本記事では、オイルドレザーのお手入れについて手順を追いながらご紹介していきます。
オイルドレザーとはその名の通り、油をたっぷりと含ませた革。
丈夫で乾燥しにくい特長を持ちます。
革靴の美しさというものはその形状はもちろん、革自体が放つ独特の風合いによるところも大きいですよね?
革が持つ美しい風合いというのは、革に含まれている水分や油分が適度に保たれることであらわれます。
オイルドレザーは油を多く含んでいるため、革のみずみずしさが長期間保たれ、ある程度の期間はお手入れしなくても革の風合いを楽しむことが可能。
ですが、そんなオイルドレザーも全くメンテナンスしないと、いずれ乾燥してしまいます。
革の乾燥は百害あって一利なし。
乾燥した革は独特の風合いが失われ、ひび割れが発生しやすくなるのです。
オイルドレザーとは
オイルドレザーというのは、皮をなめす工程でふんだんに油を染み込ませることで、出来上がりの革のしなやかさを向上させ、丈夫さを持たせた革のこと。
製造させる過程で油分を十分に染み込ませているため水をはじきやすく、撥水性に優れるという特性もあります。
そのため、オイルドレザーを使用した靴はその丈夫さと水への強さから、アウトドアシーンなどの比較的過酷な環境でも気兼ねなく履くことが可能。
でも、いくらオイルドレザーの靴が丈夫だからといって、ガシガシとハードに履いた後のメンテナンスを怠ってしまうと革の乾燥が進行してきます。
そうなると、折角のオイルドレザーの特長の、油分が含まれているゆえのしなやかさと撥水性が失われてしまことに…。
ただの乾燥した革になってしまうのです。
したがって、オイルドレザーの靴もその他革種の靴と同様に、お手入れをして栄養補給をしてあげる必要があります。
乾燥したオイルドレザーをご覧あれ
オイルドレザーにも栄養補給が必要ということがわかったところで…。
今まさに、栄養補給が必要なオイルドレザーの靴をご覧いただきます。
これだぁぁ~~!

レッドウィング(RED WING)の短靴。
遠目から見ても革が乾燥していることがわかりますね。

近づいてみると余計に顕著。
オイルドレザー本来の深く濃い色と、革が乾燥して色が薄くなっている箇所が混在しています。
実はこれ、メンテナンスせずに履きまくってこうなったということではありません。
ジェイソンマークのシュークリーナーを使用して、靴を洗った後の状態です。
洗剤と水を使ってブラシでゴシゴシ革をこする工程を経ると、いくらオイルドレザーとはいえ、乾燥するのは当然っちゃ当然です。
今回は、この乾燥した革靴に栄養である油分を補給していきます。
長期間メンテナンスしていないことによるオイルドレザーの乾燥の場合でも、今からご紹介する手順と同じ方法でケアできます。
オイルドレザーに油を入れ直す作業工程
オイルドレザーにおいても、油分補給の方法は通常の靴磨きとあまり変わりません。
まずは作業工程を見てみましょう。
- 靴のホコリを払い落とす
- 靴に付いた汚れや古い靴クリームを落とす
- 革に油分を与える
- 油分をブラシでなじませる
- クロスで磨く
大きく分けて全5工程。
普通の革靴と手順は変わらないですね。
ホコリを払い落とす
まずは、馬毛のブラシでブラッシングして細かいホコリなどを払い落とします。

ここでホコリを落としておくことで、この後の汚れ落としや油分補給がホコリに邪魔されなくなります。
靴に付いた汚れや古い靴クリームを落とす
続いて、靴用クリーナーで汚れや古いクリームを落とす工程に移ります。
今回ケアする靴は既にジェイソンマークの洗剤で洗っているのですが、靴上に洗剤成分が残っている可能性を加味して、念のためクリーナーを使用します。
使うのはこちらのクリーナー。

ブートブラックシルバーラインのツーフェイスローションです。
ツーフェイスローションは靴用のクリーナーで、水性クリーナーと油性クリーナーの2種の成分を含んだ、いわばハイブリッドクリーナー。
水汚れは水性クリーナー、油汚れは油性クリーナーにそれぞれ溶け込むので、どちらの種類の汚れも一度に落とせる優れもの。
このクリーナーをクロスに取り、靴のアッパーを拭きます。


靴に汚れが残っていると、この後に行う油分補給の効果が薄れてしまいます。
汚れが油の浸透を阻害してしまうためです。
しっかりと汚れを落としましょう。
でも、ゴシゴシこするのはNG。
革を傷めてしまいます。
クロスでなでるようにです!
革に油分を与える
汚れを落としたら、次は革に栄養を与えましょう。
栄養補給剤はこちら。

レッドウィングのオールナチュラルレザーコンディショナー。
レッドウィングのオイルドレザー用のペースト状クリームで、オールナチュナルと読んで字のごとく、すべて天然成分で構成されています。
天然のミンクオイル(動物性油脂)とビーズワックス(蜜蝋)、加えてパインピッチ(松ヤニ)を配合。
レッドウィングでは、オールナチュラルレザーコンディショナー以外にも、オイルドレザーに油分を与えるミンクオイルも販売しています。
どちらを使用するか迷ってしまうのですが、僕がオールナチュラルレザーコンディショナーを選択したのには理由があります。
オールナチュラルレザーコンディショナー使う理由
どちらを使用しても油分補給効果はあるのですが、どこが違うのかというと…。
オールナチュラルレザーコンディショナーは、100%天然成分から作られているためコストが高いものの、天然成分のみを使っている分、環境にも革にも優しい製品であり、革への浸透も良好です。
加えて、パインピッチ(松ヤニ)が放つ松の香りが使用時の気分を高めてくれる効果もあります。
一方のミンクオイルは、有機溶剤を主成分として、ろう・シリコンなどを加えることで防水効果を高める効果が高く、比較的低価格です。
ミンクオイルは、ろうやシリコンが入っているため防水効果が高いことに対し、オールナチュラルレザーコンディショナーは、革への浸透性の良さや革の保護という点において優れた効果を発揮します。
僕としては、オイルドレザーのしなやかさや革本来の美しさという点を重視したかったので、オールナチュラルレザーコンディショナーを選択しました。
オイルドレザー靴にオールナチュラルレザーコンディショナーを塗る
ペーストを手に取ってみますと、こんな感じ。

「スッ」と手に取ることが可能な柔らかさがあります。
これを革の乾燥した箇所を中心に塗り込んでいきます。

付けすぎ注意です。
ミンクオイルは塗りすぎると、革を必要以上に柔らかくしてしまいます。
目安としては、
もうちょっと塗った方が良いかな
くらいのところで一度止めておきましょう。
後日、革の様子を確認して、
まだ革が乾燥していると思ったら付け足す
といった具合が良いです。
油分をつぎ足すことは簡単にできますが、油分を抜くことは容易ではないですからね。

ウェルト部分の乾燥も激しいので、ここにもしっかりとオールナチュラルレザーコンディショナーを塗り込みます。
オールナチュラルレザーコンディショナーを塗った後の状態は?
オールナチュラルレザーコンディショナーを塗り終わった革靴の状態がこちら。

革へ与えた油分をブラシで馴染ませる
革に油分を塗り込んだら、それらの油分を革へまんべんなくなじませます。
そう。
ブラッシングです。
使用するのは豚毛ブラシ。

大きな動きでアッパー全体をブラシ掛けしていきます。
ブラッシングによって油分が革へ入り込むサポートをするとともに、余分な油分を革上から取り除けます。
クロスで磨く
ブラッシング終了後は、1日程度靴を静置して革へ油分が浸透するのを待ちます。
………。
はい!
行間はほぼありませんが、1日経ちました。
クロスで余計な油分を拭き取りましょう。

これを怠ると、革に残った油分がホコリを吸着し、せっかく与えた油分がホコリに奪い取られてしまいます。
ホコリだらけの靴は見た目にも美しくないですからね。
仕上がりを確認
これにて作業は終了。
仕上がりを見てみましょう。
こんな感じになりました。

革にしっとり感が戻り、ツヤ感も出ています。
作業前後を比較してみましょう。

靴のトゥ(つま先)部分に注目すると、革の色が全く異なることがわかりますね。
ケア前は革の油分が抜けきっていることが遠目からでもわかりますが、ケア後はそんな状態であったことなど微塵も感じさせない雰囲気に。
靴ひもを通すと…



縫い目部分も白く、さらに、アッパーの潤い感も十分です。
オイルドレザーにも定期的な栄養補給を
本記事では、乾燥したオイルドレザーの靴に油分を与える方法をご紹介しました。
今回はレッドウィングの革靴を例にとり、ケアを行いました。
しかし、その他ホワイツやダナー等、各ワークブーツメーカーのオイルドレザー靴も同様の手法でお手入れができます。
ぜひ試してみてください。
いくらオイルドレザーが油分たっぷりで丈夫といっても、メンテナンスしなければ乾燥は避けられません。
乾燥してしまった革はしなやかさが失われ、傷がつきやすくなったり、あまりに乾燥しすぎると割れてしまうことだってあります。
もちろん、オイルドレザーもその例に漏れず…。
オイルドレザーの優秀さにあぐらをかかずに、定期的なケアをしてあげましょう。
その頻度は他の革靴よりも圧倒的に少なくて良いですけどね。
感覚的には、年に1回程度でも十分。
ちなみに、オイルドレザー靴の普段の日常的なお手入れについてはブラッシングだけでOKです。
基本的にオイルドレザーはラフに、気楽に履ける革靴ですので、革への栄養補給はホントにたまにで大丈夫。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!






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