鏡面磨きは革にツヤを出し、革靴をエレガントにします。
使うのはワックス。
ワックスを乗せて磨き上げることで革の上に硬い油膜を張ります。
油膜の表面はとてもなめらかなため、あたかも鏡のように光を反射する面が出来上がるのです。
しかし、鏡面磨きは難しいのが事実。
美しく強い輝きを放つ鏡面を作るのは、経験や慣れが必要。
なんてことは「あるある」です。
と思いきや、理由はそれだけではありません。
鏡面の作りやすさは革の質にも左右されます。
上質できめ細やかな革にはワックスが乗りやすく、均一な油膜が張りやすいのです。
つまり、
ことになります。
例えば、ジェイエムウエストンの革は自社タンナー工場の最高級カーフを使用。
上質レザーながらも、他社が仲介していないためコスパ良し。
きめ細やかな超上質な革はワックスでツヤを出しやすく、鏡面磨きが楽しい革靴です。
鏡面磨きがうまくいかない人は上質な革を使った高級革靴を購入すると世界が変わります。
とても簡単に鏡面磨きが成功しますよ。
本記事では上質な革は光りやすいことをジェイエムウエストンの革靴で実証します。
- 鏡面磨きがうまくいかない
- 鏡面を成功させるにはどうすれば良い?
- 上質な革の光りやすさってどのくらい?
革靴を美しく演出する鏡面磨き
鏡面磨きは革靴を美しく仕上げる手法の1つです。
革にワックスを塗り、布で磨き上げることで強いツヤを与えます。
革の上にワックスのなめらかな層ができるため、光を均一に反射。
革がまるで鏡のような状態になります。
輝きを増した革は上品な印象に。
革靴をエレガントに仕上げる効果があるのが鏡面磨きです。
また、鏡面磨きには革を保護する役割もあります。
革をワックスの層で覆うため、革に保護膜ができた状態。
そのため、革靴を履いて歩いたときに小石が飛んできたり、ぶつけたりしても衝撃がダイレクトに革に伝わりません。
ワックスの層がクッションの役割を果たしてくれるのです。
美しい質感だけでなく、革を守る効果もあるのが鏡面磨きの特徴ですよ。
ただ、鏡面磨きは難しいのも事実です。
なんてことが多々あります。
鏡面磨きの原理
鏡面磨きがうまくいかない理由を理解するには、まず、
- 鏡面ができる原理
を知らなければなりません。
鏡面磨きは革にワックスを乗せて、布で磨いて完成させます。
革の表面はもともとデコボコしています。
そのままの状態では革にツヤはほとんどありません。
さらに、革にワックスを塗ったところで輝きが生まれるでもなく。
革に塗っただけのワックスもまた、凹凸があります。
磨くことでワックスの凹凸をなくし、革のへこんだところをワックスで埋めることでなめらかな表面を作るのです。
つまり、革を光らせるためには、革本来の持つ表面の凹凸をできるだけワックスで埋めつつ、さらに、なめらかに均す必要があります。
鏡面磨きがうまくいかない理由
原理が分かれば、鏡面磨きがうまくいかない理由がおぼろげながら見えてきますよね?
鏡面がうまくいかないのは革の凹凸がなめらかになっていないからです。
いくらワックスを塗っても、
- 革にワックスが定着していない
- 革のへこんだ箇所が埋まっていない
上記が起こっていると鏡面ができず、光りません。
特に、革のへこんだ箇所をワックスで埋められないのは鏡面作りを滞らせる懸念事項です。
いかに革の凸凹をワックスで平坦にするかが鏡面磨きのカギを握ります。
鏡面が上手くいかない原因は、
- ワックスが柔らかすぎて定着せずに革の凸凹を埋められないこと
- ワックスを十分乾燥できておらず磨いたときにずれてしまうこと
など多岐に及びますが、革の質も鏡面の形成状態に大きな影響を及ぼします。
要は、革のキメの細やかさが鏡面の出来を左右するのです。
上質な革は鏡面を作りやすい
革のキメはワックスの乗りを大きく左右します。
キメが粗いとデコボコの幅が大きくなり、へこんだところをキッチリ埋めるのに時間がかかります。
谷部分が広く大きいため、埋め立てるためのワックスがたくさん必要だから。
しかも、ワックスでツヤを出す工程は少しづつワックスを積み上げていくため、一気にドカッと埋めることは不可能。
へこみが深く大きいほど、輝きを出すために時間がかかります。
一方で、革のキメが細かいとデコボコの間隔が狭く高低差も小さいため、へこみを解消しやすいです。
ワックスで埋めていく作業が短時間でスピーディにできます。
と、ここで1つの疑問が。
ということ。
キメが細かい革とは、つまりは高級な革。
牛革でいうと、生後間もない仔牛の革を使ったカーフレザーです。
- 生後6か月程度の仔牛の革を指す
- 革のきめが細かく柔らかい
- 革の中では高級品に分類される
非常にきめ細やかで見た目にも美しく、ハイブランドやラグジュアリーブランドがこぞって使用する革種。
きめ細やかで上質な高級レザーはワックスが定着しやすく輝きが出やすい、いわゆる、
- 鏡面に仕上げやすい革種
なのです。
ジェイエムウエストンの上質な革で鏡面磨きを実践
きめ細かい上質な革を使った革靴メーカーは限られます。
すべてのシューズメーカーが上質な革を使っているかと言えば、決してそうではなく。
歴史ある高級シューズメーカーのみが上質な革を仕入れて革靴に仕立てられます。
フランスのシューズメーカー、
- ジェイエムウエストン
もまた、上質レザーで靴を作れる希少な企業です。
通常、シューズメーカーはタンナーと呼ばれる、なめし業者から革を買うもの。
しかし、ジェイエムウエストンは違います。
自社でタンナー工場を保有。
革靴に使うのは厳選した最高級の上質な革のみです。
自社工場ゆえに、仲介業者を挟まず価格を抑えられます。
ジェイエムウエストンの靴は高いですが、他のシューズメーカーでジェイエムウエストンと同等のクオリティを求めるならもっと価格が張ります。
ジェイエムウエストンの上質なカーフレザーは、細やかな革の表情と柔らかでしなやかな質感。
たとえば、こちらのジェイエムウエストンのモデル名「342」。
繊細なツヤが美しい、ローカットブーツです。
革を見れば、一目で高級品だとわかります。
もともとの革自体の凸凹感が少なく、ゆえにワックスを塗らずとも、すでに控えめな輝きを放っていますね。
ワックスを塗り重ねれば容易に光り輝くのが想像できますよね?
一例として、ジェイエムウエストンとブランドストーンの革質を比較してみます。
どちらもブーツタイプの革靴です。
左がジェイエムウエストン、右がブランドストーンです。
ブランドストーンの革も確かに良いですが、ジェイエムウエストンの革のきめ細かさにはかないません。
履きジワの深さや大きさもまったく違います。
基本的に、きめ細かい革ほど履きジワが小さく、目立ちません。
良質な革は見た目がきれいにキープされやすいです。
ブランドストーンの革の拡大図がこちら。
決して悪い革ではありません。
ただ…。
対して、ジェイエムウエストン。
革のキメが緻密。
どちらもワックスを塗っていない革ですが、ジェイエムウエストンの革はすでにツヤを放っていますね。
ジェイエムウエストンの革はそんな期待が高まる質感と風合いです。
ということで。
実際、
を検証していくことに。
使う道具はこちら。
- ワックス下地
- ワックス
- 磨きクロス
- ハンドラップ
- 山羊毛ブラシ
鏡面磨きの方法は次の通りです。
- ワックス下地とワックスを塗る
- 塗ったワックスを乾かす
- クロスで磨く
- 山羊毛でブラッシングする
では早速やっていきましょう。
ワックスを塗る前には靴クリームで保湿しておくのがおすすめです。
ワックス下地とワックスを塗る
まずは革靴にワックス下地を塗っていきます。
今回は最初にワックス下地を塗り、ベースを作ってからワックスを塗ることに。
あらかじめ下地を作っておくと、そのあとに塗るワックスの定着が良く、ツヤが生まれやすくなります。
上質な革とのシナジーで輝きやすく、おすすめの方法です。
ワックス下地にはM.モゥブレィのハイシャインプライマーを使っています。
ワックスの下にあらかじめ塗ることで鏡面にしやすい土台を形成。
輝きを生み出すサポートをするシューケア用品です。
ハイシャインプライマーを指で直接塗っていきます。
光らせたい部分に塗っていきましょう。
今回はつま先と…
かかとに。
表面に薄く塗ります。
革に押し込むイメージで、指に摩擦熱を感じる程度に擦り込むと輝きが生まれやすくなります。
左右両方の靴に塗ったら、次はワックスを。
サフィールノワールのビーズワックスポリッシュを使います。
柔らかで伸びが良い靴用ワックス。
使いやすいため、重宝しています。
先ほど塗った下地の上からワックスを塗り重ねます。
下地作りのときとは違い、ワックスを優しく塗り重ねるイメージで。
クルクルと指で円を描きながら、鏡面にしたい箇所をまんべんなく塗っていきましょう。
塗ったワックスを乾かす
ワックスを塗った後は5分程度時間をおいてワックスを乾燥させます。
ワックスが含んだ溶剤を飛ばし、革の上にワックスを定着させるのが目的です。
乾燥が不十分だと、磨いたときにワックスが崩れて鏡面ができにくくなります。
輝きが曇る原因になりますので、急がば回れの精神でしっかり乾燥時間を設けましょう。
クロスで磨く
ワックスを乾燥させた後はクロスで磨いてツヤを生み出していきます。
ハンドラップで水を付けて磨くわけですが…。
こちらのハンドラップにはブートブラックのポリッシュウォーターが入っています。
ポリッシュウォーターはエタノールを含み、蒸発が早い水なので鏡面磨きの水研ぎ用にピッタリ。
鏡面が早く仕上がるのでオススメのアイテムです。
まずは磨きクロスを指に巻き付けます。
磨きクロスにハンドラップでポリッシュウォーターを浸み込ませて…
磨きクロスにほんの少しのワックスを付けます。
ワックスの量としてはこのくらい。
ほんの少しでOKです。
磨きクロスで革靴を磨いていきます。
ワックスを塗ったときと同様に、磨きクロスで円を描くように磨いていきます。
力を込める必要はまったくありません。
あくまでもなでるように。
すべらせる感じでOKです。
片方の靴を磨いたらもう片方も。
つま先とかかと、かわるがわる磨いていきます。
キメが粗い革だとツヤが出てくるまでに時間がかかるのですが、さすがはジェイエムウエストンの革。
左右・部位の磨きを一巡しただけで輝きが生まれます。
上質な革はここが違うのです。
輝くのが圧倒的に早く、鏡面の仕上がりがスピーディ。
念のため、磨きを三巡もすればこのように。
強い輝きが出ました。
ここまでツヤが出てば十分。
ですが、もうひと手間加えると輝きの質がワンランクアップします。
次の項目で実践しますね。
山羊毛でブラッシングする
鏡面の輝きをアップするには山羊毛ブラシを使うのが肝です。
細く柔らかな山羊毛で鏡面磨き部分をブラッシングすると、ワックスの成分がさらに均され、ツヤに奥行きができます。
また、山羊毛でブラッシングすると鏡面部分と通常部分の革の境目があいまいになり、より自然な仕上がりになります。
山羊毛ブラシでブラッシングすると鏡面の仕上がりがワンランクアップするのです。
ハンドラップで山羊毛ブラシにポリッシュウォーターを付けて…
ブラッシングします。
優しくすべらせるブラッシングで革靴全体をブラッシングしましょう。
ジェイエムウエストンの上質な革の輝きがさらにエレガントになりました。
ピカピカです。
まさに鏡。
ワックスの缶が写るくらいにツヤが出ています。
かかともバッチリ光っています。
鏡面磨きの醍醐味です。
上質な革で鏡面磨きを試したビフォーアフター
ここで、鏡面磨きをした効果を確認します。
ジェイエムウエストンの革靴を鏡面磨きする前と後で比較しますね。
こちらです。
もともとは革本来のきめ細かさが生み出す控えめなツヤが出ていたウエストンのカーフレザー。
鏡面磨き後は周囲の景色を反射するほどの強い輝きに生まれ変わりました。
上質な革は強い輝きが早く出てきます。
一般的な革ではツヤが弱かったり、仕上がりに時間がかかったり、今回ほどはうまくはいきません。
上質な革ならではの満足度の高い鏡面に仕上がりました。
自然光の下では美しさ倍増です。
鏡面磨きを手ごろに楽しむには本人の技術が大切。
ですが、革の質にも着目するとハードルがぐっと下がります。
鏡面磨きがうまくいかないと悩んでいる人は、上質な革を使った革靴で鏡面磨きすることをおすすめします。
鏡面を成功させるなら革質にも注意しよう
本記事では上質な革での鏡面の作りやすさを実践解説しました。
鏡面作りが難しいと感じている人は道具や技術だけでなく、革の質にも注目しましょう。
上質な革はきめ細やか。
表面の凹凸をワックスで解消しやすく、輝きを生み出しやすい特徴があります。
ジェイエムウエストンをはじめ、上質な革を使った高級シューズメーカーは鏡面磨きで輝きが出やすいです。
価格は高めですが、靴磨きの醍醐味を味わうためにはおすすめ。
なんて人は、
なんてことがあり得ます。
鏡面が作れないときは上質レザーの高級革靴でチャレンジしてみてください。
思いのほか簡単に鏡面が作れるはずです。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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