ステップごとに靴磨き方法を解説する第4弾。
革靴の革の風合いやみずみずしい質感を維持するために必要なのは適度な水分や油分です。
放っておくと革からだんだんと抜けていってしまう潤いや栄養ですが、靴クリームを塗ることで補給できます。
この記事では靴磨き手順のうち、「STEP4|革靴を靴クリームで保革する」必要性と方法について書いています。
靴磨きのメインイベントとでもいうべき、靴クリームを革靴に塗る工程。
靴クリームは革靴のケアに適した栄養成分が配合されているため、定期的に塗ることで革の乾燥を防げます。
ということで、本記事では靴クリームで革靴の栄養補給をしていきます。
効果を理解すれば靴磨きがもっと楽しくなりますよ。
- 革靴に栄養補給する方法を知りたい
- 革に水分や油分を与えるためにはどんな道具を使うの?
- 靴クリームを使う意味とは?
- STEP1:革靴にシューキーパーを入れる
- STEP2:革靴のホコリを落とす
- STEP3:革靴の汚れを落とす
- STEP4:革靴に靴クリームを塗る
- STEP5:革靴を磨き上げる
- STEP6:革靴をハイシャインに仕上げる
靴磨き手順中のSTEP4「革靴に靴クリームを塗る」工程を解説します。
革靴を靴クリームで保革する目的
靴磨きに欠かせない靴クリームを塗るという行為。
なぜ必要なのかというと、以下の理由があるから。
- 革に潤いと栄養を与える
革にはもともと水分や油分が含まれています。
適度な水分・油分が含まれていることで革にしなやかさが生まれ、丈夫に。
また、独特の革の風合いが表れているのです。
しかし、革中の水分や油分は時間が経つにつれてだんだんと失われていきます。
革にホコリが付いて潤いを奪うということは靴磨き手順の「STEP2|革靴のホコリ落とし」の記事でも述べました。
ただ、いくらホコリが付かないように気にかけていたとしても、時間による乾燥は避けられません。
ホコリ落としはあくまで加速度的に革が乾燥しないようにするための措置です。
失われた潤いや栄養は改めて補給してあげないといけませんよね?
そのために、革靴に靴クリームを塗るのです。
靴クリームには、革に必要な水分や油分がふんだんに含まれています。
靴クリームを革靴に塗ればクリームが革に浸透して革内部に潤いや栄養を補給することが可能に。
潤いが戻った革はしなやかさが増し、耐久性が向上します。
革の乾燥によるひび割れも防止でき、また、革にツヤが出て風合いが増します。
過度な塗りすぎは革にとって悪影響を及ぼしますが、靴クリームを適量活用すれば革靴を良いコンディションに保てるのです。
革靴に栄養補給するために使う道具3種
革靴に栄養補給するために使う道具は3種あります。
- 靴クリーム
- 塗布用小型ブラシ
- 豚毛ブラシ
それぞれ詳しく見ていきます。
靴クリーム
革靴に栄養補給するために使うのは先ほどから名称が登場している、靴クリームです。
靴クリームには革へ栄養を与えるための成分が配合されています。
各シューケア用品ブランドが、それぞれ思い思いのこだわりを詰め込んだ靴クリームを展開しています。
- 栄養補給効果抜群の靴クリーム
- ツヤ出し効果に特化したクリーム
- 適度な粘度で扱いやすいクリーム
など。
数多くの靴クリームの中から自分好みの靴クリームを選べるのも靴磨きの楽しみの1つです。
靴クリームの一例をあげますと…。
こちら、サフィールノワール(SAPHIR NOIR)のクレム1925。
靴磨き愛好家の中でも使用率が高い、信頼と実績の靴クリームです。
シアバターが配合されており、革への栄養補給効果が高く、ツヤ出し効果も抜群。
ニュートラル(無色)の靴クリームは、持っておくと何色の革靴にも使えるので便利。
一方で、有色の靴クリームは革への補色が可能なため、色あせが気になる革靴のお手入れに向いています。
用途に応じて靴クリームの使い分けをするとシューケアが捗りますよ。
塗布用小型ブラシ
靴クリームの他にも、持っていると便利なのが靴クリームを塗るための小型ブラシ。
指で靴クリームを塗ると手が汚れたり、細かい箇所までクリームを行き渡らせるのが難しかったりと、なにかと不都合が…。
小型ブラシがあれば、手が汚れることを防げます。
また、細やかな毛が革靴の細かな隙間にまで入り込み革靴に満遍なく靴クリームを塗れます。
こちらは靴クリーム塗布用の小型ブラシの1種。
ペネトレィトブラシです。
持ち手部分が持ちやすい形状になっているので靴クリームを塗りやすいです。
先端のブラシ毛にクリームを付けて使用するため、手に直接靴クリームが付くことなく、快適なシューケアができる便利グッズです。
ペネトレィトブラシ以外にも、各シューケア用品メーカー・ブランドが様々なタイプの小型ブラシを展開していますのでチェックしてみてください。
豚毛ブラシ
靴クリームを塗った後には、革にクリームをなじませることも大事。
一度塗った靴クリームを革靴全体に行き届かせ、革になじませるためにブラッシングします。
ブラッシングに使用するのが豚毛ブラシです。
毛が硬く反発力が強い豚毛ブラシは靴クリームを運ぶ力が高く、クリームを満遍なく革になじませるのに最適。
豚毛ブラシは靴クリームが革へ浸透する手助けをしてくれるアイテムです。
豚毛ブラシは色移りを防ぐため、靴クリームの色の数だけ用意することをオススメします。
複数本買うのがためらわれる高価な豚毛ブラシの場合、仕上げのみに使うのもアリですね。
靴磨き手順ステップ4|革靴に栄養補給する方法
ここからは、先ほど紹介したアイテムたちを使って、革靴に栄養補給する方法を実践していきます。
まずはクリーム塗布用の小型ブラシに靴クリームを付けましょう。
革靴に塗る靴クリームは少量で十分。
片足分はこのくらいの少量でOKです。
靴クリームの塗りすぎには要注意。クリームを過剰に与えると革の通気性を損い、かえって革の劣化を招きます。適量を使いましょう。
革靴のアッパー(甲革)に靴クリームを塗っていきます。
アッパー全体に靴クリームを塗り込んでいきます。
履きジワの箇所はダメージを受けやすいので念入りに。
ブラシを使うと手が汚れずにストレスフリーで作業できます。
また、小型ブラシを使うと靴ひもと羽根の間の隙間にも満遍なくクリーム塗布が可能に。
靴クリームを革靴全体に塗り終えたら、豚毛ブラシでクリームをなじませます。
ブラッシングは大きくストロークを取り、靴クリームを隅々まで行き渡らせると共に、革に浸透させるイメージを持つと良いです。
履きジワ部分は小型ブラシ使用時と同様に、クリームをすり込むことを意識してブラッシング。
豚毛ブラシでブラッシングした後は靴クリームが均一にならされ、革靴にツヤが生まれます。
以上、靴クリームを塗って革靴に栄養補給する工程でした。
革靴に潤いと光沢を与えられる靴クリームは偉大です。
おすすめの栄養補給アイテム
ここからは革靴へ栄養補給するための道具について、選び方とおすすめアイテムを紹介します。
道具選びの参考にどうぞ。
おすすめの靴クリーム
靴クリームを選ぶ上で大事なのは以下のポイント。
- 上質な保革成分を含む
- (有色の場合)着色性が良い
靴クリームを選ぶときには配合成分に着目しましょう。
革に水分を補給するクリームや、ツヤを与えるのに特化したクリームなど。
種類は多様。
クレム1925は強い光沢を与えつつ、革へ栄養をしっかり与えられる万能クリームです。
また、靴クリームはカラー展開が豊富。
革靴の色抜けが気になったら、色付きの靴クリームを使いましょう。
有色クリームの場合、着色性は見ておきたいポイントです。
顔料は革の上に乗るだけですが、染料が含まれた靴クリームなら革の中に浸み込んでキッチリ色を付けられます。
裏を返せば、
- 革に色を付けて遊びたい
- クリーナーで落とせる程度の色付けにしたい
なんて人は、顔料配合の靴クリームがおすすめ。
例えば、アーティストパレットは顔料で色を付けるタイプの靴クリームです。
おすすめの小型ブラシ
小型ブラシを選ぶのに意識したい点は以下のポイント。
- 指にフィットする構造
- 小回りの利く小ささ
指にフィットする構造は使いやすさに直結します。
指に沿うように丸みを帯びた形やくぼみが設けられた形なら思いのままに使えるのです。
ほど良いフィット感が得られ、直感的に使えますからね。
小回りの利く小ささも大事です。
革靴の細かな箇所にまで入り込みやすく、塗り残しを防げます。
先ほど紹介したペネトレィトブラシは小型ブラシの王道です。
おすすめの豚毛ブラシ
豚毛ブラシを選ぶときにチェックしておきたい項目はというと…。
- 硬めの毛先
- 持ちやすい形状
硬めの毛先の豚毛なら靴クリームを満遍なく塗り広げられます。
小型ブラシで塗り伸ばしたクリームをさらに硬めの毛でより均一にするのです。
ジャーマンブラシ5はリーズナブルな値段で確かな品質の豚毛ブラシ。
複数本買っても懐が寂しくなりにくい高コスパのブラシです。
繊細な革のアニリンカーフやコードバンに関しては、柔らかな毛先の馬毛ブラシで優しくクリームを塗り広げましょう。
保革で革靴のコンディションを良好に
本記事では、靴磨き手順のSTEP4「革靴を靴クリームで保革する」必要性と方法についてご紹介しました。
革は徐々に乾燥し、内部に含まれている水分や油分が失われていきます。
乾燥した革はしなやかさが失われ硬くなり、革のシワやひび割れの原因に…。
靴クリームで潤いと栄養を補給してあげれば、革の風合いをいつまでも保てるため、丈夫で美しい革靴を楽しむことが可能になります。
革の乾燥防止とツヤ出し効果がある靴クリームを使いこなし、革靴のコンディションを整えてあげましょう。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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