革靴の美しさをアップさせる鏡面磨き。
靴用ワックスで革靴の表面になめらかな油膜を作りあげ、革にあたかも鏡のような輝きを与える手法です。
鏡面磨きは革靴の雰囲気を一段階も二段階も高めてくれます。
また、表面の油膜が保護層の役割を果たし、その下の革そのものに傷が付きにくくなるメリットがあります。
鏡面磨きは革靴を楽しむための定番的なお手入れ方法の1種なのです。
しかし、鏡面磨きにはこんなデメリットも…。
- 鏡面に仕上げた油膜が割れると、かえって靴の美しさを損ねる
- 油膜が栄養クリームの浸透を防いでしまい、保革効果が薄れる
上記を避けたいなら、定期的に革靴のワックス層を取り除くことが必要です。
そこで登場するのがシューケア用品ブランドM.モゥブレィのワックスクリーナー。
液状の鏡面落とし用クリーナーであるワックスクリーナーは、通常の靴クリーナーと同じような感覚で使えます。
それでいて、強力なワックス除去効果がある優れものです。
本記事ではM.モゥブレィのワックスクリーナーの詳細と使い心地についてレビューします。
- ワックスクリーナーについて詳しく知りたい
- ワックスクリーナーってどうやって使うの?
- ワックスクリーナーで本当にワックスは落とせるの?
- 鏡面仕上げを落とすためのクリーナーを探している
鏡面磨きのデメリット
鏡面磨きは、革靴にワックスを乗せて磨き上げることで、まるで鏡のような美しい光沢を革に与える手法です。
ワックスに含まれているロウが革の表面に油の層を形成し、滑らかな面になることで周囲の景色を反射するほどの輝きを生み出します。
鏡面磨きは革靴をより美しく・上品な雰囲気に演出してくれるのです。
また、鏡面磨きを施した革靴は、革の上にワックスが乗っている状態なのでどこかにぶつけたり、砂利や小石が飛んできたとしても、革靴を守る保護層の役割を果たします。
それはつまり、ワックスの膜が革自体を外からの衝撃から守ってくれるということ。
鏡面磨きは見た目のよさと実用性を兼ね備えたケア方法なのです。
一方で以下のデメリットも。
- 鏡面が割れると美しさが大幅に下がる
- 鏡面層の下の革に栄養補給しづらくなる
鏡面が割れると美しさが大幅に下がる
革靴に仕上げた鏡面は、ワックスが硬く固まって滑らかな表面を形成しています。
先ほど、鏡面は外部からの衝撃から革を守ると述べましたが、革自体を守ることと引き換えに鏡面にはダメージが入ります。
ワックス層が革の身代わりになってくれるのですね。
強い衝撃がかかった鏡面層はその固さゆえに、ヒビ割れが起こってしまうことがあります。
ひとたびワックスの層が割れれば光沢が美しい鏡面が一変、革靴のスタイリッシュな雰囲気を損ねることに…。
常に美しい鏡面を保つためには、定期的にお手入れをして輝きを維持する必要があるということです。
鏡面層の下の革に栄養補給しづらくなる
また、鏡面を施すために革の上からワックスを塗り重ねているため、そのワックス層が革への栄養補給を妨げてしまいます。
革は定期的に水分や油分を与えてあげないと徐々に乾燥して柔軟性を失っていきます。
革と長く付き合っていくには、保革クリームを塗って革の乾燥を防ぐケアが必須。
革の上にワックスの層があると、保革クリームを塗ったとしてもワックスが革へのクリームの浸透を妨げ、十分な栄養補給効果が得られなくなるのです。
鏡面磨きのデメリットの対策とは?
そんな鏡面磨きのデメリット、何か対策はないかというと…。
鏡面のヒビ割れにしても、ワックスが保革クリームの浸透を邪魔するにしても、鏡面に仕上げたワックスの層を取り除けば良いのです。
鏡面のヒビ割れはワックスを落としきってから改めて鏡面を作りこめばよいですし、ワックスを完全に取り除けば革への保革成分の浸透が邪魔されません。
そこで登場するのが、M.モゥブレィのワックスクリーナーです。
ワックスの層を除去するアイテムは各シューケアブランドから販売されていますが、ワックスクリーナーは液体タイプのワックス専用クリーナーのため、使いやすく洗浄効果も抜群。
次の項目で詳しく紹介していきますね。
鏡面のワックスを落とせるワックスクリーナー
早速ですが、ワックスを除去するためのワックスクリーナーに登場してもらいます。
こちらです。
ワックスクリーナーはシューケアブランドのM.モゥブレィの製品ラインナップの1つ。
ワックス専用のクリーナーで、鏡面に仕上げたワックスを落とすことが可能です。
鏡面にヒビが入ってしまったときや、鏡面の下地の革に栄養補給したいときにワックスを落とす手段として使えます。
ワックスクリーナーは強力な洗浄作用があり、一般の靴クリーナーでは落としにくいワックスもキッチリ落とすことができます。
液状のクリーナーのためクロスに染み込みやすく、ペースト状のブートブラックのハイシャインクリーナーに比べてハンドリング性が良いです。
とても使いやすいが故に塗布量が多かったり、クロスでゴシゴシ強くこすってしまうと革の色落ちやシミができてしまう場合があります。
慎重に使いましょう。
使用上の注意や使い方はワックスクリーナー本体の裏面に詳しく記載されています。
ざっくりとした使い方は以下の通り。
- クロスに付けたワックスクリーナーで鏡面を拭く
- クロスに靴クリーナーをとり、ワックスの残りを落としきる
また、ワックスクリーナーは強力な洗浄力を持つため、使いっぱなしはNGです。
上記の作業に加えて、ワックスクリーナーを使った後は保革クリームで革の保湿をしましょう。
実践:ワックスクリーナーで鏡面に仕上げたワックスを落とす方法
- M.モゥブレィのワックスクリーナーの実力はいかほどか?
ということで、実際にワックスクリーナーを使ってワックスを落としてみます。
鏡面に仕上げたワックスの層を落とす靴はこちらの革靴。
日本のシューズブランド、
のストレートチップの革靴、アシュランスです。
こちらのアシュランスの革靴、なぜ鏡面を落とすかといいますと…。
向かって右側(左足)の靴に異変が…。
近づいて見ると…
鏡面に仕上げたワックス層がバッキバキに割れています。
角度を変えても…
見事なヒビ割れ具合。
折角の鏡面仕上げの美しさが損なわれてしまっている状態。
アシュランスに備わっている革靴自体の雰囲気も台無しです。
そこで、ワックスクリーナーで割れたワックス層を取り除いて鏡面磨きをリセットします。
一度ワックスを完全に落とした後に、改めて鏡面磨きをしようという魂胆です。
クロスに付けたワックスクリーナーで鏡面を拭く
では、鏡面に仕上げたワックスを除去していきます。
ワックスクリーナーのフタを開けるとこんな感じ。
液が出過ぎないように取り出し口が狭く作られています。
強力なクリーナーだけに、使い過ぎないための配慮された構造です。
ワックスクリーナーを汚れ落とし用のクロスに染み込ませて…
鏡面部分を拭きます。
ワックスクリーナーが徐々に鏡面のワックス層を溶かし、クロスにワックスが移っていくのが分かるはずです。
ワックスクリーナーで1、2回ほど拭き取ると鏡面のワックスが溶け、クロスに移ってきます。
1回だけだと光沢が残っていますね。
まだワックスが落ちきっていない状態です。
ワックスを落としきるまで数回、ワックスクリーナーで鏡面を拭きとる作業を繰り返します。
ある程度クロスが汚れてきたら、新しいクロスの面を使います。
再びフキフキ。
ワックスクリーナーで鏡面仕上げを落とした状態がこちら。
向かって左側がワックスクリーナー使用前。
右側がワックスクリーナー使用後です。
鏡のような光沢を持つ鏡面が、ワックスクリーナーを使うことでマットな革本来の表情に戻っていることが分かります。
バッキバキに割れていた鏡面をリセットできました。
もう片方の鏡面もワックスクリーナーでクリーニング。
ワックスクリーナーは溶剤が多く含まれているため、水よりも揮発性が高く蒸発しやすいです。
べた付きづらく、サラッとした使用感。
使いやすさに貢献するポイントです。
両足とも鏡面のワックス層を落とせました。
ワックスクリーナーは通常の靴クリーナーと同じ液体タイプのため、液状靴クリーナーと似た使用感です。
靴クリーナーを日常的に使っている方は使い慣れた感覚でワックス除去ができます。
ワックスクリーナーは気軽に使えるのが良いですね。
クロスに靴クリーナーをとりワックスの残りを落とし切る
ワックスクリーナーを使った後は、靴クリーナーで靴をきれいにします。
革の上に残ったワックスを完全に取り除くための仕上げ作業です。
ワックスクリーナーの使用方法には、
- M.モゥブレィのステインリムーバーで汚れを落とす
との表記がありますが、手持ちの靴クリーナーで十分です。
今回、僕はブートブラックの靴クリーナー、ツーフェイスプラスローションを使います。
クリーナーをクロスに付けて…
先程、ワックスクリーナーでワックスを除去した箇所を拭きます。
ワックスクリーナーで溶かしたワックスが革の上に残ることのないように、拭き残しに注意しながらクリーニングします。
仕上がりはこんな感じ。
鏡のように周りの景色を反射していた靴のつま先部分が、落ち着きのある表情に。
鏡面層のヒビ割れがなくなり、革本来の美しさを取り戻しています。
以上で鏡面のワックス落とし作業は終了です。
しかし、ワックスクリーナーは洗浄効果が強力。
革に必要な栄養まで取り除いてしまっている状態ですので、保革クリームで水分や油分を補給してあげましょう。
ワックスクリーナーを実際に使った感想は?
ワックスクリーナーは液体のクリーナーだけあって使い勝手が抜群です。
- クロスに染み込ませて拭く
何もシューケアに限らず、拭き取り作業は日常の掃除などでも頻繁にする動作なので、直感的に使用できます。
洗浄効果が高いので取りすぎには注意ですけどね。
使用感つながりで一つ気になった点は、ワックスが落ちるまでに時間差があること。
ワックスクリーナーはワックスを溶かしてから、その溶けたワックスをクロスで拭きとることで鏡面のワックス層を落としています。
「ワックスを溶かす」というワンステップが入るので、ワックスクリーナーで靴を拭いた瞬間にワックスが落ちるわけではありません。
すぐに効果がでないからと言って、ワックスクリーナーを大量にクロスに付けて拭いてしまうと、革を傷める原因になります。
ワックスが落ちるまでに10秒程度の時間差があることを分かった上で、適した使い方をすると良いと思います。
最後にワックスクリーナーの効果をあらためて確認してみます。
上が鏡面がある状態、下が鏡面を落とした状態です。
ヒビ割れたワックスの鏡面が完全に取り除かれ、革をスッピンに戻すことができました。
こんな鏡面の傷も…
ワックスクリーナーを使えば…
このように傷が解消。
ワックスクリーナーの強力な洗浄効果をあらためて感じます。
ワックスクリーナーのおかげで再度美しい鏡面を作るための土台ができました。
手軽に使えて、ワックス除去効果もバッチリなM.モゥブレィのワックスクリーナー。
ワックス専用クリーナーでしっかりワックスを落として、お気に入りの革靴をベストコンディションに保ちましょう。
手軽に鏡面を落とせるワックスクリーナー
本記事ではM.モゥブレィのワックスクリーナーの詳細と使い方について書きました。
ワックスクリーナーは靴用ワックスを落とすための専用クリーナー。
強力な洗浄効果で鏡面に仕上げたワックスの層を落とせます。
そんなとき、鏡面層を落とすのに便利。
ワックスクリーナーが活躍してくれるでしょう。
液状クリーナーはクロスにも染み込みやすく、使い勝手もよし。
手軽に鏡面落としができる使いやすいクリーナーです。
ワックスクリーナーを使った後は革の栄養補給も忘れずに。
ワックスを落とすためのクリーナーを探している人はぜひお試しを。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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