日本には、
- 春夏秋冬
4つの季節がありますよね。
季節によって服装は変化していきますが、足元はどうでしょうか?
ビジネスの場では季節を問わず、革靴を履いている方が多いと思います。
ですが、カジュアルに履く靴は、着る服と同様に季節に合わせて変化していくもの。
極端な話、夏にブーツ・冬にサンダルを履いていたら悪い意味で注目の的。
浮いたファッションになってしまいます。
季節に合った靴選びもファッションを楽しむ上では重要です。
その中で、
- デッキシューズ
もまた、季節感を考慮したい靴の一種。
サンダルほどではないにしろ、足下の軽快感を演出して涼しげな印象を与えるデッキシューズは、春から夏の靴というイメージが強いです。
夏が終わって秋となり、冬が近づいている時期には出番がめっきり無くなるデッキシューズ…。
次のシーズンに備えて下駄箱の奥へ収納され、来季の出番を待つ…。
でも、その前にやることがあります。
それは、
- 靴のお手入れ
です。
本記事では、長期間にわたって革靴を収納する際にしておくべきお手入れについて紹介します。
栄養たっぷりの保革クリームを使ったケア方法です。
革靴を長期間収納する前にすべきこと
シーズンが過ぎた靴。
今回の例だと、
- デッキシューズ
なわけですが、夏が終わるとめっきりと出番が減ります。
夏の到来に備えてデッキシューズのケアをし、その後、デッキシューズをガシガシ履いて夏を過ごす…。
いつもと変わらぬ夏の日々。
ただ、熱い夏の時期も終わる頃には、デッキシューズを履く機会も極端に少なくなります。
というのも、デッキシューズは元々船舶のデッキ(甲板)で履くことを想定され、作られた靴。
水はけを考慮して履き口が広く取られています。
そのため、足下に軽快さが生まれ、爽やかで涼しげな雰囲気を演出できるのです。
それゆえに夏は重宝するものの、秋や冬には…
秋冬にデッキシューズは見てるだけで寒い…
という印象を持たれてしまいます。
- 夏を過ぎると出番が減る
というのにはこういった理由があるのです。
秋冬に備えて服装だけでなく、靴も衣替え。
デッキシューズは下駄箱の奥へと収納されることでしょう。
でもその前に、それが革靴であるのならば靴のケアをすべきです。
長期間保管の前に革靴を保革する必要性
革靴は時間がたつにつれ革の乾燥が進み、水分や油分が失われていきます。
長期保管すればするほど、乾燥は顕著に…。
そのまま放置すると、革の硬化やヒビ割れを引き起こしてしまいます。
そのため、革の乾燥を防ぐために定期的な水分・油分補給が必要です。
常日頃、通年で履いている靴のお手入れは重要ですが、これから長期間収納する革靴であれば尚更。
保革クリームでの栄養補給が必須となります。
長期保管を前にしたデッキシューズのお手入れ
来季の出番を待つ革靴とは冒頭でもお話しした、
- デッキシューズ
です。
お手入れするのはこちらの靴。
リーガルスタンダードのトリコロールカラーのデッキシューズ。
キップレザー(生後6か月~2年の牛革)を使ったレザーシューズです。
革製なので、乾燥を防止するために保革クリームによる水分と栄養の補給が必要です。
靴の衣替えで下駄箱の奥に収納する前にしっかりケアし、次のシーズンに備えます。
では早速、今回の作業工程をお示しします。
- ホコリを払う
- 汚れを除去
- デリケートクリームを塗る
- ブラッシング
- 余分なクリームを拭き取る
- 靴クリームを塗る
- ブラッシング
- 余分なクリームを拭き取る
- ブラッシング
と
- クリームを拭き取る
という工程が2回登場していますね。
いつもの靴磨きとは違い、デリケートクリームと靴クリームを組み合わせた、
- 「クリーム2段構え」戦法
です。
デリケートクリームでしっかりと革へ水分と栄養を与えることで長期保管時の乾燥対策を行ってから、靴クリームでツヤ出しとロウ分による油膜形成を行います。
長期保管を乗り切るため、通常のお手入れ時よりも多めにデリケートクリームを塗り、それをロウ由来の油膜でフタをして、乾燥を防ぐというコンセプトです。
- デリケートクリームで保革
- 靴クリームで油膜形成
おっと、その前に。
まずは靴ひもを外すところから。
ホコリを払う
まずは、馬毛ブラシでブラッシングしてホコリを落とします。
ホコリは革の大敵。
ホコリを付着したまま放置しておくと、革の水分や栄養を吸い取られて乾燥が進行しやすくなってしまいます。
しっかりとホコリを落としましょう。
革靴のお手入れで最も重要なのはブラッシングですからね。
手首のスナップを効かせて、ブラシの毛でホコリを払い落とします。
羽根も広げてホコリをかき出します。
羽根とタンの間はホコリが溜まりやすい箇所ですからね。
汚れを除去
次は、靴の水汚れや油汚れ等のブラシで落とせない汚れを靴クリーナーで落とします。
使用するのはブートブラックシルバーラインのツーフェイスローション。
油性汚れを落とす成分と、水性汚れを落とす成分が分離しており、容器を振って2つの層が混ざり合った状態で使用します。
油性・水性どちらの成分の汚れも落とせる優れもの。
また、配合されている界面活性剤も少なめ。
クリーナー中の溶剤の成分のみをダイレクトに革へ作用させることができるため、洗浄効果も高いです。
このクリーナーをクロスに含ませて…
靴のアッパーを拭いていきます。
これから冬眠を迎える靴のお手入れですから、いつもよりも若干気合が入ります。
クロスに汚れが付いていますね。
汚れがしっかり落ちている証拠です。
デリケートクリームを塗る
続いて、デリケートクリームを靴に塗ります。
使うのはサフィールノワール(SAPHIR NOIR)のスペシャルナッパデリケートクリームです。
デリケートクリームは比較的デリケートな革(アニリンカーフやシープスキン、ヌメ革など)にも安心して使えて革に栄養を与えてくれるクリーム。
安心して使えるというのがどういうことかと言うと、
- 革の質感を維持できる
という利点がデリケートクリームにはあるのです。
通常の靴クリームには水分以外にもロウ分や油分が含まれていますが、デリケートクリームは比較的水分が多め。
言い換えればロウ分と油分が少なめに配合されています。
ロウ分や油分は革にツヤを与える効果がありますが、デリケートな革の場合、質感を大幅に変えてしまうことがあるのも事実。
デリケートクリームはそういった心配をせずに、革を良好な状態に保つことができます。
また、水分が多めなので革へ浸透しやすく、革への栄養補給効果が抜群です。
長期保管の前にはデリケートクリームでケアをしておくと、革の乾燥を防ぐことが可能になるのです。
このクリームを指に取り…
靴に塗り込んでいきます。
歩行時の革への負荷が最も大きい甲の履きジワ部分。
ケアを怠ると、革がひび割れてしまいます。
そのため、履きジワへは特に念入りにクリームを塗ります。
クリームを塗り終わったら、次はブラッシングの工程へ。
ブラッシング(1回目)
デリケートクリームを革へとなじませるために、靴を豚毛のブラシでブラシ掛けします。
1回目のブラシはデリケートクリームをなじませるためのブラシ掛けです。
このブラッシングによって、デリケートクリームを更にまんべんなく、革へ行き渡らせることができます。
余分なクリームを拭き取る(1回目)
ブラッシングの後は余分なクリームをクロスで拭き取ります。
革の内部へ浸透しきらなかった栄養クリームをこの段階で拭き取り、次の段階に備えるのです。
靴クリームを塗る
お次は靴クリームを靴に塗ります。
使用するのは先ほどのデリケートクリームと同じシューケアブランドである、サフィールノワールのクレム1925です。
こちらのクリームは、選び抜かれた高級な蜜ロウ(ビーズワックス)やカルナバワックス、シアバターなどで構成された靴クリーム。
皮革に美しいツヤを与えつつ、栄養補給が可能なクリームです。
油性クリームであり、水分が全く入ってません。
そのため、革靴のツヤ出し効果は乳化性の靴クリームよりも高いです。
その分、革への浸透性という点では、油性クリームは乳化性クリームに比べて劣る傾向にあります。
もちろん、すべての靴クリームがその傾向に当てはまるわけではありません。
各社工夫を凝らして、乳化性クリーム、油性クリームそれぞれの欠点を補う成分配合だったり、新しい成分を加えたりして開発を進めています。
今回の場合、先ほど使用したスペシャルナッパデリケートクリームで革への栄養補給はバッチリ。
ということで、
- 革のツヤ出し
のためにクレム1925を使用します。
まずはペネトレイトブラシにクリームを少量取ります。
油性クリームは成分がほぼ油ですので、塗りすぎると革がべた付く原因となります。
米粒1~2粒くらいの量を取るように心がけましょう。
ペネトレイトブラシにクリームを取ったら、靴に塗り込んでいきます。
ペネトレイトブラシを使うことで、革の隅々までクリームを行き渡らせることが可能になります。
靴全体に靴クリームを行き届かせたら次の工程です。
ブラッシング(2回目)
ここで本日2回目のブラッシングです。
靴クリームを豚毛ブラシでブラッシングしてなじませます。
ブラッシングを行う意味合いは先ほどのデリケートクリームと同じ、クリームをなじませるためです。
クリーム塗布用の使用したペネトレイトブラシはハンドリング性は良いものの、一度にブラッシングできる面積が小さいのがネック…。
革全体へ均一にクリームを行き届かせることには不向きです。
そのため、比較的大きめのブラッシング用ブラシを使うと、早く・効率的にブラッシングできます。
余分なクリームを拭き取る(2回目)
最後の仕上げとして余分な靴クリームをクロスで拭き取ります。
最後の工程ですから、特に念入りに。
ここで靴クリームが残ってしまうと、長期保管中に靴クリームがカビの栄養となって、下駄箱から取り出したときには無残な姿に…。
カビの発生を防ぐためにも、抜かりなく拭き取りましょう。
靴ひもを付けたら作業終了、完成です。
心なしか革が喜んでいるような。
革靴を長期保管するときの注意点
ケアも終わったし、下駄箱に…
その前に!
長期保管時の注意点を確認しておきましょう。
収納前に必ず保革クリームを
今回ご紹介した一連のお手入れは革靴の乾燥を防ぐためです。
長期保管中は革靴のお手入れを怠りがちで、乾燥しやすいタイミングでもあります。
保管中とはいえ、定期的なお手入れは実施しましょう。
クリームの塗りすぎ注意
保革クリームを塗りすぎてしまうと、保管中にそれを栄養としてカビが繁殖してしまうことがあります。
保革クリームを塗りすぎないように、また、
と感じたらクロスで拭き取るようにしましょう。
ホコリがたまらないように
長期保管中は革靴の上にホコリが溜まりがちになります。
ホコリが溜まると、見栄えが悪くなりますし、塗りすぎた場合の保革クリームと同様にカビの原因となります。
ホコリが溜まらない環境で保管するがベスト。
それが無理であれば、月に1回でも軽めに馬毛のブラシでブラッシングしてあげると良いです。
ホコリを溜めないようにすることが大事。
革靴を適切に管理してシューライフを楽しもう
本記事ではシーズンを過ぎた革製のデッキシューズの長期保管にあたってのケア方法を紹介しました。
革靴はお手入れしないと、革が乾燥してひび割れてしまうことがあります。
そうなってしまったら、二度と元には戻せません。
お気に入りの靴を長く履くためにはお手入れは必須。
長期保管時であれば尚更です。
保革クリームを塗ることで革の乾燥が防止され、靴が長持ちします。
季節ごとに革靴を履きつぶしていくというのも、靴の一つの楽しみ方ではあるかもしれません。
ですが、一足を長く履くこともまた革靴を楽しむ方法であるのも事実。
革靴との思い出を積み重ねていくためにも、靴のお手入れをおすすめします。
次のシーズンにも、これまでと変わらぬ活躍をしてくれるはずです。
最後に、少し話がずれますが今回のお手入れでスペシャルナッパデリケートクリームが底をつきました。
靴磨きの楽しみは尽きません。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
靴磨きを始めたい。けれど道具をそろえるのが面倒…。
そこでおすすめしたいのが靴磨きセット。1セット買うだけで必要な道具がまるっと揃います。道具選びの手間が不要。今すぐ靴磨き可能に。
大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。