革靴をより美しくする鏡面仕上げ。
靴好きの方の中には、
- 鏡面を作ることが最も好きな工程だ
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
シューワックス(ポリッシュ)で革靴をピカピカに仕上げた時の爽快感と、その靴を履いて出かけた時の高揚感は何にも代えがたいものがあります。
そんな革靴ライフを楽しくするシューワックスですが、靴に塗ったワックスは定期的に落とさないと革を傷める原因となってしまいます。
それを防ぐために、
- ワックスを落とす
という作業が必要です。
その際、ワックス落としに靴クリームが使用できること、ご存知ですか?
サフィールノワールの靴クリーム、クレム1925でワックスを落とすことができるのです。
本記事では靴クリームのクレム1925でワックスを落とす工程を実践を踏まえてご紹介します。
ワックスを落とす必要性
まずはじめに、
- なぜシューワックスを落とさなくてはいけないのか
について。
ワックスは保革という点において不都合があるのです。
革には定期的な水分と油分の補給が必要です。
しかし、ワックスはそれを阻害する効果があります。
シューワックスはロウ分が主成分であり、革の上で油膜を形成します。
その油膜が光を反射することで靴がピカピカになるのですが、反面、その油膜は外からの水分や油分をシャットアウトしてしまうのです。
革を美しく、かつみずみずしい触感をいつまでも保つためには、水分や油分を補給するシューケアは必須。
シューケアを行う際には、ワックスを落としてからでないと、期待する効果を得ることができなくなります。
ワックスで仕上げた鏡面を取り除くためには
革靴に施した鏡面仕上げ、つまりは靴に塗ったワックスを除去するためには少し手間がかかります。
というのも、ワックスで仕上げた油膜の層は隙間なく、均一に形成されているため、結構頑丈です。
革靴を守る上では非常に有用な、頑丈という特徴も、ことシューケア時には厄介な項目となります。
通常の靴クリーナーではなかなか太刀打ちできないということもままあります。
僕が日頃から愛用しているM.モゥブレィのステインリムーバーでも、シューワックスを除去するのは不可能ではないですが、非常に時間がかかります。
実は、ワックスを落とすには油性のクリーナーやクリームが効果的なんです。
ここでのキーワードは油性。
ワックスは油性です。
ご存知の通り、油と水は混ざりません。
先ほどクリーナーの例として挙げた、ステインリムーバーは水性のため、油性のワックスがクリーナーを弾いてしまいます。
そのため、汚れ落とし効果が現れにくくなるのです。
ですが、裏を返せば油性のクリーナーならば、油性のワックスを落とすことができるということ。
そして、ワックス落とし用の油性クリーナーも既に世に出回っています。
それが、ブートブラックのハイシャインクリーナー。
ただ、鏡面に仕上げている靴の数が少なかったりすると、シューワックスを落とすためだけのクリーナーをそれだけのために用意するのはもったいないですよね?
実は、専用クリーナーをわざわざ用意せずとも、靴磨き用品の中で抜群の知名度と愛用者数を誇る、
- あの靴クリーム
があれば、ワックス除去に流用可能なのです。
油性クリームのクレム1925
シューワックスの除去に使用できる靴クリームとは…
サフィールノワールのクレム1925(無色)です。
クレム1925は言わずと知れた、靴クリーム界のレジェンド。
その使いやすさと仕上がりの良さは折り紙付き。
靴磨きのプロの方々にも愛用者が多いことが、クレム1925の優秀さを物語っています。
先ほど、油性のワックスを落とすには油性のクリーナーでと述べましたが、クレム1925は油性クリームのため、クリーナー代わりに使えるのです。
ただ、クリーナーとして使うのはクレムの中でも、
- ニュートラル(無色)
をおすすめします。
理由としては染料が含まれておらず、何色の靴にも使用することが可能なためです。
クレム1925でワックスを落とす
実際に、クレムでワックス層を除去してみます。
ワックスを落とすのはこちらの靴。
スコッチグレインのアシュランスです。
周囲の映り込みがある程の鏡面に仕上げたトゥ、ここのワックスを落としていきます。
作業工程はいたってシンプル。
- クレムでワックスを溶かして
- クリーナーで拭き取る
これだけです。
まずはクレムを指に取り、ワックスが乗っている箇所に塗っていきます。
クレムでワックスを溶かしこんで除去するため、通常の靴のお手入れ時よりも多めにクリームを塗っていきます。
クレムを塗ったら、次はクロスを手に巻きます。
そして、クロスで靴上のクレムを拭き取ります。
すると…
革の質感がマットになり、ワックスの層が除去できていることがわかります。
ですが、向かって右側(左足)のトゥ後方にまだ光沢が残っていますね。
クレムを塗りこみ、そして、再度クロスでクレムを拭き取ります。
仕上げに靴クリーナーで残ったクレムとワックスを除去しておきます。
使用するのはブートブラックのツーフェイスローション。
革靴の汚れ落とし用クリーナーです。
ツーフェイスロローションをクロスに取って、靴のトゥを拭き上げます。
一通り拭きます。
以上でクレム1925によるワックス除去作業は終了。
靴の様子を見てみましょう。
ワックス層が取り除かれ、きれいな革の表情が顔を出しました。
これならばしっかりと栄養補給を行うことができるでしょう。
作業前後の靴の様子を比較してみます。
違いは一目瞭然ですね。
周囲の反射加減が全然違います。
クレムを塗るだけでワックスを除去できる、超簡単ワックス落としの工程でした。
ワックスはクレム1925でバッチリ除去可能
本記事では、クレム1925を使ったシューワックスの落とし方についてご紹介しました。
本来、革へ栄養と光沢を与えるための靴クリームですが、油性のクリームであればその特性上、ワックスを溶かして除去することが可能です。
通常の靴磨き時に使用するだけでなく、クリーナーとしても使用することができるため、汎用性が高いといえます。
ただ、ワックス除去剤として使う場合、一回の使用量が多いため、中々贅沢な使い方となりますが…。
既にクレムをお持ちの方はぜひ試してみてください。
一方で、ワックス専用のクリーナーは専用品だけあって非常に効率的にワックスを除去することができます。
シューケアアイテムをいろいろと使ってみて、自分に合った手法を見つけてみてください。
ご自身の使い方や靴磨きのスタイルによって油性靴クリームと専用クリーナーを使い分けてみるのも面白いですよ。
それでは今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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