ドイツのシューケアブランドのタピール(Tapir)。
タピールの代表的なレザーケア用品として以下の2つの製品があります。
- レーダーオイル
- レーダーフレーゲ
どちらも褐色のガラス瓶に入った液状のケア用品で、
と疑問に感じる人は少なくありません。
筆者自身、レーダーオイルとレーダーフレーゲを実際に購入して使う前までは、
と思っていました。
今となっては反省しています。
実際の製品はそれぞれ特徴があり、まったく違います。
含有成分はもちろん、液性や使い心地、革の仕上がりも違うのです。
何が違うのかをざっくり一言で表現すると、
- レーダーオイルはクリーニング効果が高い
- レーダーフレーゲはツヤをしっかり出す
それぞれ上記の通りの製品です。
本記事ではタピールのレーダーオイルとレーダーフレーゲの違いを比較しつつ解説します。
- レーダーオイルとレーダーフレーゲの違いを知りたい
- レーダーオイルとレーダーフレーゲで革の仕上がりはどう変化する?
- レーダーオイルとレーダーフレーゲをどう使い分ける?
レーダーオイル | レーダーフレーゲ |
---|---|
特徴 | |
使いやすく革に浸透しやすい 伸びが良い |
デリケートレザーにも使える レーダーオイルほどではないが伸びが良い |
配合成分 | |
酢を配合してしるのでクリーニング効果が高い ひまし油 |
ロウ配合でツヤ出し効果が高い みつろう |
仕上がり | |
マット 革本来の質感を引き立てる |
ツヤあり 革に控えめな光沢を与える |
仕様 | |
容量が多い 容量:200ml |
容量が少ない 容量:100ml |
おすすめの人 | |
革の汚れが気になる人 靴クリーナー代わりに使える |
保革とツヤ出しを同時にしたい人 保革クリーム+ツヤ出しクリームが可能 |
タピールのレーダーオイルとレーダーフレーゲはどちらもレザーケア用品
レーダーオイルとレーダーフレーゲはどちらもタピールのレザーケア用品です。
タピールはドイツ生まれのレザーケア用品ブランドであり、
- レーダー(Leder)
とは、ドイツ語で革の意味。
- オイル(Ol)
は油。
- フレーゲ(Pflege)
は手入れを指す言葉です。
つまり、レーダーオイルは革の油。
レーダーフレーゲは革の手入れを指します。
製品名から読み取れるように、レーダーオイルはオイル状のケア用品。
レーダーフレーゲは乳液タイプのケア用品です。
どちらも革のお手入れに使う道具。
ただ、この情報だけだと、
よく分からないですよね?
そこで、次の項目からレーダーオイルとレーダーフレーゲの具体的な特徴と製品仕様を見ていくことにします。
レーダーオイルとレーダーフレーゲの特徴
この項目では、レーダーオイルとレーダーフレーゲのそれぞれのケア用品について特徴を解説します。
特徴を知った上で2種の製品を比較するという順序で記事解説を進めていきますね。
レーダーオイル
まずはレーダーオイルについて。
レーダーオイルは革製品全般に使えるケア用品です。
成分は以下の通り。
特徴的なのが酢を配合していること。
- ひまし油
- なたね油
- オレンジテレピンオイル
- 酢
酸性を示す酢は、汚れを中和して汚れを落としやすくする作用があります。
そのため、レーダーオイルは汚れ落とし効果が高いです。
また、ロウ分が一切含まれていないため、革にツヤを与える効果はそこまで強くありません。
レーダーオイルでケアすると革本来の風合いを活かした自然な仕上がりになります。
レーダーフレーゲ
続いて、レーダーフレーゲについて。
レーダーフレーゲは乳液状の保革クリームです。
レーダーオイルよりも粘度が高め。
成分は以下の通りです。
- みつろう
- シュガーケーンワックス
- カルナバワックス
- ホホバオイル
- オレンジテレピンオイル
- 植物性ステアリン
- アンモニア
- 水
レーダーオイルよりも含有成分多め。
特徴的なのは、レーダーオイルには含まれていなかったロウ分が複数添加されていることです。
ロウは革表面に膜を張るため、仕上がりに光沢が生まれます。
レーダーフレーゲは革に栄養を与えつつ、ツヤを生み出す効果を持っているのです。
レーダーオイルとレーダーフレーゲの異なるポイント
レーダーオイルとレーダーフレーゲの特徴が分かったところで、それぞれのアイテムを比較してみます。
まず、成分がまったく違います。
比較表で示しますね。
項目 | レーダーオイル | レーダーフレーゲ |
効果 | 汚れ落とし・保革 | 保革・ツヤ出し |
性状 | オイル | クリーム |
容量 | 200ml | 100ml |
価格 | 2,640円 | 2,640円 |
革の汚れ落とし効果はレーダーオイルに軍配が上がります。
ひまし油と酢の洗浄効果が高く、オイル状ということもあり、革に良く広がって汚れを浮かし取ってくれるからです。
保革作用に関してはレーダーフレーゲが有利。
配合成分が多く、保革に効く成分が単純に多いです。
光沢付与に関してもレーダーフレーゲがより優れます。
ロウ分が含まれていることによるものです。
レーダーオイルとレーダーフレーゲの価格は同じですが、容量には違いがあります。
レーダーオイルは大容量。
200ml。
レーダーフレーゲの100mlに対して倍の量です。
つまり、レーダーフレーゲの方が高級品ということ。
配合成分の多さや成分の希少度からも高価なのは納得です。
中身の液体の比較をしてみます。
レーダーオイルは層分離した液体。
酢とオイルが混ざり合わないからですね。
使うときにはよく振って成分同士を混ぜ合わせます。
レーダーオイルは濁った液体。
見た目は一様ですが、レーダーオイル同様、成分を均一にするためによく振って使います。
どちらもねじ込みタイプのプラスチック製の蓋が付いています。
クロスにとって見てみましょう。
レーダーオイルは黄色味の油。
レーダーフレーゲは白っぽいクリーム。
クロスにはレーダーオイルがよく浸み込みます。
比較的粘度の高いレーダーフレーゲは、クロスの上にとどまりやすいです。
クロスに浸み込んでロスする分を考慮すれば、無駄なく使うためにレーダーオイルは指に直接取って塗り込む使い方をしてもOK。
レーダーフレーゲはレーダーオイルよりもクロスに浸みません。
クロスに取り分けたとしても無駄なく塗れます。
レーダーオイルとレーダーフレーゲの使用感の違い
それぞれの特徴がわかっても、
そんな人は多いでしょう。
かくいう筆者もそう。
ということで、この項目ではレーダーオイルとレーダーフレーゲの使用感の違いを解説します。
レーダーオイルとレーダーフレーゲをレザーマットの上に出し、塗り込む検証をしてみます。
レーダーオイルは浸透性の高さからオイルを革に乗せた瞬間から奥深くへと浸透している感じ。
一時的ではありますが、革の色が濃くなります。
オイルの性状としては、とても塗り広げやすいです。
革に塗り広げた後の様子はこちら。
革の表面からさらに下の層にまで浸み込んでいる感じです。
続いて、レーダーフレーゲをヌリヌリ。
レーダーフレーゲは先ほどのクロスに乗せたときと同様、レーダーオイルほどは革に浸透していきません。
革の上にとどまっている成分が比較的多いです。
ただ、塗り広げやすさは作業性を考慮すれば十分すぎるほど。
ストレスを感じることはありません。
とはいっても、レーダーオイルと比べると作業性はやや劣ります。
それぞれを塗り広げた後の革の状態はこんな感じ。
レーダーオイルは革の色が濃くなり、奥深くまで浸透しているのが分かる見た目。
淡い色の革やヌメ革などのデリケートレザーに使う際には、事前に目立たないところでシミにならないか試すのをおすすめします。
一方のレーダーフレーゲは塗る前とまったく変わらない革の質感です。
ただ、磨くことでツヤが出ます。
ロウが含まれていますからね。
ツヤを出したくないなら、塗るだけ塗って磨かなければOKです。
使用感をまとめると以下の通り。
- とても伸びが良い
- 革の奥深くまで浸透する
- 淡い色の革やデリケートレザーはシミになる恐れがある
- レーダーオイルには劣るが伸び良好
- 革の見た目は変わらず
- デリケートレザーにも安心して使える(付け過ぎには注意)
レーダーオイルとレーダーフレーゲの使いどころ
レーダーオイルとレーダーフレーゲの使いどころとして、これまでの比較結果を踏まえると以下の通りとなります。
- 汚れ落としと簡易保革
- デリケートレザーに使う際には注意
- 保革とツヤ出し
レーダーオイルは靴クリーナーとしての出番が期待できます。
一方のレーダーフレーゲはデリケートクリームや靴クリームの代わりとして使用可能。
どちらの製品も、この用途だけと限って使うのはもったいない万能レザーケア用品。
ですが、強いていえば上記シーンでの使用をおすすめします。
追加の提案として、
- レーダーオイルで汚れを落としてから
- レーダーフレーゲで追加の栄養補給とツヤ出しをする
といった組み合わせでの使用もアリです。
ただし、その場合は付け過ぎには注意しましょう。
どちらも革に浸透する感覚が心地良く、ついつい使いすぎてしまいます。
付け過ぎは革が柔らかくなり過ぎたり、べたついたりする原因になりますから気を付けましょう。
レーダーオイル | レーダーフレーゲ |
---|---|
特徴 | |
使いやすく革に浸透しやすい 伸びが良い |
デリケートレザーにも使える レーダーオイルほどではないが伸びが良い |
配合成分 | |
酢を配合してしるのでクリーニング効果が高い ひまし油 |
ロウ配合でツヤ出し効果が高い みつろう |
仕上がり | |
マット 革本来の質感を引き立てる |
ツヤあり 革に控えめな光沢を与える |
仕様 | |
容量が多い 容量:200ml |
容量が少ない 容量:100ml |
おすすめの人 | |
革の汚れが気になる人 靴クリーナー代わりに使える |
保革とツヤ出しを同時にしたい人 保革クリーム+ツヤ出しクリームが可能 |
レーダーオイルはクリーナーでレーダーフレーゲはツヤ出し保革クリームとして使うのがおすすめ
本記事ではレーダーオイルとレーダーフレーゲの特徴と効果を比較しました。
それぞれタピールのレザーケア用品であるレーダーオイルとレーダーフレーゲ。
似た見た目なので、どんな違いがあるのか分かりにくいですよね?
違いはズバリ、汚れ落ちと光沢付与の程度。
レーダーオイルは洗浄効果が高いです。
酢が革の汚れを強力に落とします。
クリーナーとして大活躍。
一方のレーダーフレーゲは保革だけでなくツヤ出し効果が得られます。
レーダーオイルにはない、ロウが含まれているからです。
靴クリームの代わりとして有用。
ぞれぞれ単体で使えるのはもちろんですが、
- レーダーオイルでクリーニング
- レーダーフレーゲでツヤを出してエレガントな仕上がりへ
上記の通り、2つを組み合わせて使うのもおすすめ。
タピールのレーダーシリーズで革を労わりつつ末永く付き合っていきましょう。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
靴磨きを始めたい。けれど道具をそろえるのが面倒…。
そこでおすすめしたいのが靴磨きセット。1セット買うだけで必要な道具がまるっと揃います。道具選びの手間が不要。今すぐ靴磨き可能に。
大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。