レザーソールの靴を履いていると、気になるのが雨などによる水の付着です。
革に水が付いてそのままにしてしておくと、革の乾燥が進んでしまいます。
革が乾燥すると革質が硬くなり、地面と直に接するレザーソールはどんどん削れてしまうのです。
それを防ぐために、レザーソールにも保革対策が必要です。
レザーソールの弱点とは?
レザーソールの履き心地は素晴らしいものです。
履き下ろし直後こそ硬いものの、なじんだ後の足に吸い付くような返りの良さは本当にクセになります。
その履き心地は「レザー」だからこそ生まれるわけですが、逆にそれが欠点となることもあります。
その筆頭が
耐水性
です。
革は水に弱い
この事実は変えがたいものがあります。
特にソールは、地面に残った雨水や水汚れなどで水の付着は避けられません。
そのため、水に濡れた革というものは非常に乾燥した状態になってしまうのです。
革が水に濡れると革の内部に水が染み込みます。
染み込んだ水は一時的に革に潤いをもたらして、革の繊維を柔らかくします。
ただ、そこに落とし穴が。
「ずっと濡れた状態であれば」なんですね。
濡れた革はそのうち乾きます。
この「乾く」という過程が問題を引き起こすのです。
水に濡れて緩み、柔らかくなった革の繊維は乾いていくと状態が変わっていきます。
締まり、硬くなっていくのです。
雨に濡れる前よりも硬くなっているはずです。
しかも、乾燥が進んで水が蒸発していく際には、保革に必要な水分や油分まで一緒に飛んでいってしまうのです。
これが革が水に弱いと言われる所以です。
水に濡れると、革の乾燥が進んでしまって硬くなる
一見すると、矛盾してそうな現象が革の内部では起こってしまうのです。
レザーソールもその例外ではなく、水に濡れると乾燥して柔軟性が失われ、靴の返りが悪くなります。
下手をすると歩行時の靴のしなりに耐えきれず、ソールが割れてしまうことだってあります。
怖っ!!
レザーソールの乾燥防止
では、レザーソールの乾燥を防ぐにはどうすればよいでしょうか?
その答えは
油分を与えて保革する
ということです。
ソールに限らず、革にとって乾燥は大敵です。
ですがレザーソールの場合、他の革製品に比べて水と接触しやすいです。
つまりは非常に乾燥しやすい環境に置かれていることになります。
レザーソールは他の革製品よりもずっと、保革に気を使う必要があるのです。
靴磨きでアッパーに施すのと同様に、栄養クリームをレザーソールへ塗布することによって潤いを補給してあげなければなりません。
レザーソールのお手入れをやってみよう
では、実際に雨に濡れてしまったソールのケアを行っていきます。

雨に濡れて乾燥してしまったレザーソールの様子はこちら。

革が白くなっています。
これは、履いているうちに革が地面に削られていくことで起こる毛羽立ちと、今回の課題である革の乾燥、その両方によって引き起こされています。
この状態で履き続けると、固くなってしまった革がガリガリと地面との摩擦によって削られてしまいますから、早急なケアが必要なんです。
チリ・ホコリ落とし
まずはブラッシングによってチリやホコリを落とします。
レザーソールのブラッシングに関しては、雨の日に履いた後にお手入れを行う際、注意すべき点があるんです。
雨に濡れた革は一時的ではありますが、柔らかくなります。
ですので、濡れた状態でアスファルトなど歩いた際には、道上に落ちている小石などが食い込みやすくなります。
雨の日に履いた後のレザーソール靴の裏を見てみると、結構ガッツリと小石が埋まっていることが多いですから、よく確認することが必要です。
濡れた後のソールをケアするときは小石などが食い込んでいないか確認しましょう。
以上を踏まえて、まずはタワシで小石などの大きなごみを取り除きます。

埋まっている小石等をかき出すようにブラシ掛けします。
それが終わったら、ホコリを除去するために馬毛ブラシでブラッシングします。

ブラッシング工程は以上です。
雨の日に履いた靴は、いつも以上に念入りにブラッシングして、徹底的にゴミやホコリを落とすと良いでしょう。
汚れ落とし
ブラッシング後は水汚れを落とす工程です。
雨に濡れた地面は、水によって溶けだした汚れがそこかしこに広がっていて、いつも以上に靴が汚れやすい環境になっています。
ブラッシング同様に汚れ落としも、より気合を入れて行います。
M.モウブレィのステインリムーバーをクロスに取りまして…

ソールを拭いていきます。

先ほど、気合を入れると言いましたが、それは力を入れてゴシゴシこするという意味ではありません。
あくまで優しく拭くイメージで通常よりも数回多くこの工程を繰り返して、汚れをしっかりと落とすという意味です。
油分補給
汚れ落としが完了したら、次は革への栄養補給です。
水に濡れた革は非常に乾燥してしまっていますから、雨で濡れたレザーソールへの油分補給は特に重要です。
そんな重要な油分補給には、こちらのクリームを使用します。

サフィールノワールのレノベイタークリームです。
こちらのクリームは、カーフなどの上質なスムースレザーに栄養を与え、革を柔らかくすると共に、保護膜を作ることによって革に自然な光沢を与えることが可能です。
この「革を柔らかくする」という効果が肝です。
レザーソールは歩いているときの返りが良い、という特徴があります。
それが乾燥することで固くなってしまうと、その特性が失われてしまうのです。
そこを補うために、柔軟性を与える効果のあるレノベイタークリームを使用するわけなんです。
このクリームをペネトレイトブラシに付けまして、ソールに塗ります。


ソールの繊維を引き締める
クリームを塗ったら、次は革の繊維を引き締めます。
クリーナーやクリームの塗布で緩んだ革の繊維を力を加えることで引き締めるのです。
それにより革の強度が出て、耐久性が高まります。
使う道具はと言えば、毎度おなじみ。

こちらをクロスで包んで、ソールをこすっていきます。


クロスで包むのはレザースティックの表面に傷が付かないようにするためです。

上のようにソールにツヤが出てきたら、革が締まった証拠。
ここまででも十分ケアはできているのですが…。
レザーソールの防水対策
レザーソールの靴を履くにあたっては、「雨の日は履かない」ということを心掛けていますが、今回のように、再度急な雨に振られるということも可能性としては十分あります。
天気予報はあくまで予想、最終的には自らの判断にゆだねられますからね。
靴を守るのは自分自身!(名言風)
…なので、ソールに防水対策を施します。
ソールに防水効果を与えるのはコイツです。

サフィールノワールのソールガード。
これをソールに塗布することで防水性が高まり、水の浸透や乾燥による革のひび割れなどに強くなります。
防水性が高まるといっても、完全防水になるということではないので悪しからず。
何もしないよりは、した方が良いという程度です。
体感的に。
これをクロスに染み込ませてから、クロスでソールに塗っていきます。


こちらのソールガードはリキッド状なので、かなり滑り良くスイスイ塗れます。
全体に塗布した図がこちら。

塗り終わり直後こそだいぶ湿り気がありますが、塗り終わってから数時間程度置いておけば、表面はサラサラの状態に戻ります。
以上でソールのメンテナンスは全行程終了です。

雨に濡れたレザーソールはお手入れ必須
今回は、雨で濡れてしまったソールの乾燥を防止する手法をご紹介しました。
濡れたソールをそのままにしておくと、革が必要以上に硬くなってしまいます。
革繊維の断裂や地面との摩擦が強くなることによる摩耗といったことが起こりやすくなります。
通常の靴磨きはもちろん大事ですが、雨の日に履いた靴のケアは、それ以上に靴の寿命を左右します。
レザーソールをお手入れして保革を行い、革の潤いを保てば長く革靴と付き合えます。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!








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