鏡面磨きしていると、
- もう一押しなのになかなか仕上がらない
なんてことがあります。
ツヤは出るけれど、あともう一歩の輝きが欲しいとき、頼りになるのがミラーフィニッシャーです。
ミラーフィニッシャーはM.モゥブレィのシューケア用品で、鏡面磨きの輝きをより高める道具。
ただ、鏡面を作るためのケア用品ではないのがミラーフィニッシャーの特徴。
すでにある程度仕上がった鏡面の輝きを強めるアイテムです。
もともとワックスに含まれている潤滑剤は革への塗りやすさを確保するものの、革の上に残ることで光沢を弱めるデメリットがあります。
磨き続けてもツヤの最後の一押しが足りないと感じる原因になるのです。
そこで活躍するのがミラーフィニッシャー。
ミラーフィニッシャーは潤滑剤の残留分を取り除き鏡面の透明度を高め、光沢を強めてくれます。
- 自分の鏡面磨きの仕上がりに不満がある
あるいは、
- 今まで以上の高みへと上りたい
そんな人におすすめです。
本記事ではミラーフィニッシャーの詳細と使用感をレビューします。
使用前後の比較と合わせて解説するので、ぜひご覧ください。
- 鏡面磨きの完成度を高めたい
- 磨いて革にツヤは出るけれど少しくもっているのをなんとかしたい
- ミラーフィニッシャーの詳細が知りたい
革靴の鏡面仕上げは難しい
ワックスは、靴のつま先を光らせることで革の表情をワンランクアップできるシューケア用品。
ハイシャインのエレガントさを高めてくれます。
いわゆる、鏡面磨きです。
鏡面磨きとは靴のつま先を光らせ、革靴の存在感やエレガントさを高める手法。
鏡面磨きに仕上げた革靴のつま先は、周囲の景色が映り込むほどの光沢と透明感が出ます。
ただ、鏡面磨きは技術的な難易度が高く、
- うまく輝かない
- 磨き続けても曇ったまま…
なんて経験をしがち。
それも当然。
鏡面磨きは熟練の靴磨き職人であっても時間のかかる作業。
高水準の技術を持つ百戦錬磨のプロの世界でも、透明度の高い光沢を持たせるのは至難の業です。
なんてことは本当によくあります。
ハイシャインは熟練のシューシャイナーでも時間のかかる作業ですからね。
プロの世界でも、
- より透明感や平滑性の高い磨きの技術
が日々試行錯誤されています。
美しい鏡面仕上げにするための落とし穴
そんな鏡面磨き。
実際に作業してみると陥りがちな落とし穴があります。
- そもそも輝きが出ない
というのは、確実に解消できる便利なケアアイテムがあるので、それは置いておいて…。
問題はいつまでも磨きすじが残り続けること。
あと少しの仕上がりで満足度の高い鏡面に仕上がるのに…。
そんな状況が生まれることがあるのです。
磨きすじを消す！ミラーフィニッシャーをレビュー
いつまでたっても残り続ける磨きすじを解消するアイテム、実はあります。
それがミラーフィニッシャーです。
缶の容器に入っています。
容器側面のシールには「仕上げ」と大きく表示。
鏡面の最終仕上げ剤として謳っています。
背面には詳細あり。
成分はろう、有機溶剤。
細かな成分は企業秘密。
ちなみに、日本製です。
こちらのミラーフィニッシャー、立ち位置が独特のケア用品。
というのも、シューケア用品の中には、早く強いツヤを出す製品がいくつかあります。
上記のようなツヤを出すことに特化した製品は、鏡面の輝きを強くするためにワックスの成分を調整しています。
輝きを増すため、鉱物系のワックスを多めに入れたりするわけです。
植物性よりも鉱物性の方が硬さがあるため、しっかりとパキッとしたワックスの層を作れます。
しかし、ミラーフィニッシャーはそれらのケア用品とはまったく違った方向性のアイテム。
コンセプトがそもそも異なるのです。
先ほど述べた通り、ミラーフィニッシャーは白く濁って輝きを鈍くする潤滑剤を配合していないだけでなく、むしろ除去する薬剤が入っています。
潤滑剤成分をきっちり取り除けるため、透明度の高い鏡面膜に仕上がるのです。
ミラーフィニッシャーの特徴
ミラーフィニッシャーはM.モゥブレィのテクニカルアドバイザーである斗谷諒氏が開発したシューケア用品。
斗谷諒氏といえば、ハイシャインプライマーを開発した御仁ですね。
ハイシャインプライマーの容器に小さく「Ryo Hakaridani」と表示があることでもおなじみです。
ミラーフィニッシャーは光学的な視点を取り入れ開発され、鏡面膜の内外の光の挙動を考慮しています。
含有する材料を最適化して生み出した、鏡面磨きの仕上げ用ワックスです。
鏡面磨き用ではなく、あくまでも鏡面磨き仕上げ用。
ミラーフィニッシャーの効果は先ほど述べた通り、ワックスが含んだ潤滑剤に作用する点。
鏡面磨きのツヤがイマイチ強くならない原因は、ワックスに含まれる成分の1つである潤滑剤がワックスの層の間に残り、光が散乱することで起きます。
光が散乱すると一方向に反射する光量が少なくなり、輝きが弱くなるためです。
ミラーフィニッシャーはワックスに含まれる潤滑剤の残留成分を除去する薬品を添加しています。
そのため、ワックスの層が光を反射しやすい均一でなめらかな表面になり、通常のワックスでは実現困難な透明感を出せるのです。
ミラーフィニッシャーは今まで以上のツヤを生み出せる
ミラーフィニッシャーを使えば通常のワックスで出せるツヤを超え、これまで見慣れてきたツヤ以上の光沢が出ます。
鏡面磨きで大事なのは輝きの元となるワックスをしっかり層形成させること。
そして、磨き作業後半の最後の仕上げが重要です。
最後の仕上げがうまくいかないと、周囲の景色が映り込むほどの美しく透明度の高い鏡面になりません。
光が反射しにくくなります。
潤滑剤が残留すると、副次的な効果として膜の硬度が低くなり持続性が低くなります。
すぐに割れたり、傷が付いたりする鏡面になってしまうということです。
- 輝きがイマイチとなる
- 強度が弱くなる
そこでミラーフィニッシャーの出番というわけ。
ミラーフィニッシャーを使えば、
- 透明度が高まる
- 短時間で鏡面が仕上がる
- 鏡面が長持ちする
といったメリットがあります。
通常、ワックスは革の凹凸のへこんだ部分を埋め、面を平らにして輝きを出します。
一方のミラーフィニッシャーは、すでに塗り重ねられたワックスの出っ張りを溶かして研磨する働きを持つのです。
ミラーフィニッシャーはワックスの凸凹を解消する見た目はワックスと似ていますが、効果と作用はまったく異なるケア用品、それがミラーフィニッシャーです。
ミラーフィニッシャーの使用感
では、肝心のペーストの感触を見ていきます。
ミラーフィニッシャーのペーストは比較的柔らか。
ミラーグロスやハイシャインプライマーに比べると扱いやすいです。
やわらかめの靴用ワックスと同じ感触といったところ。
試しに革に塗ってみると…
伸びます。
塗り広げやすいです。
塗りムラができにくく、使いやすい印象のペーストに仕上がっています。
ミラーフィニッシャーの仕様概要
ここで1度、ミラーフィニッシャーの仕様についてまとめます。
| 項目 | 仕様 |
| ブランド | M.モゥブレィ |
| 原産国 | 日本 |
| 成分 | ロウ 有機溶剤 |
| 容器タイプ | 缶 |
| 容量 | 40ml |
| カラー | ニュートラル（無色） |
| 用途 | 鏡面磨きの仕上げ |
| 参考価格 | 1,980円 |
ミラーフィニッシャー使用時の注意点
ミラーフィニッシャーを使うときには注意すべきポイントがあります。
それは以下の点。
- 塗り過ぎない
- 革にワックスを十分に乗せる
ミラーフィニッシャーは、すでに革に塗ったワックスの潤滑剤を除去しつつワックスの層を平坦にする効果を持つケア用品です。
つまり、ミラーフィニッシャーを塗り過ぎるとワックスを必要以上に溶かし、きれいに形成したワックス層でさえも崩してしまう可能性があります。
ミラーフィニッシャー使用時は、あくまでも少量を取るようにしましょう。
また、ミラーフィニッシャーの効果を最大限発揮するためには、あらかじめ革にワックスを十分量、乗せておく必要があります。
ミラーフィニッシャーはワックスを一時的に溶かして平坦にするためです。
極端な話、ワックスが塗っていなければ、いくらミラーフィニッシャーを使ったところで強いツヤは出ません。
輝きの元がほとんどない状態ですからね。
- ワックスを塗った後に
- 適度な量を使う
上記がミラーフィニッシャーを使う上では重要なのです。
ちなみに、保管場所の気温に気を払うのも注意点の1つ。
15℃～25℃の環境で保管します。
直射日光の当たらない室温で保管しましょう。
玄関やエアコンのきいた室内での保管を心がけると良いです。
ミラーフィニッシャーで革靴の鏡面がより輝くかを実践
ここからはミラーフィニッシャーを使った鏡面仕上げをしていきます。
磨くのはこちら。
コールハーンのビジネスシューズ。
クオーターブローグの革靴です。
つま先の鏡面磨きにミラーフィニッシャーを活用しますね。
ミラーフィニッシャー以外で使うワックスは以下。
M.モゥブレィブランドで統一しました。
手順としては次の通り、やっていきます。
- ハイシャインプライマーで土台作り
- ハイシャインワックスで層形成
- 磨き上げ
- ミラーフィニッシャーで仕上げ磨き
では作業開始です。
ハイシャインプライマーで土台作り
まずはハイシャインプライマーで輝きのベースを作ります。
ハイシャインプライマーをすりこむように塗ります。
革の凹凸を埋めるイメージで。
輝きの元を作っていきます。
ハイシャインワックスで層形成
続いて、ハイシャインワックスでワックスの層を重ねます。
優しく塗り広げ、ワックスの層を複数塗り重ねていきます。
両足交互に塗っていくと輝きを生み出しやすくなるので意識して作業すると良し。
ワックスの溶剤を飛ばして乾燥させると強固なワックス層が生まれます。
そのため、左右交互にワックスを乗せていくのがおすすめ。
片方の靴にワックスを塗ってる間に、もう片方の靴のワックスを乾燥させるのです。
磨き上げ
ワックスを塗った後はクロスと水で磨き上げます。
そして、クロスで革靴を磨いていきます。
鏡面磨きにするための方法とコツは以下の記事で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。
磨き後の靴の状態はこんな感じ。
このままでも充分なような気がしますが…。
近くで見るとやや濁りが散見。
輝きの濁りをどこまで解消できるのか…。
ミラーフィニッシャーの実力を試してみますね。
ミラーフィニッシャーで仕上げ磨き
先ほどまでに使ったクロスの磨き面にそのままミラーフィニッシャーを少量付けます。
ガッツリ付けずに少量でOK。
鏡面に対して優しく塗っていきます。
塗るというよりは磨き込むという表現の方がしっくりきますね。
磨き始めこそツヤが曇りますが、磨き続けていけば…
徐々にツヤが出てきます。
左右交互に磨き込んでいくと…
再びツヤが。
ミラーフィニッシャー使用前よりも透明感が高まった光沢が得られます。
近付いて見ると…
ツヤに奥行きがあると言いますか。
上品な輝きです。
外の自然光の下だと美しさがより際立ちます。
ミラーフィニッシャー使用前後で鏡面の仕上がりを比較すると以下の通り。
ミラーフィニッシャーで磨く際の気を付けるべきポイントとしては、長時間に渡って磨き続けないこと。
必要量のワックスが乗った状態であっても、調子に乗って磨き続けると研磨しすぎてワックスを削ってしまい、ツヤが弱くなることもあります。
慣れるまでは使いこなしに苦労するかもしれませんが、使いこなしたその先には極上の輝きが待っています。
上手に使いこなせば、まるでコンパウンドで仕上げたような平滑性の高い鏡面が作れますよ。
もう1足追加でミラーフィニッシャーの効果を確認
ミラーフィニッシャーの効果検証のため、もう1足追加で鏡面仕上げをしてみます。
先ほどのコールハーンのシューズよりもキメの細かい上質なカーフレザーを使った1足。
キメが細かいため、ワックスで凹凸を埋めやすく光らせやすい革靴です。
先ほどと同じように、ハイシャインプライマーとハイシャインワックスで輝きの元を作っていきます。
ワックスを塗った後はクロスで磨き上げ。
仕上がり、つまりはミラーフィニッシャー使用前の鏡面はこんな感じです。
これだけでも十分な美しさですが…。
ミラーフィニッシャーで完成度を高めていきます。
ミラーフィニッシャーをクロスに取り分けて…
優しく磨いていきます。
すると…
今まで以上のツヤめきに。
磨きすじが消え、革に深さ方向の輝きが加わりました。
周囲の景色を反射して、エレガントな印象へと昇華。
加えて、ミラーフィニッシャーには使用方法に応用編がありまして。
履いた後に輝きが弱くなった後にはワックスを乗せずにミラーフィニッシャー単体での磨き上げで美しさが復活。
ミラーフィニッシャーで両足とも磨き上げれば…
ツヤが元通り。
鏡面を復活させる用途でも使えるのがミラーフィニッシャーの強みです。
今まで以上の輝きが手に入るミラーフィニッシャー
本記事ではM.モゥブレィのミラーフィニッシャーの詳細と使用感をレビューしました。
鏡面磨きの完成度を高めるミラーフィニッシャー。
ワックス中の潤滑剤を除去し、磨きすじを解消するケア用品です。
鏡面仕上げをワンランクアップさせるために大活躍する鏡面磨き用の道具。
既存のワックスで得られる輝きを超える美しいツヤを生み出します。
なんて人は、安定して綺麗な仕上がりができるのでおすすめ。
現状の鏡面の仕上がりに大なり小なり不満を持っている人はミラーフィニッシャーをチェックしてみてください。
革靴がより美しく仕上がりますよ。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました！
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。
