革靴を長く履き続けていくとアッパー(甲革)の状態が気になってくること、ありませんか?
革靴を履いていると、
- 人に踏まれる
- どこかにぶつける
そういったことで革に傷や毛羽立ちができることがあります。
仕事やプライベートの場を問わず、革靴を履く機会が多い人は実感するはず。
傷ができた、もしくは毛羽立ってしまった革は、お世辞にも美しい状態とはいえません。
傷によって革が色あせた部分は、
- 雰囲気がどうにもしまらない…
そんな印象になってしまいます。
革靴の雰囲気はアッパー(甲革)で決まるといっても過言ではありません。
つまり、アッパーの革が以下の状態だと、革靴の風格を失う事態に。
- 傷ついている
- 剥がれている
- 毛羽立っている
- 色あせている
そんな事態を避けるため、革靴のアッパーはきれいに保ちたいものです。
革の傷や毛羽立ちを補修すれば、革靴を美しい状態で長く楽しめます。
自分でできる、お手軽セルフ補修でお気に入りの革靴をメンテナンスしてあげましょう。
本記事では革靴にできた傷・毛羽立ち・色あせを自分で補修する方法をまとめました。
- 革靴にガッツリ傷が入ってしまった…
- 革のえぐれが気になる…
- 革が剥がれてきた…
- 革の毛羽立ちを抑えたい
- 革の色あせを補色したい
上記に当てはまる人は、ぜひご覧ください。
アッパー(甲革)は革靴の見た目を左右する
革靴は履き続けるうちに徐々に傷が付いて色が落ちてきます。
経年変化ともいえるのですが、革靴のアッパー(甲革)が傷付いていたり、色あせていたりすると見映えが良くありません。
ワークブーツなら傷や色あせも味と楽しめますが、フォーマルシューズやスタイリッシュな革靴の場合、洗練された美しさを損ねることに…。
また、愛用し続けるうちに、ダメージが蓄積。
傷だけでなく、革の毛羽立ちや履き口のコバ剥がれなど、革靴を愛用し続けるゆえに生じる問題も出てきます。
だからこそ革靴の修理は重要です。
アッパーの補修はセルフでもできることが多い
アッパーを修理するとなると、靴修理のお店に持ち込んでプロにお願いすることを思い浮かべる人も多いでしょう。
もちろん、プロにお願いすれば確実です。
美しく完璧に傷や色あせを修理してくれます。
ただ、お金や時間がかかります。
プロにお願いするわけですから、相応の報酬を支払うのは当然です。
加えて、お店に預けるので時間もかかります。
- 支出はできるだけ抑えて、なるべく時間を掛けたくない
という人は自分で修理してみましょう。
「セルフ補修」ですね。
アッパーの傷や色あせは、シューケア用品を活用すれば自力で修理できることも多いです。
ケア用品を買うためのお金はかかりますが、それでもお店に修理に出すよりは安価。
靴を預ける必要がないので、時間もかかりません。
セルフ補修でアッパーの美しさをよみがえらせるのは十分に可能なのです。
以下の項目で各セルフ修理方法を解説していきますね。
革靴の傷を補修する方法(軽度の場合)
まずは革靴の傷を補修する方法から。
比較的軽度なこすり傷の補修方法から紹介していきます。
上の図を見ると、革靴のアッパーが傷付いていることがハッキリと分かります。
革靴のアッパーにこすった傷の跡ができていますね。
お気に入りの革靴に傷が付いてしまうのは大変ショックなことですが、履いて歩く以上は革靴に傷はつきもの。
そうはいっても、なかなか割り切れるものではありません。
できることなら消したいですよね?
比較的浅めの傷(こすり跡のような傷)ならば、革の繊維を寝かせることで傷の補修が可能。
革にできたこすり傷というのは、革をぶつけた衝撃で革が削れ、その削れた部分の外周の繊維が四方八方に毛羽立っている状態。
裏を返せば、毛羽立った革の繊維を寝かせてあげることで、傷が目立たなくなるということ。
実践して試してみます。
革の繊維を寝かせて傷を補修するには、以下の手順を踏みます。
- ホコリを落とす
- 革の繊維を柔らかくする
- 革の繊維に力を加えて寝かせる
- ブラッシングでツヤ出し
ホコリを落とす
まずは靴のホコリ落としから。
馬毛ブラシでブラッシングして補修部分のホコリを払います。
シューケアの基本はホコリ落とし。
今回も例外ではありません。
革の繊維を柔らかくする
続いて、補修箇所の革を柔らかくする工程に入ります。
なぜ革を柔らかくするかというと…。
革が柔らかい方が革の繊維をより寝かせやすくなるから。
革用ローションを使って一時的に革を柔らかくします。
革用ローションを少量クロスに取り、傷が付いた箇所を拭きます。
革の繊維を寝かせる
次は革の繊維を寝かせて傷を目立たなくする工程です。
表面が滑らかなスティックを使って、傷付いた箇所を力を込めてこすります。
一方向だけでなく、あらゆる方向からこすり、補修箇所全体の革をまんべんなく寝かせます。
ブラッシングでツヤ出し
この時点では革にこすった跡が付いていますので、ブラッシングすることで消していきます。
山羊毛ブラシにハンドラップで極々少量の水を付けて、ブラッシング。
円を描くように優しくブラシをかけていきましょう。
これにて傷補修の工程は終了。
仕上がりはこんな感じ。
補修前はハッキリと付いていた傷の線がなくなり、本来の革の美しさを取り戻すことができました。
革を寝かせるという工程を踏むだけでも、革にできた傷を目立たなくできます。
革靴の傷を補修する方法(重度の場合)
今度は革靴に付いた傷が深い場合の対処法を紹介します。
革靴を履いていると、革靴が切れてしまったり、革がえぐれてしまうこともあります。
そんなときには、革のえぐれを埋めましょう。
こちらの切り傷。
埋める手順を実践します。
ここまで深い傷であれば、埋めるほかありません。
では、何で埋めるかというと…。
- パテ
です。
革の傷を埋めるためのパテ剤としてコロンブスの「アドベース」を使います。
こちらのパテを使用して、革靴の傷を補修していきます。
傷の補修方法手順は以下の通り。
- 革の傷付いた部分をならす
- 補修用パテと補色剤を混ぜ合わせる
- 傷部分に補修用パテを塗る
- 補修用パテを乾かす
- 補修部分をならす
革の傷付いた部分をならす
まずは傷ついた箇所を紙やすりで少しだけ削り、傷周りをならします。
傷が付いている箇所以外の正常な革は極力削らないよう慎重に。
やすりがけが終わった段階でこんな感じ。
革の表面状態を整えることができました。
補修用パテと補色剤を混ぜ合わせる
次に、補修用パテの色の調節を行います。
補修する箇所の色に合わせて、革用補色剤を補修用パテと混ぜ合わせます。
白色の補修用パテと茶色の補色剤を混ぜ、茶色の補修パテを完成させました。
傷部分に補修用パテを塗る
先ほど色を調節した補修用パテを、革靴の傷部分に塗ります。
筆にアドベースを付け、傷部分に塗っていきます。
傷の中に隙間を作らないよう、押し込みながらパテ剤を塗っていきましょう。
補修用パテを乾かす
補修剤を塗った後は時間を置き、パテ剤の乾燥を待ちます。
乾燥が不十分であると、この後の工程に支障が出ます。パテ剤の乾燥はしっかり見極めましょう。
乾燥後の状態がこちら。
しっかり傷が埋まりました。
もう少し茶色が濃いと良かったですね。
傷補修部分をならす
ここからは紙やすりを使ってパテ剤を削ります。
補修用パテを塗ったところの盛り上がった部分を削る作業です。
紙やすりでパテ剤の盛り上がりを解消したら、これにて補修作業は終了です。
傷による革のえぐれを補修作業で埋めることができました。
お気に入りの革靴や革製品に傷が付いてしまうと悲しいですが、補修することで美しい見た目を甦らせることが可能です。
傷付いてしまった革だからといって、処分したり押し入れの奥にしまい込むのはもったいないです。
1度補修を試してみてはいかがでしょうか?
革靴の毛羽立ちを補修する方法
革が剥がれてしまったり、毛羽立ってしまうのはよくあること。
よくあることだけに、それを補修する方法を心得ておくと安心です。
ここでは、革の剥がれや毛羽立ちを目立たなくする方法を紹介していきます。
革の表面を滑らかに整える革用仕上げ剤を使えば、簡単に革の剥がれや毛羽立ちを補修することができます。
革用仕上げ剤には革の床面やコバを美しく、滑らかにする効果があります。
毛羽立った革面をならせるのが革用仕上げ剤。
アッパー(甲革)のダメージが目立ってきた革靴に対して有効です。
こういった革の剥がれや…
靴をこすったことによる、革の毛羽立ちも補修可能です。
革用仕上げ剤を使った補修方法は以下の通り。
- 補修箇所のホコリを落とす
- 補修箇所の汚れを落とす
- 補修箇所に革用仕上げ剤を塗る
- 補修箇所をガラスでこする
補修箇所のホコリを落とす
まずは補修した箇所のホコリを落とします。
ホコリの上から革用仕上げ剤を塗っても効果が半減します。
そのため、事前に馬毛ブラシでしっかりホコリを落とします。
補修箇所の汚れを落とす
続いて、革靴に付いた汚れを落とします。
靴クリーナーで革を拭いていきます。
補修箇所に革用仕上げ剤を塗る
革用仕上げ剤を指にとり、革が剥がれた部分や毛羽立った箇所に塗ります。
補修箇所をガラスでこする
最後に、革用仕上げ剤を塗った箇所をガラス板でこすります。
革の繊維がならされ、革剥がれや毛羽立ちが目立たなくなっていくのが感じられるはず。
ビフォーアフターで比較すると分かりやすいのでご覧ください。
革の剥がれや毛羽立ちが目立たなくなっているのが分かります。
革用仕上げ剤は革のくぼみや隙間をならすことができるので、革剥がれや毛羽立ち、ちょっとした傷の補修効果があります。
そんな人はぜひお試しください。
革靴の色あせを補色する方法
革靴を履いていると、傷と同じく気になるのが革の色あせ。
革靴に限らず、革製品において革の変色は避けられない現象…。
革に色を入れ直して、
と望む人は少なくないはず。
色落ちや色あせで変色してしまった革は、補色することで元の美しい状態へと戻すことが可能です。
ここでは革靴の色を元に戻すべく、補色クリームを使った補色方法について説明していきます。
補色するのはこちらの革靴。
長年履いていることもあり、ところどころに革の色落ちがあります。
つま先のデザインであるベージュのラインの色が抜け、茶色に変色。
変色している箇所にベージュの色を入れなおす作業をしていきます。
- 補色クリームの色調製
- 革靴へ補色クリームを塗る
- 補色クリームを乾かす
- クロスで補色箇所を磨く
革靴の汚れがひどいときには、補色の前にしっかりと汚れを落としてから作業に臨みましょう。
補色クリームの色調製
まずは、補色クリームの色を補色箇所の色に合わせます。
補色クリームの「ベージュ」と「うすめ液」をプラ板へとり…
補色クリームを混ぜ合わせます。
ある程度、補色箇所の色へと近づけることができました。
革靴へ補色クリームを塗る
色の調合が終わったら、補色クリームを革靴の補色したい箇所へと塗ります。
下地のブラウンが見えなくなるまで色を塗り重ねていきます。
補色クリームを乾かす
補色クリームを塗り終えたら、時間をおいて補色クリームを乾燥させます。
「急がば回れ」の心持ちで待ちましょう。
クロスで補色箇所を磨く
補色クリームが乾燥したら、補色クリームを塗った箇所をクロスで磨きます。
磨くことでツヤを増し、仕上がりの美しさが向上します。
磨き後の革靴がこちら。
茶色の色あせ部分を補色することができました。
本来の革の発色がよみがえり、革靴のデザインの輪郭がハッキリしています。
革靴のデザインをより活かすためには、革の変色を見過ごさずにしっかりと補色して、元のデザインや装飾の雰囲気を維持してあげることが重要です。
足元がきれいになれば気分も軽く、その日を楽しむことができますよ。
履き口のコバ剥がれを補修する方法
革靴は履き続けていくうちに消耗していきます。
革靴の履き口もまた、ダメージが入りやすい箇所です。
靴を履くたび、脱ぐたびに履き口には大きな負荷がかかります。
そのため、履き口付近の革は傷みやすく、コバを処理しているコーティングがはがれてしまうことも…。
この項目では、靴の履き口のコーティングがはがれたときの対処方法を説明します。
コバはがれの補修方法はいたって簡単。
- 色を塗ってコバ仕上げ材で見た目を整える
これだけです。
そして、使う道具は以下の通り。
これらの道具を使った作業手順は以下の通り。
- コバはがれ箇所を補色する
- トコノールを塗り仕上げる
コバはがれ箇所を補色する
まずは、コバがはがれて下地が見えている箇所に補色クリームを塗って色を入れます。
補色したい部分に塗っていきます。
こんな感じに仕上がりました。
色を入れ終えたら、10分ほど時間を置き、クリームを乾燥させます。
履き口の毛羽立ちを抑える
補色クリームが乾燥したら、床面仕上げ剤でコバを整えます。
コーティングがはがれた箇所の毛羽立ちを抑え、表面をきれいに仕上げるためです。
先ほど補色した箇所の上から、仕上げ剤を塗っていきます。
仕上げ剤が完全に乾く前の半透明になった段階で、表面が滑らかなガラス板などでコバをこすり毛羽立ちを抑えます。
仕上がりはこんな感じに。
補色とコバ仕上げの2ステップで、見違えるほどきれいになりました。
履き口の補修前後で状態を比較すると、その違いは一目瞭然。
補修前の段階でコバのコーティングがはがれて白くなっていた履き口周りが、補修後には黒く補色され、目立たなくなりました。
これで革靴の見た目を損なうことなく、気持ち良く履けますね。
革靴のアッパーを補修していつまでも美しく履こう
本記事では、革靴のアッパー(甲革)の傷・毛羽立ち・色あせを補修する方法についてまとめました。
革靴の美しさはアッパーの美しさで決まると言っても過言ではなく、アッパーは革靴の顔です。
傷や色あせが目立っていると、せっかくの革靴の風格が損なわれます。
- 傷を埋める
- 毛羽立ちを抑える
- 色あせを補色する
上記の手を加えてあげることで革の風合いが甦ります。
一見とっつきにくそうな作業ですが、いざやってみると意外と簡単。
道具さえあれば自分で補修作業できます。
手軽に革の補修が可能です。
- 革の傷
- 革の剥がれ
- 革の毛羽立ち
- 革の色あせ
上記が気になる革靴を持っている人は、ぜひともやってみてください。
ちょっとしたパーツ剥がれは接着剤で補修しましょう。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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