パンプスのヒールは履いていくうちに、削れやすり減りが発生していきます。
削れたヒールをそのままにしておくと、身体のバランスが崩れて歩きにくいです。
加えて、パンプスの見た目としても美しくありません。
靴の修理屋さんに持ち込むのもいいかもしれないけれど…、時間とお金がかかりますよね?
持ち込む手間、修理後の受け取りの手間もかかって面倒です。
そんなときはパンプスのヒールを自分で、
- セルフ修理
しましょう。
セルフ修理ならば、低コストかつ自宅でできるので、沢山のパンプスを補修しても費用がかさみません。
忙しい人でも自分のペースで作業できます。
やってみると意外とハードルが低いと気付く、パンプスのヒールのセルフ修理。
本記事では、パンプスの削れたヒールを自分で補修する方法を図付きで紹介します。
手順を追いながら試してみてください。
- パンプスを修理屋さんに持ち込む暇がない
- パンプスのヒール修理のコストを抑えたい
削れたヒールのパンプスを履き続けるとこんな悪影響が…
ヒールはパンプスの部位の中で一番体重がかかる箇所です。
そのため、消耗しやすく、摩耗して削れやすり減りが発生し易い箇所でもあります。
力がかかるからこそ、短い期間でヒールがすり減ってしまい、困っている方も多いのではないでしょうか?
ヒールが削れてしまうと、パンプスの見た目の美しさが損なわれてしまうのはもちろんのこと、身体への悪影響があります。
ヒールが削れていると、そのパンプスを履いた状態では身体が若干後ろに傾いている状態になります。
ヒールが削れているので、ヒールで身体を支える効果が薄れてしまうのです。
そんな状態で歩きつづけると、後ろに傾こうとする身体をまっすぐにしようと無意識のうちにバランスをとるため、身体の負担が大きくなります。
足腰にジワジワと負荷がかかっている状態が続くため、腰痛などの原因になることも…。
姿勢にも癖がついてしまい、裸足のときでも身体のバランスが崩れた状態が続いてしまうことにもなりかねません。
パンプスのヒール削れを放置しておくことで、こういったトラブルが発生してしまうのです。
ヒールをセルフ修理するメリット・デメリット
ここで1度、パンプスのヒールを自分で修理するメリットとデメリットをまとめておきます。
- 低コスト
- 靴修理屋さんへ依頼する手間が省ける
- 修理作業のための労力がかかる
- 仕上がりは自分の腕次第
各項目について、少し詳しく説明します。
セルフ修理のメリット①|低コスト
セルフ補修のメリット1つ目は、修理費用を低コストに抑えられる点が挙げられます。
僕が普段使っている、ヒールのセルフ修理のためのパテ剤「シューズドクターN」は1本数百円。
しかも、1つ購入しておけば、何足もヒール修理をすることができます。
かたや、街の靴修理屋さんにヒールの修理をお願いした場合、一足あたり1000~2000円程度の費用がかかります。
複数のパンプスを修理するならば、それだけですぐ数千円から一万円以上の費用がかかることになります。
修理したいパンプスが多ければ多いほど、セルフ修理のメリットは大きくなるというわけです。
セルフ修理のメリット②|靴修理屋さんへ依頼する手間が省ける
セルフ補修のメリット2つ目は、靴修理屋さんへ依頼する手間が省けるという点。
パンプスのヒールを修理する場合、下記のような流れが一般的です。
- 靴修理屋さんを探す
- パンプスを靴修理屋さんに持ちこむ
- 見積もりを出してもらう
- 修理依頼をする
- 修理が終わるまで待つ
- 修理が完了したパンプスを受け取る
結構手間ですよね?
自宅の近くに靴修理屋さんがあればそこまで面倒ではないかもしれません。
ですが、そうでない場合は修理屋さんに持ち込むだけでも面倒だったりします。
パンプスの修理自体が短時間で終わればまだ良いですが、修理待ちの靴が多くて時間がかかる場合は、日を改めて再度、修理屋さんに赴かなければなりません。
セルフ修理ならば、これらの手間が一切ありません。
忙しくて修理を自宅で済ませたい人や靴修理屋さんが遠方で中々出向けない人はセルフ修理がオススメです。
セルフ修理のデメリット①|修理作業のための労力がかかる
一方、ヒールのセルフ補修にはデメリットもあります。
デメリットの一つはセルフ補修を自分でやる必要があるということ。
「セルフ」なので当然ですが…。
サービス料金を払ってプロにしてもらうか、必要最低限の材料費だけで自分でするか。
修理料金と自分の時間や手間を天秤にかけて、どちらを重視するかでセルフ補修をするか・しないかを決めると良いでしょう。
セルフ修理のデメリット②|仕上がりは自分の腕次第
デメリット2つ目は、ヒールの仕上がりは自分の腕次第という点です。
特に、初めてヒールのセルフ補修をする場合は上手くいくか不安があるでしょうし、実際に失敗してしまうリスクもあります。
満足のいく仕上がりにならない可能性もあるわけです。
ただし、これはメリットにもなり得ます。
技術が上達すれば、修理の仕上がりの完成度は上がりますから、プロに依頼するよりも満足度の高い仕上がりになる場合も十分にあります。
セルフ補修の仕上がりは本人の技術次第です。
パンプスのヒールを自分で修理する方法
では、実際にパンプスのヒールをセルフ修理してみます。
今回ヒールをセルフ修理するパンプスはこちら。
コールハーン(COLE HAAN)の山羊革のスエードを使ったパンプスです。
- 履き口の甲の部分が広く開いた、ひも・留め金がない婦人靴。
- 本来は正装用だが、近年はカジュアルに履けるさまざまな素材やデザインのパンプスが作られている。
こちらのパンプスは妻の愛用品。
長い期間履き続けることで、ヒールが削れてしまっています。
ゴムソール部分が完全に削られ、その下の層まで見えてしまっている状態です。
ちなみに、こちらの形状はウェッジヒール(ウェッジソール)と呼ばれるヒールの一種。
- ヒールに高さがあり、スタイルが良く見える
- かかとからつま先にかけてのラインの角度が緩やかで、長時間履いていても疲れにくい
ウェッジヒールは、
- 高いヒールの靴を履きたいけれど、なるべく疲れない靴が良い方
- 履いていてしんどくないパンプスをお求めの方
にピッタリ。
履きやすいウェッジソールのパンプスですが、履き続けていると、かかとの削れが進んできます。
パンプスのヒールが削れてきたら、街の靴修理屋さんへ持っていく方も多いと思いますが、当然、修理費用がかかりますよね?
一足の修理費用自体はお財布に影響を与えないかもしれませんが、沢山のパンプスを履く機会のある方は、それに伴ってかかとの削れたパンプスの数も多くなります。
そうなってくると、「塵も積もれば山となる」で修理費用も中々ばかになりません。
セルフ修理ならば費用は材料費のみ。
ということで実際に作業開始です。
手順は以下の通り。
- ヒールの汚れを落とす
- ヒールにパテ剤を盛る
- パテ剤を硬化させる
- はみだしたパテ剤を切断する
- ヒールの汚れを落とす(2回目)
- ヒールの色ツヤを整える
使う道具はこちら。
- クロス(着古したTシャツなどでもOK)
- 靴クリーナー
- シューズドクター
- マスキングテープ
- カッター
- コバ(ヒール)用インク
- 靴用ワックス
今回実施するヒールの修理に最低限必要なのは、シューズドクターとマスキングテープです。
他の道具は、使うことで仕上がりを美しくすることができる道具たち。
では、次の項目から実際の作業に移ります。
パンプスを探す
ヒールの汚れを落とす
まずはヒールの汚れを落とします。
クロスにクリーナーを付けてヒールを拭きます。
靴クリーナーを持っていなければ、水拭きでも可です。
パテ剤を盛り付ける部分は特に入念に汚れを落とします。
汚れをしっかり落としておかないと、パテ剤の接着が弱くなってしまいます。
キッチリ落としましょう。
ヒールの汚れを落としたら次の工程に移ります。
ヒールにパテ剤を盛る
ここからはメインイベント。
削れたヒールにパテ剤を塗って肉盛りします。
使用するパテ剤は…
セメダインの「シューズドクターN」です。
すり減った靴底(ソール)の補修が簡単にできる靴用補修剤。
シューズドクターNは補修剤・ヘラ・サンドペーパー・ポリ板がセットになり、必要なアイテムがすべてそろっています。買い足す必要がなく、お店に修理してもらうよりも経済的です。
※セメダインウェブサイトより
パテ剤のチューブだけでなく、ヒール修復に必要なヘラやサンドペーパー、プラ板がセットになっています。
早速、シューズドクターNを使っていきますよ。
あらかじめ、ヒールに沿わせるプラ板を細くカットしておきます。
細くカットするのは、プラ板の幅が太いときれいにヒールの形に沿わないことがあるためです。
ヒールの修復したい箇所にプラ板を沿わせて、マスキングテープで固定します。
キレイに仕上げるためのコツは、削れていないヒール部分とプラ板の高さを揃えることです。
ヒールの外周だけでなく、パテ剤を付けたくない箇所にもマスキングテープを貼っておきましょう。
余計なところにパテ剤を付けないようにカバーするのが目的です。
両足ともプラ板とマスキングテープの取付けが完了しました。
続いて、シューズドクターNをヒールに盛っていきます。
パテ剤を直接ヒールに盛りつけても良いのですが、僕はガラス板に1度取り出してから使うようにしています。
盛り付ける量の調整がしやすいためです。
ガラス板はシューズドクターの色の調節をする際にもパレット代わりに使えるので、あると便利なアイテム。
シューズドクターNに付属のヘラにパテ剤を取り…
パンプスのヒールに盛りつけていきます。
ヘラを使ってパテをならしながら盛っていきます。
マスキングテープが盛り付け箇所以外にパテ剤が付いてしまうのを防いでくれているので、安心して作業できます。
両足のヒールにシューズドクターNを盛りつけることができました。
ひとまず作業の山場は越えました。
パテ剤を硬化させる
次に、盛り付けたシューズドクターNを静置して、硬化させます。
1~2日程度時間を置き、シューズドクターNが完全に固まるのを待ちます。
2日後…
2日経過した状態のヒールはこちら。
念のため、指で押してみて固まっていることを確認します。
シューズドクターNが硬化しているのが確認できたら、マスキングテープとプラ板を外します。
シューズドクターが固まっていない状態でプラ板を外してしまうと、修復箇所の形が崩れる原因となりますので、しっかり確認しましょう。
プラ板とマスキングテープを外すとこんな感じに。
うまくいきました。
ヒールの削れ具合が目立たなくなっています。
はみだしたパテ剤を切断する
いくらプラ板で形を整えても、シューズドクターNが少しはみ出てしまうことがあります。
はみ出てしまった部分はカッターで切り落としましょう。
僕が使っているカッターは「別たち」という道具。
平面のカッターは力が入りやすく、作業しやすいです。
革包丁に似ていますね。
作業時は手を切らないように十分注意しましょう。
ヒールの汚れを落とす(2回目)
ここでは、マスキングテープの粘着の残留分や修復作業中に付着した汚れをクリーナーできれいにしていきます。
クリーナーを染み込ませたクロスでヒール周辺を拭いていきます。
1回目の汚れ落としと同様に、クリーナーを持っていない方は水でもOKです。
さて、ヒール補修としてはここで終わっても良いのですが、
- ヒールの仕上がりをもっと美しくしたい
という人はもうひと手間、次の項目を読んでみてください。
ヒールの色ツヤを整える
ここからは、修復したヒールの美しさを向上させる方法を紹介します。
見た目を向上させる手法です。
- コバインキでヒールを補色
- ワックスでヒールにツヤを与える
コバインキでヒールとパテ剤の色を合わせて、その上からワックスでツヤと防水効果を与えます。
コバインキでヒールを補色
まずは、ヒールの本来の色と修復した箇所の色を合わせる作業から。
極端な話、ヒールの色と修復箇所の色が全然違う色だったら、修復した箇所が目立ってしょうがないですよね?
元々のヒールの色と修復箇所の色を合わせることで、修復箇所を目立たなくさせます。
使うのはコバインキ。
- コバやかかと用の補色液。
- 傷やこすれで色あせやすい、かかと周りに色を入れ直すことが可能。
コバインキを修復箇所を含めたヒール全体に塗っていきます。
アッパーに付かないように細心の注意を払いましょう。
ヒール補色後はこんな仕上がりに。
修復箇所とヒールの色がなじみ、違和感が抑えられました。
ワックスでヒールにツヤを与える
コバインキは水性なので、雨に濡れると流れ落ちてしまいます。
それを防ぐため、コバインキの上に油性のワックスで膜を作り、コバインキが水で流れ落ちないようにカバーします。
ワックスはツヤ出し効果もあるので、ヒールの見た目も上品で美しい仕上がりになります。
撥水作用
ツヤ出し
使うワックスはヒールと同じ色か無色を選びましょう。
ワックスを指に取り…
ヒールに塗ります。
ヒール全体にワックスを塗り終えたら、クロスで磨いていきます。
磨き用クロスもまた、持っていると便利なシューケア用品です。
キメが細かく、ワックスを磨き上げるのにピッタリ。
クロスを指に巻き付け、少量の水を付けます。
僕はいつもハンドラップを使って水を取り分けていますが、ワックスのフタに水を溜めてクロスに付ける方法もオススメです。
水を付けたクロスに更にワックスをごく少量、気持ち程度付けて…
ヒールを磨いていきます。
力を加えず、円を描くようにクルクルと磨きます。
個人の好みにもよりますが、鏡面磨きのようにギンギラギンにするもヨシ、ある程度のツヤが出てきたらそこで磨きをやめてもヨシです。
今回、僕は軽くツヤが出てきたくらいで止めておきました。
ヒールなので若干光っているくらいでOKなので。
これにてヒール修復の全作業工程が完了です。
修復したヒールの仕上がりは?
仕上りはこのように。
ヒールの接地面がシューズドクターNで埋められ、見栄えも良くなりました。
コバインキとワックス修復箇所に色とツヤを与えてあげたことで、修復箇所の色が浮いてしまうことを防げています。
では、片足ずつじっくり見てみます。
あれほど削れていたヒールが全く目立たなくなっています。
この通り、ヒールの修復は自宅でもできますので、ぜひともやってみてください。
パンプスのヒール補修前後を比較してみる
では最後に、パンプスのヒールの修復前後で状態を比較してみます。
まずはヒールが設置した状態から。
修復前はヒールが浮いているのが明らかですが、修復後はその空間が埋められ、しっかりと床に接しています。
地面を踏みしめることができるので、歩き方や立ち姿勢も改善されるでしょう。
裏返してみても…
ヒールが削れ過ぎて白い部分が露出していた箇所もカバーできています。
おまけに、コバインキとワックスを塗ったことで、ヒールの発色も良くなり、上品さも増していますね。
これだけの変化があると、ヒールの修復も楽しいものです。
パンプスも美しくなるし、セルフ修理なので経済的。
言うことなしです。
意外と簡単!パンプスのヒール補修
本記事では、パンプスのヒールを自分で修理する方法について実践を踏まえつつ、紹介しました。
リペア商品の「シューズドクターN」を使えば、自宅で手軽にヒールの修理が行えます。
ヒールが高いパンプスはただでさえ、バランスが取りづらく、身体への負荷が高い靴です。
そこへきてヒールの削れによって、ますます身体のバランスが崩れれば、さらに身体への負担が増えます。
パンプスの削れたヒールはしっかり修理して、万全の状態で履きましょう。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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