革靴をピカピカにする鏡面磨きは靴磨きの醍醐味の1つ。
靴用ワックスを使って革靴を磨くと、まるで鏡のように光沢を放つ革面ができあがるのが鏡面磨きです。
鏡面磨きに使う靴用ワックスは、各シューケア用品メーカーでさまざまな商品が販売されていますが、今回紹介するのはサフィールノワール(SAPHIR NOIR)のワックス。
その名も、
- ビーズワックスポリッシュ
です。
ビーズワックスポリッシュは柔らかいテクスチャーで使いやすく、短時間で驚くほどの光沢を革靴に与えます。
おすすめの靴用ワックスです。
本記事は、サフィールノワールのビーズワックスポリッシュの詳細と磨いた革靴の仕上がりについて書きました。
ビーズワックスポリッシュの詳細
ビーズワックスポリッシュはサフィールノワール(SAPHIR NOIR)にラインナップされている靴磨き用ワックスです。
- フランスのアベル社が手がけるレザーケア用品ブランド
- 高品質と天然成分にこだわったケア用品が多数
- 靴磨きのプロの方にも愛用者が多い
- 日本ではルボウ社が販売している
ビーズワックスポリッシュは名前の通り、ビーズワックス(ミツロウ)を含む、以下の成分で構成されています。
- ビーズワックス
- カルナバワックス
- 油脂
- 有機溶剤
カルナバワックス:カルナバ椰子の葉から採取できる樹液。 光沢付与効果が高く、とても硬い。
カルナバワックスを含んだビーズワックスベースのクリームが革に深いツヤを与えつつ、傷などから靴を守ってくれる保護層を形成。
おまけに保革効果もあります。
というのは、よく聞く話。
ワックスの層が革への栄養成分の浸透を阻害してしまうからですね。
ただ、それはあくまでもシリコンやパラフィンといった、安い原料を使ったワックスに限ります。
ビーズワックスポリッシュには高級な油脂が含まれているため、革に悪いどころか、むしろ栄養を与えてくれるのです。
大事な靴にも安心して使えるのは大きなメリットですよ。
さて…。
世界中で愛好家が多いのが特長のこちらのワックス。
ここでビーズワックスポリッシュの有名な話を1つ紹介しますね。
靴磨き世界チャンピオン決定戦において、優勝を目指して世界から集まった6人の靴磨きのプロ全員が「ある選択」をしたのですが…。
勘の良い人はもう分かりますよね?
競技で使う勝負ワックスとして、サフィールノワールのビーズワックスポリッシュを選んだ事実があります。
品質の高さを表したエピソードです。
プロからの信頼の高さをうかがい知れますね。
また、ビーズワックスポリッシュにはニュートラルやブラックの定番色だけでなく、ブラウンの色味も豊富なので手持ちの革靴の色に合わせて選ぶと良いです。
ダークブラウンやライトブラウン、マホガニーなどがラインナップしています。
上の写真はライトブラウンです。
ちなみに、「サフィールノワール」ではない「サフィール」にも「ビーズワックスポリッシュ」という、同じ商品名を冠したワックスがあります。
同じ商品名でもコンセプトが異なるので、興味のある人は以下の記事を読んでみてください。
ビーズワックスポリッシュで鏡面磨きをしてみる
ワックスの実力は、実際に使ってみないことには実感がわかないもの。
ということで、サフィールノワールのビーズワックスポリッシュを使って靴を磨いてみます。
今回磨くのはスコッチグレインのシャインオアレインⅣ。
ビーズワックスポリッシュを使って鏡面磨きすることで、この革靴がどんな表情になるのか、検証しようという試み。
鏡面磨きは特にトゥ部分がメインステージ。
かかとやサイド部分も、芯が入っている箇所は鏡面に仕上げてみようと思います。
ビーズワックスポリッシュで磨いた後にどのような状態になるのか、期待が高まります。
作業に入る前に手順の確認をしておきましょう。
- ホコリを落とす
- 汚れを落とす
- ビーズワックスポリッシュを塗る
- 水研ぎする
作業工程としては複雑ではないのですが、鏡面磨きにはコツのようなものがあり、初めての挑戦時はうまくいかなかったり…。
何回かトライしていくと、コツが分かって仕上がりが格段に良くなっていくと思います。
ホコリを落とす
ワックスで磨く前に、革靴に付着したホコリを落としておきましょう。
馬毛ブラシで「シャッ、シャッ」と、ホコリを払い落とします。
革の上にホコリが残っていると、ワックスを塗るときにホコリの上からワックスを塗り重ねることになり、仕上がりの美しさが大幅に損なわれます。
ホコリが残ることのないよう、しっかりブラッシングしましょう。
汚れを落とす
革靴に付着した汚れもまた、ワックスの乗りを悪化させる原因になります。
汚れを落とすことも、鏡面磨きの仕上がりをより良くするためには重要な工程です。
靴クリーナーで革靴に付いた汚れを取り除きます。
靴クリーナーの一種である、ブートブラックのツーフェイスローションをクロスに染み込ませて、革靴を拭きます。
これから塗るワックスの力を最大限発揮させるための汚れ落としなので、汚れ残りがないようにしましょう。
ビーズワックスポリッシュを塗る
ここでいよいよ、ワックスを革靴に塗っていきます。
今回使用するのは、ビーズワックスポリッシュのブラック。
サフィールノワールのビーズワックスポリッシュは色の種類が豊富(10種以上)なため、革靴の色に合ったワックスを選ぶことができます。
また、今回使用する道具としてもう一つ。
ブートブラックのポリッシュウォーター。
鏡面磨きは、ワックスを塗った後の水研ぎによって美しい鏡面が得られます。
通常、水研ぎは水で行うわけですが、ポリッシュウォーターは水の代わりとして使える、水研ぎ用の液体です。
水をベースにエタノールを20%添加した液体で、水よりもワックスとのなじみが良く、ワックスをより平滑に塗り広げることが可能。
ポリッシュウォーターをワックス缶のフタに少量出しておきます。
さぁ、いよいよビーズワックスポリッシュを革靴に塗っていきます。
ワックスを指に直接取ります。
比較的柔らかなテクスチャーで使いやすいのも、サフィールノワールのビーズワックスポリッシュの魅力。
そして、ワックスを革靴に塗ります。
ブローグやメダリオンといった穴飾りがある靴の場合、ワックスが穴を埋めてしまうこともあります。
それを防ぐため、まずは穴飾りを避けてワックスを塗り、指に付いているワックスの量が少なくなったタイミングで穴飾り付近に塗っていきましょう。
ちなみに、ワックスを塗るときは、円を描くようにクルクルと指を回すと、塗り残しや塗りムラが起こりにくくなるのでおすすめです。
革靴の側面にも、ソールに近い下側には芯材が入っていますのでワックスを塗ってもOK。
芯材が入っている箇所には履きジワが入らず、ワックスを塗ることで形成される鏡面層にヒビが入る心配もありません。
同じ理由で、かかとにもワックスを塗っていきます。
片方の靴にワックスを塗り終わったら、もう片方にも。
先ほどと同じように、つま先・サイド・かかとにワックスを塗ります。
もう片方の革靴にもワックスを塗り終わったら、はじめにワックスを塗った靴の方に戻って再度ワックスを塗っていきます。
ワックスの層を形成するイメージ。
ワックスを一層、二層と塗り重ねることで鏡面にしやすい土台を整えるのが目的です。
片方の靴にワックスを塗っている間に、もう一方の革靴に塗ったワックスが乾燥して、ワックスが塗り重ねやすい環境が整います。
革靴にワックスを塗り重ねるときは、必ず左右交互に。
片側二層分のワックスを塗り終わった図がこちら。
つま先がマットな質感になっていることがわかります。
かかと部分も。
かかと部のほとんどは芯材で補強されているので、ひび割れの不安もありません。
水研ぎする
ワックスを塗った後は、磨き用クロスを使って水研ぎします。
使用する磨き用クロスはこちら。
ブートブラック(Boot Black)のポリッシュクロス。
目の細かい、綿100%の生地を使用した柔らかな生地のため、靴クリームやワックスが良くなじみます。
20cm×50cmの横長サイズで、指に巻き付けて使用するのに最適です。
指に巻き付けたクロスに先ほど準備したポリッシュウォーターを少量、染み込ませます。
ポリッシュウォーターの量としては、磨いたときに靴に細かな水滴が付かないくらいが良いです。
クロスに取るポリッシュウォーター(または水)が少なすぎると、クロスが滑りにくくなりますし、逆に多すぎると革面がくもってしまい、光沢の美しさが半減した仕上がりとなってしまうためです。
この部分は経験や慣れの影響が多分にあると思います。
続いて、ポリッシュウォーターを染み込ませた後のクロスを「ポン、ポン」と叩くようにワックスに接触させます。
ワックスをほんの少しだけクロスに移す程度の感覚です。
そして、そのクロスでワックスを塗った革靴を優しく磨いていきます。
ワックスを指で塗った時と同様に、円を描くようにクロスを滑らせます。
革靴の側面も。
片方の靴をある程度磨いたら、もう片方の靴にシフトチェンジ。
左右交互に磨いていくのは水研ぎ工程も同じです。
下図のようにワックスを塗った部分がうろこ状に輝いてきたら、鏡面磨き終盤の合図。
気合を入れるも力は入れず、一心不乱にクロスをクルクルしていきましょう。
うろこ状の模様もほとんど見えなくなってきたら、最後の仕上げ。
指を振るように、一気にクロスで磨き上げます。
これにて鏡面磨きの一連の作業は終了。
ビーズワックスポリッシュ使用後の仕上がりを確認
ビーズワックスポリッシュで磨いた後の革靴の仕上りをあらためて確認してみましょう。
まずは全体図から。
上品なツヤは見ていて気持ちが良いものです。
かかとも控えめな光沢が与えられ、足元のエレガントさがより高まりました。
ビーズワックスポリッシュで磨く前と後でも比較してみましょう。
ビフォー・アフターで違いは歴然としています。
これほどの違いとなると、まるで違う靴のような印象を受けますね。
キリっとした凛々しい表情…。
サイド部分やかかとも、光沢を持たせることで革靴の雰囲気がグッと引き締まりました。
最後にもうワンショット。
しつこいですか?
ビーズワックスポリッシュを使った時の深みのある光沢、好きなんですよねぇ…。
ビーズワックスポリッシュの力をもっとお伝えすべく、もう一足磨いてみます。
ライトブラウンのビーズワックスポリッシュを塗ります。
クロスで磨くと…
ツヤツヤに仕上がりました。
何度やっても良いです。
鏡面磨きは。
ビーズワックスポリッシュは鏡面に仕上がりやすく、靴磨きの楽しさを実感しやすいアイテム。
鏡面磨きが上手くいくと、やはり気持ちが良いですからね。
ビーズワックスポリッシュで鏡面磨きを楽しもう
本記事では、革靴をサフィールノワールのビーズワックスポリッシュで磨く方法と、その仕上がりを紹介しました。
靴用ワックスは、革靴をまるで鏡のような均一な表面に仕上げることができます。
サフィールノワールのビーズワックスポリッシュは、ビーズワックスをベースとしたカルナバワックス配合の靴用ポリッシュ。
美しさと丈夫さを兼ねそろえた保護層を革の上に形成し、革靴の上品さを高めると同時に、傷などから革を守ってくれます。
靴磨きの楽しさを改めて感じさせてくれる鏡面磨き。
ビーズワックスポリッシュを使って楽しんでみてはいかがでしょうか?
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
靴磨きを始めたい。けれど道具をそろえるのが面倒…。
そこでおすすめしたいのが靴磨きセット。1セット買うだけで必要な道具がまるっと揃います。道具選びの手間が不要。今すぐ靴磨き可能に。
大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。