ステップごとに靴磨き方法を解説する第6弾です。
革靴にまるで鏡のような面を作り上げる鏡面仕上げ。
- ハイシャイン仕上げ
とも呼ばれる、革靴を美しく演出するための極上の仕上げ方法です。
この記事では靴磨き手順のうちの「STEP6|革靴をハイシャイン仕上げにする」ことのメリットと方法について解説します。
ハイシャイン仕上げは、革靴をケアする上で必ずしも必要な作業ではありません。
革靴をより美しくエレガントにするための手法。
革靴のコンディションを保つための、ホコリ落としや靴クリームの塗布とはまた異なる、趣味性の強い仕上げです。
だからこそ面白く、靴磨きの楽しさを高めてくれるプロセス。
革靴に強い輝きを与え、優雅な印象に変えてくれるハイシャイン仕上げ。
本記事では革靴をハイシャインにするメリットとその方法について解説します。
- ハイシャイン仕上げをやってみたい
- ハイシャイン仕上げのメリットは?
- 革靴を鏡面に仕上げるために使う道具が知りたい
- STEP1:革靴にシューキーパーを入れる
- STEP2:革靴のホコリを落とす
- STEP3:革靴の汚れを落とす
- STEP4:革靴に靴クリームを塗る
- STEP5:革靴を磨き上げる
- STEP6:革靴をハイシャインに仕上げる
靴磨き手順中のSTEP6「革靴をハイシャインに仕上げる」工程を解説します。
革靴をハイシャイン仕上げにするメリット
革靴をハイシャインに仕上げるメリットは、何よりもまず、見た目が華やかになるという点です。
革靴にあたかも鏡のような光沢が与えられるハイシャイン仕上げは、革靴をエレガントな雰囲気に昇華できます。
ハイシャイン仕上げを施した革靴は足元を煌びやかに演出し、上品でアダルトな印象を高めてくれるのです。
革本来の質感を楽しむのも良いですが、ハイシャインに仕上げた革靴はまたベクトルの異なる魅力を放ちます。
その靴の隠れたポテンシャルを引き出すような、新たな気付きをもたらしてくれます。
また、ハイシャイン仕上げには機能的な側面も。
ハイシャインはシューワックスを塗り重ねて作られたワックスの層です。
革の表面にワックスの層がコーティングされた状態がハイシャイン仕上げの正体というわけ。
つまり、ワックスの層が外からの刺激から革を保護する役目を果たします。
仮にハイシャイン部分に傷が付いたとしても、それはあくまでワックス層に傷が付いているだけで、革自体に傷が入っているわけではありません。
ワックス層が革の身代わりになってくれるのです。
ハイシャイン仕上げを施せば、よほど強い刺激が加わらない限り革自体が守られます。
一方で、ハイシャイン仕上げにはデメリットも…。
というのも、ハイシャインのワックス層が以下の悪さをするから。
上記があげられます。
そのため、ハイシャイン仕上げを施した靴は、定期的にワックスを落として通気性を確保したり、保革することが大事。
ハイシャインの美しさを楽しむためには日頃のケアが重要なのです。
革靴をハイシャイン仕上げにするために使う道具
革靴をハイシャイン仕上げにするためには3つの道具を使います。
- 靴用ワックス(シューポリッシュ)
- 磨きクロス
- ハンドラップ(ワックスのフタでも代用可)
いずれも美しいハイシャイン面を得るために重要な道具です。
靴用ワックス
靴用ワックスはハイシャイン仕上げに必須のアイテム。
シューケア用品メーカーごとにいくつか種類があります。
こちらはサフィールノワール(SAPHIR NOIR)のビーズワックスポリッシュ。
フタを開けると、固形状のワックスが。
ハイシャインの鏡のような美しい面は、表面が滑らかになり光が反射しやすくなることで生まれます。
シューワックスに含まれているロウ分が革表面を滑らかにし、エレガントの光沢が表れるのです。
革はもともと表面に凹凸があり、以下のように光が乱反射するのであまりツヤが出ません。
ですが、ワックスを塗ることで革表面の凹凸が埋まり、表面が滑らかになります。
それによって光が一方向に反射しやすくなり、鏡のような強いツヤが表れます。
靴用ワックスは革表面にコーティング層を作ることで、美しい輝きを生み出しているのです。
磨きクロス
磨きクロスもまた、ハイシャイン仕上げのためには欠かせないアイテムです。
ワックスを革表面に塗っただけではハイシャイン仕上げにはなりません。
塗ったワックスを滑らかに・均一にするため、磨いてならす必要があります。
その際に使うのが磨きクロス。
磨きクロスにはきめ細かい生地が適しています。
きめが細かいクロスはワックスを均一にならす効果が高く、ハイシャインの仕上がりが良いです。
つまり、
- ツヤが増す
ということです。
ハンドラップ
ワックスを均一にならすためにクロスで磨くわけですが、そのままだと摩擦があり、クロスが滑りにくいです。
摩擦抵抗が高いままクロスで磨いても、滑らかにするどころか、せっかく塗ったワックスをこそぎ落としてしまうことになりかねません。
クロスに少量の水を含ませればワックスとクロスの間の摩擦を軽減し、クロスの滑りを良くすることが可能です。
水をクロスに含ませるときに登場するのがハンドラップ。
ハンドラップはノズル先端を押し込むと、少量の水を取り出せる優れもの。
ノズルを押し込む加減で水量が調節できます。
クロスに水を含ませるため、あると便利なのがハンドラップです。
ハンドラップを持っていない人はワックスのフタに水を入れて、そこにクロスをつけて水を含ませてもOK。
道具を工夫して使うのも靴磨きの楽しみの1つです。
靴磨き手順ステップ6|革靴をハイシャイン仕上げにする方法
では、先ほど紹介した道具たちを使って革靴のハイシャイン仕上げをやっていきます。
今回磨くのはリーガルのストレートチップ。
色は淡いブラウンなので、ニュートラル(無色)のワックスを使って革本来の色を活かした仕上がりにしてみます。
ワックスを塗る
まずはワックスを指に取り…
ハイシャイン仕上げを施したい箇所にワックスを塗っていきます。
今回はトゥ部分を光らせたいので、つま先に満遍なくワックスをヌリヌリ。
ハイシャインにするためには下地が大事なので、ワックスを厚塗りします。
片足の靴を塗った後は、もう片方の靴にもワックスを塗布。
しっかりと光沢を与えるため、ワックスのベースづくりは入念に。
ワックスを塗った直後はマットな状態になります。
ツヤを確実に出したい場合は、二重・三重にワックスを塗り重ね、ワックスの土台を積み上げましょう。
ワックスを塗り重ねた後は、時間を置きます。
5分~10分程度ワックスを乾燥させることで、革靴にワックスを定着させる効果があります。
強いツヤを出すためには、ワックスをしっかり乾燥させることがとても重要です。
ここから磨き上げることで徐々に光沢が出始めます。
クロスで磨く
ということで、磨き工程に移りますね。
クロスを指に巻き付けて…
ハンドラップで少量の水をクロスに含ませます。
クロスが湿るくらいの水を付けましょう。
次に、水を付けたクロスでワックスをポンポンと叩き、極々少量のワックスをクロスに付けます。
気持ち程度のワックスを取る、そんなイメージです。
そして、先ほどワックスを塗った面をクロスで磨きます。
力はまったくいりません。
革の上をクロスで滑らせながら磨き続けましょう。
ある程度磨いたら、もう片方の靴を磨き、交互に磨いていきます。
片足を磨いたら、もう片方を磨き…。
ひたすら交互に磨き続けていくと、徐々に光沢が表れ始めます。
ウロコ模様が出始めたら、ハイシャインまであと少し。
ひたすら無心で磨き続けます。
磨き続けていくとウロコ模様が消え、強いツヤを放つようになります。
ハイシャインの仕上がり確認
完成形がこちら。
革靴にハイシャイン仕上げを施せました。
ワックスを使ったハイシャイン仕上げ前後で、革靴の状態を確認してみます。
上がハイシャイン前、下がハイシャイン後。
革靴の雰囲気が大きく変わっていることがわかります。
ハイシャイン仕上げを施すことで革に強い光沢が与えられ、エレガントな印象が増しています。
革靴を美しく・華やかにしたいときはハイシャイン仕上げを施すと、また違った雰囲気を楽しめますよ。
おすすめの鏡面仕上げアイテム
さて、この項目では鏡面仕上げを楽しむために必要な道具の選び方とおすすめアイテムを紹介します。
ハンドラップに関しては、STEP5|革靴を磨き上げる工程の記事で説明しましたので、この記事では割愛。
ということで、ここではワックスと磨きクロスについて書いていきますね。
おすすめのワックス
ワックスを選ぶ上で大事なのは以下のポイントです。
- 光りやすい
- 保革成分を含む
革靴を光らせるために使うワックス。
大事なのは光りやすいことです。
そのためには、配合成分をきっちりチェックしましょう。
モンタンワックスなどの鉱物系のワックスは光りやすいですが、硬めで若干使いにくさを感じるかも。
一方、カルナバワックスなどの植物性ワックスはなめらかな使用感。
伸びが良いですが、光りやすさは鉱物系には一歩及ばず。
複数のワックスをバランスよく含んだ靴用ワックスもあります。
また、輝きを与えるだけでなく、栄養を与える効果が高い靴用ワックスも。
サフィールノワールのビーズワックスポリッシュは光りやすく使いやすく。
革への栄養補給効果も高い、間違いなしのアイテムです。
輝き付与に特化したミラーグロスなんて商品もありますので、チェックしてみて下さい。
おすすめの磨きクロス
磨きクロスを選ぶときに意識したいのが以下の項目です。
- キメが細かい
- 横に長い長方形
鏡面仕上げ用のクロスにはキメの細かい生地がおすすめ。
きめ細かい生地ならば、ワックスが生地に浸み込みにくいです。
ワックスを革靴にしっかり乗せられます。
なめらかなワックスの層を作るのにも貢献しますよ。
加えて、鏡面に仕上げるときにはクロスを指に巻き付けて固定するのが重要。
指に縛って安定化できるように、横に長い鏡面仕上げ用の磨きクロスを使いましょう。
ブートブラックのポリッシュクロスは、なめらかで適度な長さ。
鏡面磨き用の上質な磨きクロスです。
ハイシャイン仕上げで革靴の魅力が限界突破
本記事では、靴磨き手順のSTEP6「革靴をハイシャイン仕上げにする」ことのメリットと方法について紹介しました。
ハイシャイン仕上げは革靴をより美しく演出する魅惑の手法。
ワックスが均一なコーティング層を形成し、革靴に鏡のような輝きをもたらします。
靴磨きの〆の工程として、革靴にエレガントな印象を与えてみてはいかがでしょうか?
普段とはまた異なる革靴の表情が垣間見え、惚れ直すこと請け合いです。
はじめのうちは、
- 上手くハイシャインに仕上がらない…
なんてこともあるかもしれません。
しかし、回数を重ねるごとにだんだんと早く・確実にハイシャインが施せるようになり、技術の向上を感じることができるのもハイシャイン仕上げの魅力。
靴磨きの醍醐味ともいえるハイシャイン仕上げを楽しんでみてください。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。