革靴の汚れ落としといえば、液体タイプのクリーナーを思い浮かべる方が多いと思います。
ですが、固形タイプの汚れ落としもあること、ご存知でしょうか?
ブートブラック(Boot Black)のクリーニングバーも固形タイプの汚れ落としの一種。
消しゴムのように、革をこすって汚れを落とす固形の汚れ落としは、液体クリーナーを使えない起毛革や、液型クリーナーによって変色の恐れがある淡い色の革にも使えます。
本記事では、ブートブラックの固形タイプの汚れ落としである「クリーニングバー」の特長と使い方をご紹介します。
革靴の汚れ落としといえば?
「革靴の汚れ落としに使う道具」と聞いて何を思い浮かべますか?
ステインリムーバーやツーフェイスローションなどの靴クリーナーを連想する方が多いのではないでしょうか。
革靴の汚れ落とし用アイテムとして定番なのは、上記のような液体タイプのクリーナーです。
クロスに染み込ませて使うため、クリーナーで浮いた汚れをクロスでキャッチでき、しっかりと汚れを落とせる便利さがあります。
便利さゆえに、液体タイプの靴クリーナーは世に広く浸透しているのですが、特定の条件では使えない場面もあります。
それは起毛革や淡い色の革の場合です。
- 起毛革の汚れ落とし時
- 淡い色の革の汚れ落とし時
というのも、起毛革は革が毛羽立っているため、液型クリーナーで汚れを浮かせたとしても、クロスが起毛に引っかかってしまい、浮かせた汚れを拭き取ることができません。
また、液型クリーナーが革に浸透することで、色が変色してしまうことがあります。
濃い色だと色の変色は分かりづらいですが、淡い色の場合、少しの色の変化でも目立ってしまうのです。
もちろん、シューケア用品メーカー各社で革色が変わりにくい、液体タイプの靴クリーナーが作られてはいますが、完全にリスクを0にできるわけではありません。
使い方などによっては色が変わってしまう可能性はあります…。
こういった理由から、液型クリーナーは起毛革や淡い色の革と相性が悪いのです。
液型クリーナーが使えないなら、固形のクリーナーを使えば良いのです。
要は、革を濡らさずに汚れを落とせば良いということ。
固形タイプで消しゴムのように使える靴クリーナーがあるので、ご紹介しますね。
ブートブラックのクリーニングバー
本記事で取り上げる固形タイプのクリーナーがこちら。
ブートブラックのクリーニングバー(ナチュラル)です。
その姿はまるで消しゴムのよう。
ですが、あくまでブートブラック。
気品溢れる雰囲気はクリーニングバーにも健在です。
ちなみに、クリーニングバー(ナチュラル)の「ナチュラル」はバー自体の色を意味し、同じく「ホワイト」もラインナップされています。
実はナチュラルとホワイトは色の違いだけでなく、成分も異なり、使い所も違うのです。
クリーニングバーの特徴
ブートブラックのクリーニングバーは、革の汚れを落としたい箇所を優しくこすることで汚れを落とす、消しゴムタイプのクリーナー。
液体状ではないため革への負担が少なく、起毛革や淡い色の革、デリケートな革にも安心して使えます。
先ほどの、クリーニングバーの色の話をここで。
「ナチュラル」と「ホワイト」の違いは成分の違いで、ナチュラルは天然ゴム、ホワイトは塩化ビニルでできています。
天然ゴムでできたクリーニングバー(ナチュラル)は時間が経ってこびりついた汚れや油分など、落とすのが難しい汚れを落とすことに適しています。
一方の塩化ビニル製のクリーニングバー(ホワイト)は普段使いで付着する、軽めの汚れを落とすのに適します。
- 吸着性の高いスリランカ産の天然ゴムを使用。
- 皮革表面の汚れを吸着し、汚れをゴム側へと移動させる。
- 時間が経ち、こびりついた汚れに最適。
- シミの原因になる油分も吸着できるため、靴を美しく保つことができる。
- 塩化ビニル樹脂を使用。
- 汚れの吸着力は「ナチュラル」ほどではないが、その分、革への負担が少ない。
- 淡い色の革など、デリケートな皮革の軽い汚れ落としに最適。
- ナチュラル:こびりついた頑固な汚れに。革への負荷が高め。
- ホワイト:軽めの汚れに。革への負荷が低め。
革の汚れの状態に応じて、革への負担を考慮して、クリーニングバーを使い分けることができるのです。
ナチュラルタイプでさえ、液体タイプのクリーナーに比べれば革への負荷は低く、クリーニングバーでの汚れ落としは革に優しいことは間違いありません。
その分、汚れ落ちは液体クリーナーに軍配が上がりはしますが、長持ちさせたい大切な靴や革製品のお手入れにおすすめです。
- 起毛革のお手入れ
- 淡い色の革のお手入れ
- 長持ちさせたい革のお手入れ
クリーニングバーの使い方
クリーニングバーの使い方は簡単です。
革の汚れが気になる箇所をクリーニングバーで優しくこするだけ。
こすることで革の汚れがクリーニングバーに移り、汚れが落ちる仕組み。
使うにあたって、一つ注意点が。
汚れが移った部分を再度使用すると、クリーニングバーに付いた汚れを革へ移してしまう可能性があります。
汚れ落としに使った部分は、都度、ハサミなどで切り落としましょう。
- 革の汚れが気になる箇所をこする
- クリーニングバーに移った汚れはバーごと切り落とす
実践:クリーニングバーで汚れを落とす
ここからは実際に、クリーニングバーを使った汚れ落としをやってみます。
まずは、革靴の黒ずみを落としていきます。
上の画像中央に点々と2箇所、革が黒ずんでいるところがありますので、ここにクリーニングバーを使います。
黒ずみ部分にクリーニングバーを当て、優しくこすります。
手に持ちやすいバータイプなので持ちやすく、使いやすいです。
消しゴムと同じ要領なので、クリーニングバーの角の部分は細かな部分の汚れ落としに向いています。
クリーニングバー使用後には黒ずみが消えました。
ただ、こすった箇所の色が白っぽくなり、汚れとともに革の油分も取り除かれてしまった印象を受けます。
クリーニングバー(ナチュラル)は天然ゴム製のため、汚れ落とし効果が高い分、革に必要な油分まで奪ってしまうことも…。
そんなときは、デリケートクリームや靴クリームで革に潤いや油分を与えてあげましょう。
塩化ビニル製のクリーニングバー(ホワイト)は汚れ落ちがマイルドな分、革の栄養を奪ってしまうことは少ないです。
汚れの程度や革質によって使い分けることをおすすめします。
今回、栄養補給に使用するのは靴用クリームのクレム1925。
クリームを、先ほどクリーニングバーでこすった箇所に塗ります。
クリームを均一に広げるため、ササッとブラッシングして…
これにて汚れ落とし完了です。
黒ずみがほとんど目立たなくなりました。
この靴には色が淡い箇所があり、汚れが目立つポイントです。
かかとにも所々、汚れや黒ずみが…。
クリーニングバーで汚れをこすり落としていきます。
結果はと言うと…
クリーニングバー使用前後の比較
汚れを落とした2箇所について、クリーニングバーの使用前後で比較をしてみます。
汚れ落とし1箇所目のアッパー側面。
ビフォー・アフターで、スポットとしてできていた黒ずみ汚れが薄くなっていることが分かります。
2箇所目のかかと部分の汚れ落とし前後の比較図をお示しします。
全体的に色がくすんでいたかかと部分が、クリーニングバーで汚れを落とした効果で、本来の色味を取り戻しました。
クリーニングバーを使った後は…
クリーニングバーを使った後は革に付着していた汚れが移るため、バー本体が汚れます。
汚れたクリーニングバーのまま、革をこすると、その汚れが革へ再付着する場合があります。
使用後は汚れたバーの部分をハサミで切り落とし、きれいな部分を出しておきましょう。
家にある一般的な工作用のハサミでチョキチョキ。
クリーニングバーを切り、新しい断面を出しておけば、いつもきれいな面を使うことができます。
革への汚れ移りの心配もなし。
ハサミで角を作っておくと、次回使うときに汚れ落としをしやすくなるのでおすすめです。
起毛革や淡い色の靴にはクリーニングバーを使おう
本記事では、固形タイプの革用クリーナーである、ブートブラックのクリーニングバーの特徴と使い方をご紹介しました。
液体クリーナーのお悩みにありがちな…
- 起毛革に使えない…
- 革の変色など革への負担が気になる…
そんなお悩みを解決するのが、クリーニングバー。
クリーニングバーは革への負担が少ない消しゴムのような固形クリーナー。
使い方も、汚れの上からこするだけの簡単作業ですみます。
頑固な汚れ用の「ナチュラル」と、日頃の汚れ落とし用の「ホワイト」があり、使い分けできるのも魅力のひとつ。
固形タイプのクリーニングバーがあれば、液型クリーナーでは対応できない場面もカバーでき、汚れ落としの幅が広がります。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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