- 鏡面仕上げ(ハイシャイン)
ってやりますか?
僕はスムースレザーの靴の場合、必ずといっていいほど鏡面仕上げを施します。
ハイシャインに仕上げた靴は非常に美しいですし、手入れをするとますます靴に愛着がわきますからね。
ですが、靴も履いていると、いつのまにか折角仕上げた鏡面が傷付いていたり、くもっていることがあります。
本記事では靴の鏡面仕上げに傷が付いてしまったときの対処法として、つま先部分の鏡面修復をやっていきます。
鏡面に仕上げた革靴は美しい
鏡面仕上げを施した革靴は美しいです。
鏡面仕上げとは、靴用ワックスを革靴に塗り、磨き上げることで強いツヤを出す手法のこと。
鏡面仕上げを施した革靴は、まるで鏡のように周囲の景色を映し出します。
- ハイシャイン
とも呼ばれる手法です。
革靴に輝きを与える鏡面仕上げは、革靴の印象をよりエレガントに昇華させ、履く人の気分を高めます。
革の上に油の膜を張る手法のため、革靴を衝撃や傷から守る保護層の役割を果たす効果も。
見た目の美しさを引き上げるだけでなく、機能面でも優秀なのです。
鏡面仕上げに使う道具
革にワックスを乗せ、クロスで磨いて油膜を均すことで光を均一に反射する層を形成。
強い輝きを生み出せるというわけ。
そして、各シューケア用品メーカーでさまざまな靴用ワックスが展開されています。
鏡面仕上げの完成度を高めることに特化した、
や、輝きを生み出すことに特化した、
まで。
鏡面仕上げ関連のシューケアアイテムの豊富さから、いかに革靴の鏡面を作り上げることへの需要があるのかをうかがいしれます。
鏡面仕上げは自らの技術の高まりを実感しやすく、趣味性の高い手法なのです。
仕上げた鏡面は傷が付く
革靴に鏡面仕上げを施し、意気揚々と革靴を履いて出掛けるわけですが…。
鏡面の美しい輝きはいつまでも続くわけではありません。
履いて歩く以上、どこかにぶつけたり、混雑した電車で人に踏まれたりして、鏡面に傷が付くことがあります。
ひどいときにはバキバキに割れてしまうことも…。
美しさは儚さと表裏一体ですからね…。
傷が付いた鏡面層は、お世辞にも美しいとはいえません。
傷が付いた鏡面は、1度きっちりと油膜を落として、あらためてワックスで磨けばきれいになります。
ただ、ここで問題が。
鏡面層をあらためて作り直すのは手間がかかるということ。
ワックスをきれいに取り除くためのハイシャインクリーナーなんてアイテムもありますから、ワックスを取り除くのは結構簡単。
しかし、再度ワックスを革靴に塗って鏡面層を作りこむのは骨が折れます。
特に、時間がない人は気軽に鏡面仕上げの傷を直せませんよね?
そこで提案したいのが、傷だけを消す、
- 鏡面層の修復
です。
鏡面仕上げの傷を修復する方法
ということで、鏡面の傷の消し方を解説します。
まずは靴の紹介から。
こちらはスコッチグレイン(SCOCTH GRAIN)のシャインオアレインⅣ。
セミブローグタイプの革靴です。
撥水加工処理された革で、雨の日でもガシガシ履ける粋なヤツ。
撥水加工されているだけに、巷ではツヤが出にくいといわれています。
鏡面の傷を見てみる
先日、この靴を履いて意気揚々と街を歩き、帰宅すると…
右足トゥの真ん中あたりに傷が付いていました。
オーマイガッ!!(太古)
いつの間に…。
しかし、靴を履いていれば、いつかは傷が付くのは自然の道理。
「運命」と書いて「さだめ」と読む、的な。
幸い、鏡面磨きを施したところに上から傷が付いているので、革自体にダメージは無いように見えます。
鏡面のワックス層がダメージから靴を守ってくれました。
鏡面磨きは美しさだけでなく、傷から靴を保護するという機能面での恩恵もあります。
ということで、この傷をワックスで埋めて今後もガシガシ履ける、美しい靴としてよみがえらせることにしますね。
手順は以下の通り。
- ホコリを落とす
- 汚れを落とす
- ワックスを塗る
- 磨き上げる
次の項目から実際にやっていきます。
1|ホコリを落とす
何はともあれ、まずはホコリ落としです。
- 靴磨きの基本はホコリ落としにあり
とはよくいったもの。
馬の毛で優しくアッパーを払います。
手首のスナップを効かせて、ホコリを払うことを意識しましょう。
2|汚れを落とす
次に、クリーナーで鏡面部分の汚れを取ります。
ワックスの除去もそうですが、汚れも落とさなければなりませんからね。
着古したTシャツにクリーナーを付けて拭いていきます。
こちらも優しく愛でる様に。
強くこすると、革へのダメージが大きくなりますから注意を払います。
古いクリームやワックス、汚れが結構取れましたね。
今回は傷を埋めるのが目的なので、ほどほどにしておきました。
ワックスを落としすぎると、再度鏡面にするのに時間がかかるので…。
手抜きです。
- 靴磨きは本人が楽しむことが大事
- 難しく考えずに気楽にやる
- 仕上がりの美しさを極めるために根を詰める
のも、すべては自分次第です。
どちらも、それぞれの楽しさがあります。
3|ワックスを塗る
続いて、傷が付いた鏡面にワックスを塗って傷を埋めます。
使用するのはM.モゥブレィのハイシャインポリッシュ。
このワックスは天然植物性のカルナバロウを主成分としているシューワックス。
靴に光沢を与えられます。
おまけに、ワックスは油性なので水をはじく効果もあり。
防水性を高めることが可能です。
ただでさえ防水性の高いシャインオアレインに、更に防水性が上乗せされる…。
まさに、鬼に金棒。
- シャインオアレインにシューポリッシュ
です。
では、実際の作業へ。
ワックスを指で塗ります。
指で塗ると、ワックスが指の体温で溶けて革へなじみやすくなるのでおすすめ。
円を描くようにクルクルと塗ります。
何回かに分けて塗り、しっかりとワックスの層を作っていきます。
塗り重ねるのです。
ここの工程は、仕上がりを良くするためにはかなり重要。
焦らず、じっくりやりましょう。
ワックスが乗って、ツヤがなくなりました。
重要なので何度もいいますが、この工程がきれいに光沢を出すために大事なことなのです。
ここでのワックスの乗り具合が鏡面修復後のツヤを左右するので、しっかりとワックスの層を形成させましょう。
4|磨き上げる
そして磨き工程へ。
指に布を巻き、ハンドラップで水をごく少量含ませます。
そしてほんの少しワックスを付けて…
ここでもクルクル。
円を描くように、力を入れずに根気強く続けることが大事です。
この作業を靴の左右交互に繰り返しながら、無心で磨きます。
左右交互に行うのは、片方を磨いている間にもう片方の靴を乾燥させるという意味合いを持ちます。
上の図のように、ワックスがうろこのようになって光を反射し始めたらあと少しの合図。
ラストスパートです。
一心不乱、全身全霊を込めて磨き上げます。
磨き後、もともと付いていた鏡面層の傷が消えました。
右の革靴のトゥ部分中央の傷が消えました。
見事に復活です。
革靴の鏡面仕上げが復活
ふぅ…。
やはり靴磨きは最高です。
良い気分転換になりました。
しかしながら、仕上がりの美しさがまだまだ。
実は今回の工程、20分かかりました…。
スピードも欲しいです。
全然修行が足りません。
今後のブログで成長をお見せできるように精進します。
そんなわけで、今回はこれまで。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。