靴磨きとは何でしょうか?
靴クリームを塗って、ブラッシングして、ワックスを乗せて磨き上げる…。
こういった工程を踏むのは、
- アッパー(靴の甲革)
が主ですが、
- ソール
- コバ(ウェルト)
にもお手入れは必要です。
そういった箇所もお手入れすることで、靴の寿命も延びますし、美しさも保たれます。
靴磨きとは何もアッパーの革のケアだけでなく、ソールやコバのケアも含むと僕は考えています。
ソールを手入れすれば靴の返りが良くなり、足にフィットするような履き心地が得られます。
また、コバをケアすれば革靴の見た目がスタイリッシュな印象に。
この記事で着目するのは革靴のコバ。
本記事では革靴のコバのお手入れ方法を実践を踏まえて解説します。
革靴の「コバ」とは
コバとは、アッパー(甲革)よりも外側にはみ出たウェルト部分のことを指します。
エッジとも呼ばれますね。
コバはソールとアッパーを縫い合わせるために存在する箇所。
アッパーよりも外側に張り出しているため、アッパーに傷や擦れのダメージが入るのを防いでくれる効果もあります。
デザイン的にも耐久性的にも重要な部位なのです。
革靴のコバをケアする理由
アッパーに目が行きがちな靴磨きですが、コバにもケアを施してあげると靴の美しさがグンと高まります。
コバは靴の輪郭でもあるので汚れていたり、くすんでいたりすると靴全体の雰囲気がボヤけてしまうのです。
逆に、コバが綺麗に手入れされていると、靴の雰囲気が引き締まって美しさがより引き立ちます。
絵を描く際には、輪郭を描いてから色を塗りますよね?
輪郭はその形そのものを表現する重要な要素です。
ということは、靴の輪郭たるコバも重要ということ。
革靴のコバのお手入れ
今回コバをケアする靴はスコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)のシャインオアレインⅣです。
防水性の高い全天候対応型の万能革靴。
天候を選ばず履ける革靴なので、雨の日はもちろん、天候が読みづらい出張時に大活躍しています。
そんな大活躍中のシャインオアレイン。
雨の日に履いたり、単純に履く機会が多いだけあって、その分汚れるのも早いです。
コバ部分も例にもれず、こんな感じに汚れています。
雨の日に履いたときに付着した水汚れをそのままにしておいたので、コバが白っぽくなっています。
つま先、かかとも”シャキッ”とした印象からは程遠いですね…。
とほほ…。(昭和感)
こんな状態ですので、今回、しっかりとお手入れしていきます。
コバのお手入れは以下の工程で行います。
- コバの汚れを落とす
- インキでコバを補色する
- ワックスで保護層を作る
コバの汚れを落とす
まずはM.モゥブレィのステインリムーバーでコバの汚れを落とします。
ネル生地のクロスにリムーバーを取り、コバの汚れを落とすために拭いていきます。
見落としがないように、しっかり汚れを落としましょう。
アッパーとの隙間部分も入念に。
汚れ落とし完了です。
この時点で汚れが落ちて、すでに白っぽさが消えていますね。
より綺麗にするために、次の工程に移ります。
インキでコバを補色する
汚れを落としたら、退色したコバの色を補います。
使用するのはコロンブスのコバインキです。
コバインキはコバやヒールの色あせを補うことや、傷が付いてしまった際の傷隠しとして使用可能な補色用インキです。
色あせを防いで、おまけにツヤも出せる優れもの。
フタの先端にはスポンジが付いていて、インキを染み込ませてコバに塗っていくという仕様です。
塗る際は液だれを防ぐために、瓶のふちの部分にスポンジを押し当てて、ある程度スポンジを絞ってから塗るようにするとGOODです。
万が一、液だれしても良いようにスポンジを上にして使用するとフタが液受けになるため、手や周囲が汚れずに済みます。
さぁ、コバにインキを塗っていきます。
アッパーにインキが付かないように、細心の注意を払って作業を進めます…。
慎重に…、慎重に…。
ヒールの部分も。
塗り終わりました。
コバに色が入ることで、靴の輪郭がはっきりした印象を受けます。
あ、ちなみに。
コバインキが乾燥するまで、コバには触れないようにしてくださいね。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、今回使用したコバインキは革底用です。
スコッチグレインのシャインオアレインのコバ部分は、ソール同様に合成底のゴム製です。
コバインキには「合成底用」もありますが、革用でも全く問題なく補色できているので、買い足しはしていません。
用途は違いますが、しっかり補色できます。
ただ、使用感の違いはあるかもしれません。
僕自身、革底用と合成底用の違いは気になっているので、そのうち試してみるかもしれません。
ワックスで保護層を作る
コバインキを乾燥させた後は、コバ部分にワックスで保護層を形成します。
先ほどのコバインキは耐候性が強いインキですが、いかんせん水性塗料です。
雨に降られれば、インキが落ちてしまいます。
コバインキ落ちを防ぐため、油性のワックスで耐水性を高め、コバに塗ったインキを水から保護します。
保護層形成に使用するワックスはこちら。
サフィール(SAPHIR)のビーズワックスポリッシュです。
高級カルナバワックスを含んだ、ビーズワックスベースのシューポリッシュ。
靴に上質な光沢を与え、保革効果もあります。
アッパーを光らせるには、それはもう効果抜群のワックスですが、コバにもその効果を与えることが可能です。
こちらのワックスを指にとって、コバに塗ります。
先ほど塗ったコバインキの上にしっかりとワックス層を重ねて、保護層を形成していきます。
コバをクロスで磨く
その後、数分程度時間をおいて、ある程度ワックスが乾燥してきたら、コバを磨いてツヤを出していきます。
コバ磨きはアッパーに鏡面磨きをするのと同様に、クロスに水を付けて磨き上げていくのですが、今回は水の代わりにコイツを使ってみます。
ブートブラック(Boot Black)のポリッシュウォーターです。
鏡面仕上げ専用の仕上げ液で、水に加えてエタノールが含まれています。
アルコールの1種であるエタノールは、水よりも沸点が低いのが特徴。
そのため、このポリッシュウォーターは水単体よりも蒸発するのが早く、磨いたワックス層の乾燥を早める効果があります。
そんなポリッシュウォーター。
コバに塗ったワックス層にも、もちろん効果があります。
ポリッシュウォーターをワックスのフタに少量取り、ポリッシュクロスに染み込ませます。
ホントに少量しかとらないという…。
先ほどワックスを塗ったコバをクロスで磨き上げていきます。
滑らせるように優しく。
強くこすると、折角乗せたワックス層がクロスに拭き取られてしまいますからね。
磨き後がこちらです。
コバが黒々としていて、控えめなツヤも出ました。
以上でコバのお手入れ終了です。
汚れのあったつま先とヒール部分を見てみましょう。
汚れがしっかりと落ちて、補色もバッチリ。
コバのお手入れ前後を比較
では、まとめとして、コバのお手入れ前後の様子を比較してみます。
つま先とかかと部について、どうぞご覧ください。
白く汚れていたコバが黒々と光沢が出るようになっています。
靴の輪郭もはっきりと浮かび上がって、靴の表情が引き締まった感じがあります。
アッパーのケアは重要ですが、コバのケアも同じくらい大事。
オシャレは足元から
コバにも気を掛けて紳士な雰囲気を身にまとえば、革靴ライフがより一層楽しくなること間違いなしです。
それでは、今回はこの辺で失礼します。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。