革靴にワックスを乗せて磨き上げると、革がまるで鏡のように光り輝く手法。
それが鏡面磨きです。
ワックスで革に膜を張る鏡面は美しさを高める一方で、ぶつけた衝撃でワックスが割れることがあり、美しい鏡面が台無しになるリスクがあります。
鏡面磨きを繰り返し、ワックス層が厚くなるほど割れやすく、見た目を大きく損なうことになるのです。
例えば、鏡面に仕上げた革靴を長く履いていると、こんな感じでボロボロになります。
これでは、見た目が締まりません。
もう1度、美しい鏡面に復活させたいですよね?
ただ、これだけボロボロになった鏡面の場合、上からワックスを塗り重ねてもデコボコが激しすぎてワックスの乗りが悪く、仕上がり不良を招きます。
そのため、ワックスを完全に取り除いてリセットするのが近道です。
ただ、ワックスを取り除くのはものすごく大変。
頑固にくっついています。
並みのクリーナーでは取り除けません。
そこで活躍するのがサフィールノワールのナチュラルクリーナー。
こびりついたワックスをごっそり落とし切ります。
しかも簡単に。
本記事では鏡面磨きをリセットするためのワックスの落とし方を解説します。
- 鏡面磨きをリセットしたい
- 割れた鏡面が気になる
- 古いワックスのせいで鏡面がきれいに仕上がらない
ワックスを厚塗りすると割れやすい
革靴を美しく仕上げるにはワックスが重要。
というのも、革の光らせたい箇所にワックスを塗って磨くと強いツヤが出ます。
革のもともとの凹凸をワックスで埋めることで表面がなめらかになり、光を反射しやすくなるためです。
ワックスを塗り重ねて革の凸凹を埋めるという作業の性質上、ワックスを塗り重ねるほど輝きは強くなります。
ただ、ここで1つの問題が。
ワックスを厚塗りすると、衝撃を受けた際に割れやすくなります。
そう。
革の上で形成するワックス層はもろいです。
歩いているときにどこかに靴をぶつけると、ワックス層に衝撃が走り割れます。
薄塗りの場合はワックスの層が薄いため、衝撃がワックス層だけでなく革まで届いて負荷が分散。
割れにくいです。
仮に割れたとしても、輝き控えめな薄塗りだと割れが目立たず、見た目を損ねにくい性質があります。
一方の厚塗り。
衝撃が革まで伝わる前にワックス層がダイレクトに応力を受けるため、割れやすいです。
また、厚く塗ったワックスは亀裂が大きく一目でわかるほど。
見た目を損ねます。
革靴を光らせたいゆえの厚塗りは、
という、諸刃の剣の側面を持つのです。
割れた鏡面は見た目がひどい
割れた鏡面の実例として、僕の革靴をお見せしましょう。
こちら。
スコッチグレインのシャインオアレインⅣです。
ご覧の通り、鏡面に仕上げたワックスがボロボロ。
割れている部分、ワックスが完全に剥がれている部分、それぞれあります。
ひどい有様です。
これでは足元が締まらないどころか、悪目立ちします。
鏡面仕上げしていない靴の方がまだエレガント。
革靴を美しく演出するためのワックスが逆効果になるのです。
割れた鏡面はリセットしたい
割れた鏡面は復旧して美しく仕上げたいですよね?
そのためには鏡面層をリセットしなければなりません。
クリーナーでワックスを取り除く必要があるのですが…。
厚く塗ったワックスの除去は簡単ではありません。
通常の靴クリーナーでは。
ワックスは革の上に強固な膜となって乗っています。
通常の油汚れのように、靴クリーナーとクロスでサッと拭き取れば落ちる類のものではないのです。
実際、靴クリーナーでワックス層を拭き取っても、いつまでも革の輝きが出たまま。
- 数十回ほどクリーニングしてようやく落ちる
それが現実です。
手間がかかります。
ただただ面倒です。
そう思ったとき、
- 簡単に鏡面層をリセットする方法
があります。
頑固なワックスをきれいに取り除く方法
割れた鏡面の頑固なワックスをきれいに取り除く方法とは、ズバリ、
- ワックス除去用の強力クリーナーを使う
こと。
サフィールノワールのナチュラルクリーナーは、植物由来で安心安全の超強力クリーナーです。
ワックス落とし用のクロスには、同じくサフィールノワールのスニーカークリーニングクロスを使います。
スニーカークリーニングと銘打った商品ですが、革靴にも使える万能汚れ落としクロスです。
これらの道具を駆使すれば、こびりついたワックスを徹底除去。
頑固な鏡面をリセットできます。
早速ですが、ナチュラルクリーナーで割れた鏡面を除去。
リセットしていきますね。
ナチュラルクリーナーを布に浸み込ませて革靴を拭いていきます。
ワックスを落としたい箇所を優しくなでるように。
力を入れる必要はまったくありません。
ナチュラルクリーナ-を付ければ、ワックスが溶けていくので拭き上げるだけでOKです。
クロスにワックスが移り、キッチリ落とせているのを実感。
通常の靴クリーナーよりも圧倒的にワックスをクリーニングする力が強いことを実感します。
1度でワックスの落ちが不十分なら…
2度、3度とクリーニングを繰り返します。
ものの数回でワックスが落ち切り、革がスッピン状態になりますよ。
片方が終わったら、もう片方の靴もクリーニング。
クリーニング後のクロスはこんな感じ。
ワックス由来の黒ずみがクロスに移っています。
その分、靴はきれいになったわけです。
鏡面クリーニング後の革靴の状態
では、作業後の革靴の状態を詳しく見ていきましょう。
割れがひどかった表面がまるっときれいに。
ワックスを完全に落とし切れば革への栄養補給がしやすくなるため、革のコンディションを整えるのが簡単に。
ワックスを乗せたままだと保革クリームを塗ってもワックスの層が浸透を阻み、十分な保革効果が得られません。
鏡面が割れたときはもちろん、割れていなくても半年に1度程度はワックスを落とし切り、革への栄養補給をすると革と末永く付き合っていけますよ。
ワックス除去後には保革特化クリームでお手入れすれば革がモチモチに!
ワックスを落としきれば新しい鏡面が作りやすい
ワックスを完全除去したことで得られる効果は、保革のしやすさだけではありません。
完全にワックスを取り除いた革へあらためてワックスを塗ると、ワックスがきれいに層状に乗ります。
つまり、美しい鏡面が出来上がりやすいということ。
ツヤに奥行きがある仕上がりになるといいますか。
そんな感じ。
百聞は一見に如かず。
ワックスを取り除いた革靴をあらためて鏡面に仕上げていきましょう。
ナチュラルクリーナーを使った直後だと革が湿っているため、ワックスが乗りにくいことがあります。ワックスを落とし切った後は1日程度時間を空けるとベターです。
では、早速。
鏡面を再度作り込んでいきますね。
今回使うのは鏡面のベース材であるハイシャインプライマー。
M.モゥブレィのアイテムの1つ。
そして、サフィールノワールのビーズワックスポリッシュです。
ハイシャインプライマーで土台を作り、ビーズワックスポリッシュで輝きを生み出す算段。
まずはハイシャインプライマーを革に塗ります。
今回はつま先のみを光らせることに。
指で直接ハイシャインプライマーを塗り込んでいきます。
両足の革靴にハイシャインプライマーを塗ったら、上からビーズワックスポリッシュを塗ります。
片方の靴に塗ったら、もう片方にも。
靴を交互に2、3層塗り重ねるとツヤが増すためおすすめです。
ビーズワックスポリッシュを塗った後は、5分程度乾燥させて溶剤を飛ばすと、革に定着しやすく鏡面に仕上がりやすくなります。
続いて、磨き用クロスに水を含ませて磨く工程へ。
ハンドラップで少量の水をクロスに含ませて革靴を磨きます。
片方の靴をしばらく磨いたら、もう片方を。
交互に磨き続けていくと、徐々に輝きが生まれていくのが分かるはず。
磨き続けてできた鏡面がこちらです。
周囲の景色を反射しています。
1度スッピンに戻した革が再び美しいツヤを取り戻しました。
割れてボロボロになった鏡面の面影は微塵もありません。
ワックス除去前と再度鏡面に仕上げた靴の比較をしてみます。
違いは一目瞭然。
割れた鏡面が完全にリセット。
ツルっとした表面に生まれ変わっています。
足元をエレガントに演出する、美しく強いツヤが復活しました。
割れた鏡面はワックスを塗り重ねてごまかすこともできますが、ワックスの層がデコボコしているため奥行きのある光沢が得られません。
1度完全にリセットして新たに鏡面に仕上げれば、格段に仕上がりが良くなります。
気分良く革靴を履くため、割れた鏡面は完全に除去しましょう。
鏡面をリセットして革靴の美しさを取り戻そう
本記事では、割れた鏡面をリセットして新たにきれいな鏡面層を作り上げる工程を解説しました。
割れた鏡面は見た目を損ない、履いていて気分が上がりません。
厚塗りしたワックス層は割れの程度がひどく、遠目から見てもボロボロなのが分かるほどです。
割れた鏡面層を落とそうにも、頑固なワックスが強力にこびりついているため、なかなか苦労します。
そこで強力な洗浄力を持つナチュラルクリーナーの出番。
クロスに浸み込ませて軽く拭けば、ワックスをきっちり取り除けます。
手軽に革をスッピンに戻せますよ。
鏡面をリセットした後は、新たにワックスを乗せて磨けばきれいな鏡面が再び完成。
美しい革靴へとよみがえります。
せっかく気分を高める鏡面磨きをしたのですから、割れた鏡面でいつまでも革靴を履くのはもったいないです。
完全に取り除いて、革靴だけでなく気持ちもすっきりリセットしましょう。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。