革で作られた財布は「革の丈夫さ」から、長持ちしやすいです。
長持ちしやすいからこそ、革以外の箇所がダメになってしまうことがあります。
財布の「コバ」部分もそういった箇所の一つ。
財布の縁である「コバ」はその形を表現する、いわば財布の「輪郭」。
コバがきれいでないと、財布そのものの印象も良くないものとなってしまいます。
本記事では、財布をきれいに保つための財布のコバを補色する方法をご紹介します。
サフィールの補色剤「レノベイティングカラー補色クリーム」でお手入れする様子をご説明していきますよ。
革財布の耐久性
よく耳にする財布の買い替え理由として、
- ファスナーが壊れたから
あるいは、
- ボタンが外れてしまったから
というものがあります。
一方で、
- 革がダメになったから財布を買い換える
ということはあまり聞かないと思いませんか?
それもそのはず。
革というのは材料の中でも、比較的丈夫な部類に入ります。
しなやかで柔軟性があり、破れにくく、厚みもある。
よっぽど酷使しない限りは、いつまでも愛用し続けられるのが革の特徴です。
したがって、革財布が使えなくなる原因のほとんどは、革以外の箇所の不具合によるところが多いのです。
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財布の「コバ」の劣化
そして、今回のテーマである、財布のコバ。
コバ部分もいわゆる「革以外の箇所」に分類されます。
そもそもコバとは革の端の部分。
- 革の切り口
のことです。
あえて革を切りっぱなしの状態で、製品として販売されている財布もありますが、多くの場合、コバ部分には何らかの処理が施されています。
コバを磨き上げて毛羽立ちを抑えたり、ニスや樹脂を塗って、表面を整えたりしています。
何やら劣化しそうな単語がありますね!
- コバにニスや樹脂を塗る
はい。
ニスや樹脂は当然革ではありません。
コバ周りをきれいに整えるため、革の上にニスや樹脂を塗っているのです。
つまり、ニスや樹脂が塗られた箇所は、革とは違った劣化をするということです。
ニスや樹脂は、革ほど強い材料ではありません。
使っていくうちに塗られたニスや樹脂がはがれ落ちてしまうということは十分ありえます。
ニスや樹脂はがれの問題は、結構ニッチな話題。
なぜこんなお話をするかというと、まさに僕の財布がそうなってしまったからです。
革財布のコバの樹脂が剥がれてしまった…
コバの樹脂剥がれが起きてしまった僕の財布がこちら。
ドメスティックブランドである「ブルーナボイン(BRU NA BOINNE)」のコインケースです。
パイソンレザー(ヘビ革)が使用されており、独特の雰囲気を持っている財布。
このコインケースも使っていくうちに、財布のコバに塗られていた樹脂がはがれ落ちてしまいました。
この財布の特徴として、パイソンレザーのコバ部分に樹脂が塗られており、それが革の切り口を覆い隠しています。
同時に、光沢を与えて上品さを表現しているのですが、なんとその樹脂がはがれ落ちてしまっているのです。
正に美しさが損なわれている状態です。
今回の問題点は、コバに塗られていた樹脂がはがれ、革の断面が見えていて、白っぽくなってしまっていることです。
これを解消するため、白くなっているところに色を入れて補色し、樹脂がはがれた箇所を目立たなくします。
コバを補色する方法
財布のコバを捕色するためには、以下の道具を使います。
- レノベイティングクリーム
- 筆
- プラ板
レノベイティングクリームはシューケア用品メーカーでおなじみ、「サフィール」のもの。
革の補色を行える、補色クリームです。
今回は2色使いです。
筆は色を塗るときに。
プラ板はレノベイティングクリームを乗せるパレットの役割を担ってもらいます。
これらを使って革財布のコバを塗っていきます。
補色クリームの色はオーシャンブルーを選択しました。
色の調製
まずは、補色クリームをプラ板の上にとります。
プラ板でなくても、プラスチック容器などのクリームが染み込まないものなら、なんでもOKです。
こうしてプラ板に補色クリームを出してみると、割と青みの明るさが強く、コインケースの色に合わせるには少し暗さを足したいところ。
そんな時には、絵の具のように補色クリームを混ぜ合わせましょう。
ここで使用するのが、補色クリームのブラック。
コインケースの色味を再現するために、黒色を足します。
ここは絵の具の色調整と同様、良い塩梅を考えながら、感覚で決めます。
そして、筆を使って色を混ぜ合わせます。
まぜまぜ。
良い色味になると良いのですが…。
これは結構良い感じでは!?
黒みがかった「ダークネイビー」でコインケースの色味にもバッチリ合いそうです。
色味がイメージと違った場合は、色を足しながら少しづつ色味を調整していきましょう。
黒やその他の色味と混ぜて、
- 色の微調整を行える
のもレノベイティングクリームの強みです。
カラーバリエーションの中にはこんなものも。
色を薄めるためのうすめ剤。
財布のコバに補色クリームを塗る
色の調製が終わったら、いよいよ財布の補色です。
筆を使って補色クリームをコバに塗っていきます。
樹脂がはがれて、革がむき出しとなってしまった白い箇所にクリームを塗っていきます。
補色クリームを塗った後はしばらく待ち、乾燥させます。
すると、このような状態に。
補色によってコバに色が乗り、白い箇所が無くなりました。
ただ、これで終わりではありません。
保革クリームで補色箇所を保護する
今後の補色箇所の色落ちを防ぐため、補色クリームの上から保革クリームを塗って、油による保護層を作ります。
使用するのはドイツのシューケア用品メーカーであるコロニルの1909シュプリームクリームデラックス。
この保革クリームはフッ素系樹脂を配合しているため、撥水性があり、補色個所を保護するのにうってつけ。
このプルプルのクリームを指にとり…
先ほど補色した箇所へと塗り込みます。
クロス磨きで仕上げる
クリームを塗った後は、クロスで磨き上げ。
クロスで磨いた後はこんな感じに仕上がります。
いかがでしょうか?
補色前後のコバの状態を比較する
補色のお手入れ前後で様子を比較してみます。
上が「お手入れ前」、下が「お手入れ後」です。
樹脂がはがれて革の断面が白くむき出しであったコインケースのコバ部分が、補色と保革クリームのケアによってカバーされています。
その他の箇所と変わらぬ、美しい見映えになりました。
お手入れ前はコインケースの紺色に対して、白い箇所が浮いて目立っていました。
しかし、補色することにより、全く目立たなくなっていますね。
長く愛用できる革だからこそ、お手入れでいたわってあげることが大事。
お手入れすることで愛用の品の美しさがよみがえる感覚、ホント、クセになります。
コバをきれいにして財布の美しさを保とう!
本記事は、革財布の「コバ」の樹脂はがれでむき出しとなった革の断面を補色する方法をご紹介しました。
我ながら、財布の美しさを上手く復活させられたのではないかと思います。
革製品は長く使えるからこそ、
- コバ加工の脱落・はく離
や、
- 縫製のほつれ
などが徐々に発生していきます。
それをそのままにせず、自ら補修したり、プロの修理専門店に直してもらうことで、美しい状態を保つことができます。
何より、手間をかけることで、ますます愛着が湧いてきます。
折角のお気に入りの革製品ですから、今回のようなコバの樹脂はがれだけでなく、
- 少し汚れてしまった
- 革が傷ついてしまった
といった場合でも、そのようなトラブルは案外、お手入れすれば解決するものです。
あきらめる前に一度手を加えてみるのも面白いですよ。
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
国内外からも高く評価!色で魅せるレザーブランド【yuhaku(ユハク)】
レザーアイテム選びの参考として、美しさと丈夫さを兼ね備えた末永く愛用できるレザーブランドを紹介します。
ランキング順で並べはするものの、それぞれおすすめの人が違うので自分にピッタリなレザーブランドを選んでみてください。
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