落とす
- 毛羽立ちを寝かせる
- ケアクリーム(リッチモイスチャー)を塗る
- ケアクリームをなじませる
- 余分なケアクリームを拭き取る
- ブラッシングして仕上げる
ホコリを落とす
まずはコードバンの上に乗ったホコリを落とします。
革に付着したホコリやチリは保革クリームの浸透を邪魔してしまうので、しっかり落としておきましょう。
馬毛ブラシでブラッシングしてホコリを払い落とします。
汚れを落とす
ホコリ落としの後は汚れを落とす工程。
靴に付いた油汚れや水汚れも、保革クリームの浸透を妨げてしまう要因に…。
靴クリーナーで汚れを落としておくことが大事です。
今回、汚れ落としに使うのはブートブラックのレザーローション。
刺激の少ないマイルドな靴クリーナーなので、繊細なコードバンにも使える優れもの。
保革効果もあります。
レザーローションを汚れ落とし用クロスに染み込ませ…
コードバンを拭いていきます。
力を加えず、優しくなでるように拭きましょう。
コードバン全体の汚れ落としが終わったら、次の工程に移ります。
毛羽立ちを寝かせる
続いて、コードバンの革繊維を整えていきます。
コードバンは革の繊維をむりやり寝かせているため、水に塗れたり、どこかにぶつけたりしたときに寝かせた繊維が毛羽立ってしまうことがあります。
革繊維の毛羽立ちはコードバンの均一で滑らかな表面を崩し、折角の美しいツヤを損なわせる原因に…。
ただ、心配は無用。
そのような毛羽立った繊維は、力を加えて押し込むことで再度寝かせることが可能です。
コードバンの毛羽立ちを解消するために使うのは、水牛の角から作られたレザースティック。
滑らかな表面のため、コードバンを傷付けずに繊維を寝かせることができます。
レザースティックでゴシゴシとコードバンをこすっていきましょう。
ケアクリームを塗る
ここで今回の主役が登場。
リッチモイスチャーでコードバンに潤いと栄養を補給します。
まずはリッチモイスチャーを指に取りましょう。
とろみのある液体です。
そのままコードバンに塗っていきます。
片足分だけリッチモイスチャーを塗った様子がこちら。
向かって左側だけリッチモイスチャーを塗っています。
ツヤが出てピカピカしていますね。
もう一方の靴にも塗っていきます。
左右両方の靴にリッチモイスチャーを塗り終えました。
次の工程に進みます!
クリーム塗布用の小型ブラシを使ってリッチモイスチャーを塗るのもオススメです。手を汚さずに作業できます。
ケアクリームをなじませる
リッチモイスチャーを塗った後は、革になじませる作業をします。
馬毛ブラシで全体をブラッシングし、リッチモイスチャーを革になじませていきます。
革靴はディティールが細かいため、隅々までリッチモイスチャーを行き渡らせる効果もあり。
ここで使う馬毛ブラシは、先ほど使用したホコリ落とし用の馬毛ブラシとは別のものを使いましょう。
ホコリ落とし用のブラシに毛先にホコリやチリが付いているかもしれません。
せっかく革靴から払い落としたホコリを、再び付けてしまうことになりますからね。
両足分にリッチモイスチャーをなじませた後の状態はこんな感じ。
リッチモイスチャーが乾くまで少し乾燥時間を設けます。
リッチモイスチャーが浸透していくのを待ちましょう。
余分なケアクリームを拭き取る
コードバン表面のリッチモイスチャーのテカリがおさまってきたら、クロスで拭き上げます。
保革のためのケアクリームは必要最低限の量で十分。
革上に残った余分なクリームは、布できれいに拭き取りましょう。
余分なクリームが革に残ると、べたつきの原因になります。
しっかり落としておくと良いです。
クロスで全体を拭き上げるとこんな感じに。
これでお手入れ終了でも良いのですが、今回はもう一手間加えて仕上がりをより良いものにしてみます。
ブラッシングして仕上げる
最後に、山羊毛でブラッシングしてツヤめきを高める作業をします。
繊細で柔らかな山羊毛でブラシ掛けすると、保革クリームがならされ、輝きが強まるのです。
円を描くようにブラッシングします。
やさ~しく、ブラッシング。
一通りブラッシングを終えたら、コードバンのお手入れは全工程終了。
仕上がりを確認してみましょう。
まずは全体像。
コードバンの奥行きのある上品なツヤが感じられますね。
もっと近づいて…
ツヤッツヤです。
コードバンの滑らかさに驚かされる仕上がりに。
お手入れ前後比較|コードバンに潤いと栄養を与えたらこうなった
コードバンの乾燥を防ぐためのお手入れによって、革靴の状態がどのように変わったのかを比較します。
どん。
上がお手入れ前、下がお手入れ後。
リッチモイスチャーでお手入れしたことで、履きジワのうねり部分の白っぽさがなくなり、一枚革のツルッとした印象が強くなっています。
ツヤが増し、コードバンのみずみずしい質感をより堪能できる仕上がりに。
ここまで違うと気持ち良いです。
モチモチとした触り心地でカサつきは一切ありません。
保革特化ケアクリームでコードバンの乾燥を防ごう
本記事ではコードバンを乾燥から守るためのケア方法を紹介しました。
コードバンは革の特性上、裂けやすい素材。
乾燥が進むとそのリスクがより高まります。
革のツヤも失われることに…。
コードバンの乾燥を防ぐためには保革が必要です。
しかし、コードバンは繊細な素材のため、お手入れクリーム選びには少し気をつけなければなりません。
ブートブラックのリッチモイスチャーは、水分を嫌うコードバンにも安心して使えるケアクリーム。
優れた保革作用を持つリッチモイスチャーは、コードバンにしっかりと潤いと油分を与え、モチモチとしたみずみずしいツヤをよみがえらせます。
と感じたら、リッチモイスチャーでお手入れしてみてください。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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