ブートブラックが手掛ける、アーティストパレットは本当に良い靴クリームです。
僕自身、ニュートラルとデニム、ルージュという3色を保有しているのですが、
- もっと色味を買い足したい
- 欲を言えば全カラー揃えたい
そんなことまで思っている次第…。
アーティストパレットは水分を含まない油性クリームであるため、シューポリッシュを使わずとも革靴を輝かせてくれる特長も持ちます。
本記事では、アーティストパレットだけを使って靴磨きをして、どれだけ靴にツヤや輝きが出るか実践します。
なぜアーティストパレットだけで輝きが生まれる?
今回はアーティストパレットだけで靴にツヤを出すということがテーマなのですが、アーティストパレットは靴クリームという分類です。
このブログでも、アーティストパレットの詳細と靴磨きの様子は幾度もご紹介しています。
以上のように、アーティストパレットの効果は僕自身、身をもって実感しています。
他の靴クリームよりも靴が輝きやすいという感触があります。
ですが本来、革靴に輝きを与えるためにはシューポリッシュ、いわゆるワックスを使用するのが一般的です。
ですが、アーティストパレットを使うと、シューポリッシュを使わずとも、輝きが出ます。
それはなぜかと言いますと…
- 水を含まない油分のみで構成された靴クリームだから
というのが答えです。
輝きの秘密とは
油分のみの靴クリームだから輝く…。
このことは「シューポリッシュを使うと何故革靴が輝くのか・鏡面に仕上がるのか」を考えれば簡単に理解できます。
答えは至極単純。
革靴の表面に油の膜を形成するからなんです。
元々の革の表面には、動物の皮だった頃の名残があります。
つまりは肌のキメ、ざらつきや凹凸が残っているということ。
シューポリッシュはその革表面の凹凸の隙間を埋めて、革表面をならす効果があります。
それにより、光の反射が均一になり、鏡のような仕上がりだったり、あたかも靴自身が光っているような輝きを放つように見えるのです。
アーティストパレットのような油性の靴クリームは、水分が使われていないので、革表面に残る油分が乳化性の靴クリームと比べて多く、革の凸凹を埋める効果が高くなります。
従って、革の表面が均され易く、ツヤや輝きが与えられるのです。
一般的な油性の靴クリームであれば、革表面上に残る油分が多いということはその分、革へ栄養が浸透しなくなる、ということになります。
しかし、アーティストパレットの場合、浸透力が強いアルガンオイルを使用しており、油性靴クリームの浸透性の低さを補えるのです。
- 高い保湿力
- 浸透力
- 水分保持力
アルガンオイルと言えば、その肌への浸透力から高級化粧品にも使用されるような、人体にも優しいオイル。
革も動物の肌、コラーゲン等のタンパク質で形成されていることには変わりませんからね。
アーティストパレットは革靴に輝きを与えつつ、栄養も補給できる便利な靴クリームであるということです。
アーティストパレットで革靴にツヤを与えてみる
では実際に、アーティストパレットのみで磨いた革靴がどのような仕上がりになるのか、確かめてみます。
磨く靴はこちら。
当ブログでは毎度おなじみ、スコッチグレインのアシュランス。
黒のストレートチップはなんだかんだと出番が多く、磨く回数も必然的に増えます。
現状はこのような状態です。
作業工程は以下の通りです。
- ホコリを払い、汚れを落とす
- 靴にアーティストパレットを塗る
- 豚毛ブラシでクリームをなじませる
- クロスで磨く
- 山羊毛ブラシで仕上げる
シューポリッシュは使わず、アーティストパレットだけで靴を磨いていきます。
では、早速スタートです。
ホコリ落としと汚れ落とし
まずは馬毛ブラシによるブラッシングです。
革表面上に付着してるホコリやチリをブラシで払い落とします。
手首のスナップを効かせ、ブラシでホコリを飛ばすイメージで行います。
ホコリを落としたら、次は靴用クリーナーで水汚れや油汚れを除去します。
使用するのはブートブラックシルバーラインのツーフェイスローション。
こちらのクリーナーは水溶性クリーナーと油性クリーナーが混合されたハイブリッド型の靴クリーナー。
それらのクリーナー成分が分離した状態となっているのですが、容器を振ると…
分離していた溶液が混ざり合い、上の写真のような均一に白濁した状態になります。
この状態でクリーナー溶液をクロスへ取り、革靴をクリーニングしていきます。
靴を履いていくうちに蓄積されていく水汚れや油汚れだけでなく、古い靴クリームも同時に除去する効果もあります。
汚れ落としの後のクロスはこのように真っ黒です。
こういった一連のホコリ落としや汚れ落としは、これから塗布する靴クリームの浸透を助ける効果がありますのでしっかりと実施するのが吉です。
靴にアーティストパレットを塗る
ホコリと汚れを落としたら、革靴へアーティストパレットを塗ります。
今回使用する、アーティストパレットのカラーはデニムです。
指に適量の靴クリームを取ります。
そして、革靴に塗り込んでいきます。
元々、アーティストパレットは非常に伸びが良いクリームですが、それに加えてクリームが指の体温で温められているので滑りが良く、スイスイ塗れます。
豚毛ブラシでクリームをなじませる
クリームを塗り終わったら、豚毛ブラシでクリームをなじませます。
甲革とソールの間の隙間やトゥ部分の履きジワなど、指では塗り切れない細かいところの隅々までブラシによってクリームを行き渡らせます。
豚毛を使用するのは毛にコシがあり、クリームを運ぶ力が比較的強く、細部までクリームを移動させられるからです。
クロスで磨く
ブラシ掛けが終わったら、靴をクロスで磨き上げます。
指にポリッシングクロスを巻き付けて、ハンドラップでごく少量の水を含ませてクロスを湿らせます。
そのクロスで革靴を全体的に磨いていきます。
優しく、革をなでるようにクロスで磨きましょう。
アーティストパレットは油分のみで構成された靴クリームですから、この磨き工程を経ることで、その油分が革靴へ輝きや光沢を与えることになるのです。
両足とも磨いた後の様子がこちらです。
シューポリッシュを使用したような光沢は無いですが、お手入れ前よりも革全体のツヤ感が増している感じがします。
ちなみに、こちらの靴、「アシュランス」にシューポリッシュを施した様子は以下リンクに掲載しています。
山羊毛ブラシで仕上げる
クロス磨きの後は、山羊毛ブラシでさらに光沢を出していきます。
山羊毛でのブラッシングを行うことで、靴クリームがより均一に革へとなじみ、光沢感が増します。
今回使用するのはブートブラックのフィニッシングブラシ。
ブラシにハンドラップで水を付けて、靴をやさ~しく、ブラッシングします。
「こする」のではなく、ブラシで円を描くように「なでる」ことを徹底して意識します。
そうすることで、このフィニッシングブラシのクリームの均し効果が存分に発揮されます。
理由は鏡面仕上げ時と同様で、折角できた油膜を傷つけないようにするためです。
両足のブラッシングが終わった様子がこちら。
クロスで磨いた後の状態よりも光沢が増していることがおわかりでしょうか?
黒々とした印象がより強くなりました。
最後に、今回のお手入れ前後での革靴の状態を比較してみます。
上がケア前。
下がケア後です。
トゥ部分の周囲の映り込みの度合いが明らかに違っていて、アーティストパレットによる光沢の付与効果が顕著に表れています。
また、お手入れ後は革の質感がみずみずしく、生き生きとして深みのある表情になっていますね。
この仕上がりを乳化性の靴クリームで再現するのは困難でしょう。
アーティストパレットは仕上がり最高
本記事ではシューポリッシュを使わず、靴クリームであるアーティストパレットだけで靴磨きを行ってみました。
油性クリームであるアーティストパレットは、革靴に塗るだけで靴に光沢を与えることができる優れものです。
- シューポリッシュを使うと時間がかかって億劫だ
- 靴へ手軽にツヤを与えたい
そんな方へ、このアーティストパレットを強くおすすめします。
一度、上品なツヤと革の質感を目の当たりにして頂ければ、僕のこの思いもご理解していただけると思いますよ。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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