そんな人はこの記事をチェック。
アンティーク仕上げとは、革靴のエイジングであらわれる色の濃淡を疑似的に再現する手法。
ブラウンなどの比較的淡い色の革靴に濃い色の靴クリームやワックスを塗り、同じ革靴の中にカラーグラデーションを生み出す、靴磨き中級者から上級者に愛される方法です。
アンティーク仕上げを施した革靴は重厚感のある革の深みが加わり、ドレッシーでシックな空気感を纏います。
いつもの革靴が洗練された印象に。
履き慣れた革靴でも新鮮な気持ちで楽しめますよ。
そこで浮かぶ1つの疑問。
ということで、本記事ではアンティーク仕上げの方法を実践解説します。
アンティーク仕上げ後の革靴も写真で紹介しますので、合わせてご覧ください。
- 革靴をよりドレッシーにしたい
- いつもの革靴がマンネリ気味…
- アンティーク仕上げの方法が知りたい
革靴の経年変化で色の濃淡が生まれることがある
革靴は履き込むうちに経年変化し、革の表情が豊かに、そして、重厚さが感じられるようになっていきます。
それこそが革の醍醐味。
ときには、同じ1枚の革でも部位によって色の濃淡が表れることも。
アンティーク調の様相を呈します。
革靴の場合もアンティーク調の経年変化を遂げることがあり、圧倒的なエレガントさを感じるとともに世界に1つだけの相棒だということを強く認識させてくれます。
ただ、アンティーク調の経年変化を遂げるかは使用状況や革の質に左右され、全ての革にカラーグラデーションが生じるわけではありません。
いわば時の運。
とはいえ、アンティーク調の重厚な雰囲気は味わいたいですよね?
そこで取り入れたいのが革靴のアンティーク仕上げです。
革靴の印象を変えるアンティーク仕上げ
アンティーク仕上げは、革靴が経年変化することであらわれる革のカラーグラデーションを表現するお手入れ手法の1つです。
エイジングの革の風合いを人工的に作ってしまおうという仕上げ方法。
- 焦がし
なんていわれることもあります。
アンティーク仕上げを施した革靴は革の色合いに深みが生まれ、重厚な雰囲気を纏えます。
いつもの革靴の表情が一変するのです。
具体的な方法としては、靴クリームやシューポリッシュを革に塗ることで色の変化を与えます。
革を簡易的に染めたり、色を乗せたりするのです。
アンティーク仕上げは革にクリームやワックスの色を乗せるだけなので、落とすのがラク。
靴クリーナーで拭いて色を落とせば、アンティーク仕上げ以前の革靴の色味へ戻せます。
ラフに革靴の雰囲気を変えて楽しめる手法。
アンティーク仕上げは革靴愛好家の人たちから高い人気を誇り、嗜んでいる人も多いです。
アンティーク仕上げが可能な革靴の条件
革靴をよりエレガントな雰囲気へと昇華するアンティーク仕上げですが、すべての革靴に適用できるかといわれれば決してそうではありません。
アンティーク仕上げができる革靴には条件があります。
アンティーク仕上げ可能な革靴の条件とは、
- 比較的淡い色の靴
であること。
先ほど述べた通り、アンティーク仕上げは色の濃淡をつける仕上げ方法です。
つまり、色の濃淡を表現できない靴には適用できません。
具体的には、ブラック。
また、ダークネイビーなど、限りなく黒に近い色味の場合もアンティーク仕上げには適しません。
- 淡い色味の革靴
に対して、
- 濃い色のクリームやワックス
で仕上げることでカラーグラデーションは生まれます。
濃い色味の革靴に淡い色のクリーム・ワックスを使っても色の濃淡は表れません。元々の革靴の色が勝ってしまうからです。
ブラウンの革靴はアンティーク仕上げを施す格好のターゲットというわけです。
アンティーク仕上げの方法を解説
これまでにアンティーク仕上げとは何かをご説明してきましたが…。
肝心なのは、
ということ。
この項目では、アンティーク仕上げのやり方を実際の作業風景と一緒に解説していきます。
アンティーク仕上げ前後の革靴の様子を写真で紹介しますので、ぜひご覧ください。
アンティーク仕上げにするのはこちらの革靴。
淡い茶色のレザーシューズでアンティーク仕上げにピッタリ。
つま先に濃い茶色を入れて、トゥからヴァンプ方向に向かって色を薄くしていくカラーグラデーションを作ります。
作業手順は以下の通り。
- ワックスを塗る
- 磨き上げる
- 色の濃淡を散らす
作業時のポイントを下記にまとめます。
- 革靴の色よりも濃い色のワックスを使う
- トゥ(つま先)の先端からワックスを塗っていき、足首側にいくにつれ薄くしていく
アンティーク仕上げに使う道具
作業の前にアンティーク仕上げに使う道具について説明しますね。
アンティーク仕上げで使う道具は以下のアイテム。
- ワックス
- 磨きクロス
- ハンドラップ
- 山羊毛ブラシ
今回アンティーク仕上げにするのはライトブラウンのシューズなので、使うワックスはダークブラウン。
靴よりも暗い色を使います。
使うのはKIWI(キィウイ)のパレードグロス。
ダークブラウンカラーでアンティーク調に仕上げます。
- 1906年に誕生したシューケア製品のトップブランド
- 世界170カ国以上の国々で愛用されている
各種ワックス成分をKIWI独自のブレンドで配合したパレードグロスは、
- 美しいツヤ
- 持続性の高い輝き
が生み出せるのが特徴です。
- 植物系
- 鉱物系
上記それぞれのワックスを組み合わせ、革靴を光らせるのに適した組成に仕上がったワックスです。
さらに、美しいツヤを作り出すためにハイシャインプライマーを使うことに。
ワックスのみで磨いたときよりも、速く強いツヤが作れるのでおすすめです。
また、クロスで磨いたあとに山羊毛ブラシでブラッシングすると、ワックスの濃淡が散り、カラーグラデーションが自然になります。
アンティーク仕上げの完成度を高めたい人は、山羊毛ブラシで仕上げてみてください。
では、次の項目から作業開始です。
アンティーク仕上げのやり方ステップ1|ワックスを乗せる
まずは革靴にワックスを塗ります。
と、その前に。
ワックスのツヤを高めるためハイシャインプライマーで光沢の土台を作ります。
アンティーク仕上げをしたい部分に満遍なく塗っていきます。
ハイシャインプライマーを使わなくてもアンティーク仕上げはできますが、使うとより速くアンティーク仕上げが完了するのでおすすめです。
ハイシャインプライマーを塗ったあとは、ワックスの出番。
ダークブラウンのワックスを塗っていきましょう。
まずはつま先の先端にワックスを塗り、そのまま足首側へと塗り伸ばします。
先端が最も濃く、足首側に行くにしたがってワックスが薄くなることを意識しながら塗り伸ばしましょう。
色の濃淡が出るようにワックスを塗り重ねていきます。
つま先に塗った後は、好みに応じてかかと部分に塗ってもOK。
つま先ほどきっちり塗らずに、ワックスを軽く乗せる程度で自然なツヤを出すことにします。
この段階のカラーグラデーションがアンティーク仕上げの完成度に直結しますから、色の調節はきっちりしておきましょう。
片方の靴にワックスを塗り終えた状態がこちら。
つま先が濃く、そこから徐々に淡い色調へと調節できました。
もう片方の靴にも同じく、ワックスで色の濃淡を作っていきます。
両足にワックスで濃淡を作ったら数分間乾燥させたのち、次の工程に移ります。
アンティーク仕上げのやり方ステップ2|磨き上げる
ワックスを塗ったあとは磨き上げる工程です。
磨きクロスで磨いて美しい光沢を出していきます。
磨きクロスにハンドラップで少量の水を付けて…
ワックスを少しだけクロスに付けます。
このくらいのわずかな量。
そして、なでるように磨きます。
クルクルと円を描くように。
片方の靴をある程度磨いたら、もう片方の靴を。
交互に革靴を磨いていきましょう。
磨き前はマットな質感だった部分がツヤを持ったカラーグラデーションへと変貌していきます。
色の濃淡を保ったまま、奥行きのある輝きが出てきますよ。
かかとにワックスを塗った場合はかかとも忘れずに。
磨き後はこんな感じ。
上品なツヤが出ました。
この時点で作業終了としても良いのですが…。
もうひと手間加えると仕上がりの美しさがワンランクアップします。
そのひと手間とは、
- 色の濃淡を散らす
ことです。
アンティーク仕上げのやり方ステップ3|色の濃淡を散らす
この工程では、アンティーク仕上げの完成度をより高めるための作業をします。
ワックスで作ったカラーグラデーションを散らし、より自然な色合いへとなじませるのが目的です。
使うのは山羊毛ブラシ。
アンティーク仕上げを施した箇所を山羊毛ブラシでブラッシングし、ワックスの色の変わり目を分かりにくくして、アンティーク調の仕上がりをエイジングの自然さに近づけます。
操作としては、まずは山羊毛ブラシにハンドラップで少量の水を付けます。
水でワックスを均しやすくするためです。
そして、優しくブラッシング。
磨き上げと同じように、優しく繊細なタッチでブラッシングしましょう。
色の濃淡がはっきりしている部分を重点的にブラッシングして、カラーグラデーションを美しく仕上げるイメージ。
ワックスで与えたツヤに深みが出てきます。
両足ともブラッシングしたら、これにて作業終了。
仕上がりはこんな感じ。
つま先の先端から足首側にいくにつれ、色の濃淡が表現できています。
先端が最も濃く、ダークブラウンの色が乗り、そこから徐々にライトブラウンに。
近くで見たときの色ムラもまた、エイジング独特のムラ感を程よく再現。
かかとは控えめに。
いつもの履き慣れた革靴の雰囲気が一変。
新鮮な仕上がりになりました。
アンティーク仕上げ前後の革靴を比較
仕上がり後の革靴をお見せしただけではアンティーク仕上げの効果が分かりにくいかもしれません。
ということで、アンティーク仕上げ前後の革靴の状態を並べて比較してみます。
作業前はライトブラウンの革靴。
仕上げた後には、ダークブラウンの色味が美しいグラデーションを形成。
エレガントで重厚な雰囲気になりました。
室内の写真だけだとグラデーションがきつく感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、意外と程良いのです。
外に出れば結構なじんでいるのが分かるかと。
自然光だとエレガントさがより感じられます。
ブラウンの濃淡が美しいです。
この仕上がりを目の当たりにすると、革靴への愛着が増します。
アンティーク仕上げは一見、技術的なハードルが高そうで敬遠しがちな磨き手法ですが、やってみると思いのほか簡単。
鏡面磨きができる人は、とりわけ苦労することなくアンティーク調にできるはず。
そして、仕上がりの満足度が高いです。
アンティーク仕上げで革靴をもっとエレガントに
本記事では革靴にアンティーク仕上げを施す方法について実践解説しました。
革靴にカラーグラデーションを作り、あたかもエイジングしたような重厚な空気感を付与するアンティーク仕上げ。
アンティーク仕上げを施した革靴はより一層エレガントな印象になり、スタイリッシュに。
いつもの履き慣れた革靴の雰囲気が一変。
新鮮な気持ちで楽しめるようになります。
靴クリームやワックスの色を乗せるだけの手軽な方法なので、靴磨きに慣れてきた人はぜひともトライしてみてください。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました。
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。