革靴をワックスでピカピカに輝かせると美しいですよね?
いわゆる「鏡面磨き」とか「ハイシャイン」と呼ばれる、革靴を鏡のように光らせる手法は靴磨きの醍醐味。
ピカピカの靴を履いて出かけると気持ちが良いものです。
しかし、たま~にあります。
革靴に施した鏡面層がバキバキに割れてしまうことが。
せっかく磨き上げた鏡面が割れてしまうとショックですよね…。
再び美しい鏡面に仕上げるには、
- もう一度最初からワックスで磨く必要がある…
と思いきや、鏡面が割れた部分だけ補修する簡単な方法があります。
それは、油性の靴クリームを塗って磨くこと。
油性クリームで割れた鏡面層をいったん溶かし、あらためてなめらかな鏡面を作り上げれば良いのです。
本記事では革靴の割れてしまった鏡面層を油性クリームで簡単に修復する方法を紹介します。
上記に当てはまる人にはオススメの方法です。
革靴の鏡面は遅かれ早かれ割れる…
革靴をワックスで磨くことで滑らかで美しい、鏡のような面を作り上げる鏡面磨き。
鏡面磨きを施した革靴の輝きはエレガントでスタイリッシュ。
革靴の雰囲気をワンランクもツーランクもアップさせてくれます。
僕自身、革靴は基本的に鏡面磨きを施して、革靴ライフを楽しんでいるのですが…。
1つの懸念があります。
それは…。
- 革靴の鏡面が割れる
こと。
鏡面にした革靴を履いていると、どこかにぶつけたり、誰かに足を踏まれたりして鏡面が割れることがあります。
美しい鏡面も一転。
割れてしまうと美しさが大きく損なわれることに…。
たとえば、こんな風に。
向かって左側、右足の靴がひどい状態です。
リーガルの靴のつま先(トゥ)部分に鏡面を施していたのですが、子供と遊んでいるときに踏まれてパキッと割れてしまいました。
こうなると割れた面が悪目立ちします。
また、自分自身、気になって仕方ありません。
まぁ、靴を履いていれば遅かれ早かれ鏡面は割れますから、仕方がないことですけれど。
割れてしまった鏡面をどうするかが大事なわけです。
革靴の割れた鏡面をどうする?
さぁ。
割れてしまった革靴の鏡面をどうするかといえば、大きく2種類の対策があります。
- 一から鏡面を作り直す
- 割れた鏡面部分だけ修復する
一から作り直す
割れた鏡面をどうするのか、真っ先に思い浮かぶのはあらためて鏡面を作るということです。
割れてしまったワックスの層を1度全て取り除き、再度ワックスを重ねて新しい鏡面を作り上げる方法です。
この方法は鏡面を一から作り上げるため、きれいな鏡面を作りやすいです。
ワックスを完全に除去するため、そのタイミングで保革クリームを塗ったり、革のスッピンの状態を確認できたりと、ついでのメンテナンス作業が可能です。
一方で、あらためて鏡面磨きを施す必要があるので時間がかかります。
作業が面倒と感じる人もいるでしょう。
そこで、本記事で紹介する割れた部分だけを修復する方法が候補に浮上します。
割れた部分だけ修復する
という人は、簡易的に割れた部分だけ鏡面を修復する方法がオススメです。
この記事のメインテーマがここで登場しました。
鏡面を修復する方法ならば、割れた箇所だけ鏡面を直せばよいので、ワックスを完全に落とす必要も、一から鏡面磨きをする必要もありません。
これです。
というのも、油性の靴クリームはワックスを溶かす効果が高いため。
油は油に溶けますからね。
鏡面の割れた部分のワックスを油性のクリームで溶かし、その後に磨くことであらためて均一な鏡面を形成させるのです。
部分的に舗装するイメージですね。
この方法は割れた部分だけを狙ってケアできるので、一から鏡面磨きをする必要がないのがメリット。
かかる時間も短く作業も簡単なので、手軽に鏡面を修復することができます。
ちなみに、この手法を応用すればワックスを完全に落とすことも可能です。
今回は、部分的に修復する方法で割れた鏡面を甦らせたいと思います。
油性の靴クリームで割れた鏡面を修復する方法
ここからは実践編。
実際に、割れてしまった鏡面を修復します。
鏡面に仕上げたワックス層が割れてしまった革靴がこちら。
こちらの靴にはトゥ(つま先)部分にワックスを塗り重ね、鏡面にしています。
ですが、先ほどお見せしたように鏡面が割れてしまいました。
至近距離で見てみると…
バッキバキです。
部分的に鏡面が割れています。
せっかくの鏡面仕上げが台無しですね…。
このまま放っておくのも気になってしょうがありません。
修復することに。
鏡面修復の方法は以下の通り。
- 鏡面修復付近のホコリを落とす
- 鏡面修復したい部分に油性の靴クリームを塗る
- クロスで磨く
- 山羊毛ブラシで仕上げる
今回の鏡面修復方法のポイントは、油性の靴クリーム。
油性の靴クリームといえばサフィールノワールのクレム1925が有名ですが、この記事ではブートブラックのアーティストパレットを使います。
鏡面修復をするために使うのは無色のクリームです。
アーティストパレットの無色(ナチュラル)には、他の色に比べて溶剤が多めに配合されています。
そのため、ワックスを溶かす能力が強いのです。
ちなみに、クレム1925の無色(ニュートラル)も同じ特徴があります。
鏡面修復には無色の油性クリームを使いましょう。
鏡面修復付近のホコリを落とす
まずは、鏡面を修復する部分の周辺をブラッシングしてホコリを落とします。
これから塗る靴クリームと一緒にホコリをすり込まないように、ホコリを払い落とします。
毛が柔らかな馬毛のブラシなら、鏡面に余計な傷をつけてしまう心配もありません。
鏡面補修したい部分に油性の靴クリームを塗る
続いて、鏡面が割れてしまった箇所に無色のアーティストパレットを塗ります。
指に直接アーティストパレットを取り…
鏡面が割れた部分を中心に塗り込みます。
クリームを塗った後の状態はこのように。
靴クリームを塗るだけでも、鏡面が割れていた箇所が目立ちにくくなりました。
割れたワックス層が油性クリームで溶かされ、表面が滑らかになったおかげです。
クロスで磨く
次に、アーティストパレットを塗った部分をクロスで磨き上げ、鏡面を復活させます。
この工程では通常の鏡面磨き方法と同様に、クロスに水を付けて水研ぎします。
クロスに水を付けるためにはハンドラップを使うのがおすすめ。
指に巻き付けた磨きクロスにハンドラップで水を付けます。
クロスの磨き面が全体的に湿る程度に水を染み込ませましょう。
水を付けた後はクリームをほんのちょっと、気持ち程度クロスに乗せて…
鏡面修復箇所を磨きます。
円を描くようにクルクルとクロスをすべらせましょう。
はじめのうちは、魚のウロコのような線があらわれますが、磨いていくうちに段々と強い光沢を帯びてくるはず。
磨き完了後はこのような状態に。
鏡面のひび割れ箇所がほとんど目立たなくなりました。
ここで終わっても良いのですが…。
もうひと手間加えて、より美しい鏡面へと昇華させることにします。
山羊毛ブラシで仕上げる
最後に、山羊毛ブラシでダメ押しの磨き上げを行います。
使うのはブートブラックのフィニッシングブラシ。
革靴の美しさを、ワンランクもツーランクもアップさせることができる魔法のブラシです。
山羊毛ブラシの非常に細やかなで繊細な毛先がワックスや靴クリームを粒子レベルで均してくれます。
この毛量!
山羊毛ブラシで磨き上げる際にもごく少量の水を付けて、滑りを良くしてから使います。
鏡面が美しくなるように愛情を込めてブラッシング。
力を入れずにやさ~しく。
ブラッシングが終わったら作業終了です。
鏡面の仕上がりはこんな感じになりました。
目論見通り、油性の靴クリームを活用して鏡面のヒビ割れを修復できました。
お手入れ前後で鏡面補修の効果を確認
油性の靴クリームで鏡面を修復した効果をより分かりやすくするため、お手入れ前後の革靴の状態を比較してみます。
上の図がお手入れ前、鏡面層が割れている状態です。
下の図が油性の靴クリームを塗って磨き上げた後の状態。
と驚くほどの変貌ぶり。
たとえ鏡面がヒビ割れたとしても、一から鏡面磨きをやり直すことが絶対ではありません。
油性の靴クリームを使えば、割れた鏡面を部分的に修復することが可能です。
短時間で美しい鏡面の輝きが甦りますので、ぜひともやってみてください。
革靴の鏡面が割れても簡単に修復可能
本記事では革靴に施した鏡面が割れた際の簡単修復方法について書きました。
革靴の鏡面が割れたとき、ワックスを完全に落としてからあらためて鏡面を作り上げても良いのですが、それはそれで面倒…。
まとまった時間が取れない人もいるでしょう。
そんなときに登場するのが油性の靴クリーム。
割れた箇所に部分的に靴クリームを塗って磨き上げるだけで、簡単にきれいな鏡面を修復できます。
今回使用したアーティストパレット以外でも、油分多めなクリームならば、ワックスを溶かして形を整えることができるのでお試しください。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。