革に油分をたっぷり染み込ませたオイルドレザーは、しっとりとした独特の風合いが特徴の革です。
オイルドレザーの風合いとしては、光沢を放つというより、
- マットな質感
という表現がしっくりきます。
オイルドレザーで作られた靴は丈夫でしなやか。
独特の質感も相まって、無骨さを感じさせてくれる革靴になります。
ただ、そんなオイルドレザー靴もたまには気分を変えて光沢を持たせてみたい…。
いつもと違った表情のオイルドレザー靴を履いて外へ繰り出せば、これまでとは違った新鮮な気持ちで過ごすことができるはず。
この記事ではマットな質感のオイルドレザー靴に光沢を与える方法を紹介します。
光沢を与えるために使うのはアーティストパレット。
オイルドレザー靴であっても、上品な輝きを与えることができますよ。
オイルドレザー靴を光らせる意味
オイルドレザーで作られた革靴というのは、マットな質感で一般的なドレスシューズのようなツヤのある輝きを放ってはいません。
それはそれで、オイルドレザーらしいガシガシ履ける無骨さを感じられて良いのですが、たまには気分を変えて光沢のあるオイルドレザー靴を履きたいこともあります。
まぁ、たまにあるんです。
僕の場合。
いつもの革靴の雰囲気をちょっと変えたい、的な。
鏡面磨きに通ずる感覚です。
いつもの雰囲気をちょっと変えると、それが刺激になり気分が高まるのです。
鏡面磨きを施して、ピカピカに輝いた革靴を履いて外出するとテンション上がりますよね!?
そんな感覚をオイルドレザー靴でも味わいたい…。
革を光らせる「アーティストパレット」
気分転換に革靴を光らせる…。
そんなときにピッタリなシューケア用品があります。
それがこちら。
株式会社コロンブスが展開するブランド「Boot Black(ブートブラック)」にラインナップされている靴クリームです。
なぜアーティストパレットが気分転換に革を光らせることへの相性が良いかというと、以下の特徴があるからです。
- クリームを落とすのが簡単
- 油性クリームなので光沢を与えやすい
クリームを落とすのが簡単
アーティストパレットは顔料ベースの靴クリームなので、靴に色が乗ることで発色します。
靴の上に、色を出す粒子が乗っているだけです。
つまり、落とすのが簡単ということ。
気軽に色を乗せたり、落としたりできるので気分によって使い分けがしやすいのです。
アーティストパレットの特徴は名前が示す通り、画家のように色彩を楽しめる靴クリームであるということ。
アーティストパレットの色のバリエーションは20種類にも及び、気分によって様々な色を楽しめるように色も落としやすい仕様なんですね。
言い換えれば、色が抜けてしまった革を補色するにはアーティストパレットは適していません。
革の色を染める効果の高い「染料ベース」の靴クリームを使用しましょう。
油性クリームなので光沢を与えやすい
アーティストパレットは水を含まない油分のみの靴クリームなので、靴の上にクリームが留まり、光沢が出やすい靴クリームです。
そのため、アーティストパレットで靴を磨くと驚くほど輝きが出ます。
煌びやかな印象を与えやすいのです。
オイルドレザー靴のマットな雰囲気を、光沢を持った上品なものに変えるのが簡単なのですね。
かといって、革への栄養補給効果も十分にあり、保革作用もバッチリ。
アルガンオイルが抜かりなく革に潤いを与えてくれます。
実践:アーティストパレットでオイルドレザーを光らせてみる
ここからは実際に、オイルドレザーの革靴を光らせるための靴磨きをしていきます。
無論、アーティストパレットを使って。
磨く靴はこちら。
アメリカのシューズメーカー「ダンスコ」のプロフェッショナルオイルド。
オイルドレザーを使用したサボタイプの靴です。
革の質感はこんな感じ。
日頃から磨いているので若干の光沢はありますが、一般的なカーフレザーなどの革靴と比べると、やはりマットな感じが残っています。
アーティストパレットの色はデニムを選択。
黒の靴に紺色のデニム色を使って、ほんのり青みを出すのが狙い。
あらかじめ作業手順を確認しておきます。
- ホコリ落とし
- 汚れ落とし
- アーティストパレットを塗る
- ブラッシング(豚毛)
- クロスで磨く
- ブラッシング(山羊毛)
ホコリ落とし
まずは靴のホコリ落としから。
革靴は履いていくうちにホコリやチリが付着していきます。
ホコリは革の油分を吸い取ってしまったり、靴クリームの乗りを悪くしてしまったりと、革靴にとって百害あって一利なしの存在。
柔らかな馬毛のブラシでホコリやチリを落とします。
手首のスナップを利かせて払い落とすイメージです。
汚れ落とし
続いて、靴についた汚れを落とします。
靴用クリーナーを使えば簡単に汚れが落とせるのでおすすめです。
使用する靴クリーナーは、ブートブラックシルバーラインのツーフェイスローション。
油汚れと水汚れを同時に落とせるハイブリッドクリーナーです。
クロスにクリーナーを付けて…
靴を拭き、汚れを取ってあげます。
力を加えず撫でるように拭きましょう。
ゴシゴシこすると、革の色が抜けてしまうことがありますからね。
アーティストパレットを塗る
汚れを落としたらいよいよメインの工程。
アーティストパレットを靴に塗ります。
指で塗っても良いのですが、今回はクリーム塗布用ブラシのペネトレイトブラシを使います。
ペネトレイトブラシにアーティストパレットを少量付けて…
靴に塗り込みます。
ブラシを使うことで、履きジワの細かい隙間までクリームを行き届かせることができます。
アーティストパレットが光沢を作り出すので、光らせたいところにはしっかり塗っていきましょう。
ただし、塗りすぎ注意です。
靴クリームを付けすぎると靴がベタつく原因となります。
少量を薄く塗り広げるイメージでしましょう。
ブラッシング(豚毛)
続いて、ブラッシングでアーティストパレットをなじませます。
ブラッシングに使うのは豚毛のブラシ。
豚毛は毛が硬くコシがあるため、クリームを塗り広げる力が強いのが特長。
靴クリームをまんべんなく靴に行き渡らせるのに最適です。
革靴全体をブラッシングします。
大きめのストロークで豪快に。
クリームを塗り広げていきます。
クロスで磨く
ブラッシングの後はクロスで磨いて光沢を出す工程。
靴の光沢は革の表面が均一になり、光を反射することで表れます。
クロスでアーティストパレットをより均一な状態に仕上げるのです。
磨く際にはクロスに水を付けて、クリームがクロスに移らないようにしましょう。
ハンドラップで少量の水をクロスに染み込ませ…
磨きます。
円を描くようにクルクルとクロスを滑らせます。
アーティストパレットのクリームをならしていくイメージで。
片方の靴だけ磨き終わった状態がこちら。
右足(向かって左側)が磨いた後の靴。
明らかに光っていますよね。
マットなオイルドレザーであってもアーティストパレットならば、いとも簡単に光沢を与えられます。
両足とも磨き終わったら、次の工程に移ります。
この段階でも十分に輝いていると思いますので、次のブラッシング(山羊毛)工程はお好みでやってみてください。
ブラッシング(山羊毛)
最後はブラッシングで締めます。
柔らかな毛を持つ山羊毛ブラシでブラッシングし、ツヤを高める作業です。
磨き上げるという側面が強いので、クロス同様、山羊毛ブラシにもハンドラップで水を付けてブラッシングします。
少量の水を付けたブラシで優しくブラッシング。
馬毛や豚毛のときのような、手首のスナップを利かせた強めのブラッシングではなく、円を描くように繊細なタッチでブラッシングすると良いです。
あくまで靴クリームをならすのが目的ですからね。
これにて作業は終了です。
靴の仕上がりを確認・お手入れ前後の比較
最後にマットな質感のオイルドレザーがアーティストパレットで磨くことで、どのように変化したか見てみます。
まずは全体像。
アッパー部の拡大図も。
輝きを放っているのがわかりますね。
磨く前と磨いた後で比較すると…
深みのあるツヤが出ています。
磨いた後の状態である下の方の図は、アーティストパレットのデニム色が乗っているため、純粋な黒とはまた違った雰囲気が漂っていますね。
大満足の仕上がり。
オイルドレザーの靴でも、こんなにも輝きが出ます。
アーティストパレット、さすがの一言です。
オイルドレザー靴の雰囲気を変えて気分転換
本記事ではマットな質感のオイルドレザー靴を光らせる方法について紹介しました。
アーティストパレットを使えば、マットな革もいつもと違う雰囲気に早変わり。
簡単・お手軽に革へ光沢を与えてくれます。
- 革靴のマットで無骨な感じも良いけど、たまには光沢を与えて気分を変えてみたい
- オイルドレザーに上品な雰囲気を加えてみたい
そういった人は、ぜひアーティストパレットで革靴を磨いてみてください。
それでは今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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