革靴の革底であるレザーソール。
靴を履いていくに従って、レザーソールは徐々に削れていきます。
それに伴い、乾燥が進んでカサカサになった革が毛羽立ち…、
よりソールが削れやすくなって、レザーソールの寿命を縮める…。
削れたレザーソールをそのままにしておくと、そんな悪循環が生じてしまうのです。
そんな悪循環を未然に防ぎ、レザーソールの寿命を伸ばすためには、レザーソールのお手入れが必須。
お手入れすれば革にしっとり感を与えられるため、毛羽立ちを抑えられレザーソールの削れを軽減できます。
それによってソール交換の頻度も低くなり、革靴にもお財布にも優しい結果が得られるのです。
今回、レザーソールのケアに使用するのはM.モゥブレィのソールモイスチャライザー。
本記事では、レザーケア用のクリーム、ソールモイスチャライザーの詳細と使用感をレビューします。
レザーソールのお手入れの必要性
…はい、必要なんです。
「レザーソール」というのは、読んで字のごとく「革製の靴底」。
革と靴底。
この組み合わせ、どう思いますか?
レザーソールのデメリット
革はしなやかで丈夫という特性がありますが、硬い物質との摩擦には弱いです。
アスファルトで舗装された道の上をレザーソールの靴で歩くと、革製のソール(靴底)がガンガン削られていきます。
そう思われる人もいるでしょう。
確かに耐久性という点では、靴底に革を用いるのは適正ではないように見えます。
ですが、レザーソールにはそれを補って余りあるメリットが存在するのです。
レザーソールのメリット
レザーソールのメリットとは、以下の点になります。
- 通気性が高い
- しなやかで返りが良い
レザーソールのメリット一つ目は、通気性が高いことです。
革なので水分を通しやすく、靴の中が蒸れにくいのです。
長時間履いた際の、靴の中の湿り気を比較的感じにくく、革底以外の靴に比べて不快感が軽減されますし、保管時のカビの発生が防げます。
メリット2つ目は、しなやかで返りが良いこと。
先ほども述べましたが、革というものは、なめし直後こそ硬いものの、使用するにつれて徐々にしなやかさを持つようになり、弾力性を示すようになります。
ソールに革を用いた場合、歩行時の足の動きに合わせて、しなやかな革が足に吸い付くようについてくるので、フィット感が抜群です。
レザーソールには、
- とても歩きやすい
という特長があるのです。
このようなメリットがあるからこそ、耐久性に多少の難があっても、靴のソールに革が使い続けられている、というわけなんです。
そのために必要なのが、レザーソールのお手入れなんですね。
レザーソールのデメリットを補うためにケアをしてあげる、という意味合いです。
そして、レザーソールのお手入れに使用するのが、今回ご紹介するソールモイスチャライザーなのです。
ソールモイスチャライザーの詳細
ここで、ソールモイスチャライザーについて詳しくご説明します。
こちらが外観。
ヨーロッパの伝統的な製法とノウハウを駆使して作られるシューケアブランドであるM.モゥブレィにてラインナップされているシューケア用品。
こちらのソールモイスチャライザーですが、レザーソール用の栄養クリームなのです。
容器裏面には次の記載があります。
革は潤いがなくなると摩耗しやすくなり、特にレザーソールは地面と摩擦することですり減りが早くなります。ソールモイスチャライザーはレザーソールを長持ちさせるための栄養クリームです。雨で塗れた後、乾燥して固まってしまったソールには特におすすめです。
- レザーソールを長持ちさせる
そんな効果がソールモイスチャライザーにはあるのです。
このクリームの構成成分は以下の通りとなっています。
- ラノリン
- 油脂
- 有機溶剤
配合成分のうちの1つに、ラノリンがあります。
ラノリンというのは羊毛の表面に付いているロウのことで、羊毛脂とも呼ばれます。
ラノリンは吸水性が高く、革に良くなじむため、革の奥深くまで浸透しやすいという特徴があります。
そのため、革へ柔軟性を与える効果が強く、レザーソールのしなやかさを高めて、返りを良くすることができるのです。
また、ソールモイスチャライザーには油脂も含まれているため、栄養補給も抜かりなく行えますし、同じく、有機溶剤が含まれていることによって汚れを落とす効果もあります。
ソールモイスチャライザーを使うことで得られる効果をまとめたものが以下になります。
- レザーソールに栄養を与える
- レザーソールに柔軟性を与え、歩きやすさが向上
- レザーソールのすり減りを抑制して、耐久性が高まる
- クリームの吸収が良く、表面に残らない(歩行時の滑りやすさ軽減)
- レザーソールの汚れを落とす効果あり
効果満載。
ソールモイスチャライザーでレザーソールをケア
ソールモイスチャライザーのご紹介がひと段落したところで、実際にレザーソールのケアに使ってみようと思います。
ソールのお手入れをするのはこちらの革靴。
リーガルが展開するブランドの一つである、シェットランドフォックスのコードバン靴
です。
この靴を裏返しますと…
実は以前、ソールの色付けを行っているのですが、革が削れたところはその面影が無くなっていますね。
ソールの削れが進行することで、革の毛羽立ちが目立っています。
この状態のまま履き続けてしまうと、革の毛羽立ちがますます地面との摩擦を生み、加速度的にソールが削れていってしまいます。
怖っ!
そうなる前に、ソールモイスチャライザーで革へ潤いを与えてしなやかさをよみがえらせ、削れを予防します。
作業手順は以下のように。
- ゴミやホコリを落とす
- 水汚れ・油汚れを落とす
- ソールモイスチャライザーを塗る
- レザースティックでこする
早速、やっていきましょう!
ゴミやホコリを落とす
まずは、ソールに付着している比較的大きめのゴミや小石などをかき出すために、タワシでブラッシングします。
レザーソールは革なので比較的柔らかく、地面に落ちている小石やゴミなどが食い込むことがあります。
それらを、毛のコシが強力なタワシでかき出します。
続いて、馬毛ブラシでブラシ掛けして細かいホコリを払い落とします。
それは、馬毛ブラシは毛が柔らかいため、ブラッシング時の毛の反発力が足りず、ソールに食い込んだ小石などを取り除きにくいためです。
水汚れ・油汚れを落とす
次の工程は、汚れ落としです。
レザーソールに付着した水汚れや油汚れを靴用クリーナーで除去します。
靴用クリーナーは、ブートブラックシルバーラインのツーフェイスローションを使用します。
水汚れを落とす成分と油汚れを落とす成分が混合された、万能なハイブリッドクリーナーです。
このクリーナーをクロスに取りまして…
ソールを拭いて汚れを落としていきましょう。
ソールは直接地面と接触する箇所なので、相当汚れやすいです。
汚れが残っていると、ソールモイスチャライザーのソールへの浸透が邪魔されてしまうのでしっかりと落とすようにしましょう。
ソールを拭いた後はクロスがかなり汚れます。
クロスが汚れてくると汚れ落ちが悪くなり、クロス上の汚れをソールへ塗りこむことにもなりますので、ある程度の段階でクロスの面を新しくしましょう。
クロスを新しい面にし、改めてクリーナーをクロスに取り、ソールを拭きます。
この作業を、クロスに汚れがほとんど付かなくなるまで繰り返します。
汚れをしっかり落とすことで、この後のソールモイスチャライザーの浸透を助けることができます。
ソールモイスチャライザーを塗る
ここでいよいよ主役の登場です。
ソールモイスチャライザーをレザーソールへ塗ります。
ソールモイスチャライザーを塗るときは、ペネトレィトブラシを使うと作業しやすいです。
なによりソール全体へ均一にクリームを塗れるのでオススメ。
ペネトレイトブラシにソールモイスチャライザーを適量取りまして…
ソールへと塗り込みます。
革が削れているところは、特に重点的にクリームを塗り、潤いと栄養を与えることを意識しましょう。
両足ともソールモイスチャライザーを塗り終わった後の様子がこちらです。
革の削れによる毛羽立ちが目立たなくなり、全体的に革がしっとりとした印象となりました。
レザースティックでこする
ソールモイスチャライザーを塗った後は、レザースティックでソールを擦ります。
スティックでソールを擦って力を加えることで、革の毛羽立ちを解消すると共に、革の繊維を圧縮して密度を高めます。
そうすることで革の繊維が締まって強度が増し、ソールが光沢を帯びて美しくなります。
そして、肝心のレザースティックというのがこちら。
その名もアビィ・レザースティック。
水牛の角から作られた、革靴のお手入れ用のスティックです。
革に力を加える際に使用するスティックで、表面が非常に滑らかなため、革を傷付ける心配がありません。
主にコードバン靴の水シミや銀浮きを解消するために使用するスティックなのですが、レザーソールのお手入れにも使えます。
ソールのケアに使うときは、クロスで巻きましょう。
ソールは凸凹があり、レザースティックを傷つけてしまうかもしれないため、スティックをクロスで保護してあげるのです。
そして、ソールをこすります。
ソールを押し込むように、また、上下左右のすべての方向からこすり、あらゆる角度から力を加えます。
この作業をすることで、ソールモイスチャライザーが革にしっかりと入り込み、栄養を与えて、革底の潤いを保つことができるというわけです。
レザースティックでソールを押し込んだ後の様子がこちらになります。
レザーソールの毛羽立ちが抑えられ、革に光沢が現れています。
拡大図を見てみましょう。
光を反射しているという事は、革の繊維が密に詰まっている証拠。
最後に、レザーソールのお手入れ前後の状態を比較してみます。
上がお手入れ前、下がお手入れ後です。
全然違いますね。
刮目してみなければ!
ソールモイスチャライザーでお手入れすることで、革にみずみずしさが戻り、見た目にも美しくなりました。
ソールも削られにくくなって、言うことなしです。
定期的なソールのお手入れで革靴の寿命を延ばしましょう
本記事はM.モゥブレィのソールモイスチャライザーを使ったレザーソールのお手入れ方法について書きました。
レザーソールは革製なので、その靴を履いて歩くと、どうしたって削れや汚れの染み込みは避けられません。
消耗が避けられない以上、大事なのはレザーソールの定期的なお手入れです。
放っておくと加速度的に劣化が進むレザーソールも、お手入れすれば劇的に寿命を延ばせます。
ソールモイスチャライザーはレザーソールに必要な栄養や潤いを与え、革の柔軟性も向上。
歩きやすさが改善します。
買ったばかりでソールが硬く歩きにくい靴も、ソールモイスチャライザーを使えばソールの返りが良くなってストレスが軽減されると思います。
ラノリンオイル配合で革への柔軟性付与効果も高いソールモイスチャライザー。
ぜひ試してみて下さい。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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