馬のお尻の皮をなめして作られるコードバン。
コードバンの特長はなんといっても、とても美しいツヤと革自体の希少性。
馬の皮を表と裏から削り出してコードバン層を取り出す方法が宝石採掘に似ているため、「革の宝石」と呼ばれています。
コードバンから放たれる光沢はエレガントでドレッシー。
見る者を魅了する雰囲気をまとっています。
ただ一方で、コードバンは水に弱いという弱点も…。
比較的繊細な革であるコードバンのお手入れは、一般的な革である牛革よりも気を払う必要があります。
革の繊維が密に詰まっているコードバンのお手入れには、油分が浸透しやすい保革クリームを使うのも一つの手。
サフィールノワールのコードバン用靴クリームの「コードバンクリーム」はニートフットオイル配合による高い浸透性が特徴の保革クリームです。
本記事ではコードバンクリームの詳細と実際に靴磨きに使った様子について書きました。
コードバンクリームとは
コードバンクリームはシューケア用品ブランドのサフィールノワール(SAPHIR NOIR)にラインナップされている保革クリームの一種です。
コードバンクリームはその名の通り、コードバン用の保革クリームです。

製品名は「コードヴァンクリーム」ですが、この記事では一般的な表記である「コードバン」と統一していますのでご了承ください。
コードバン特有の上品なツヤや風合いを保つために処方された、ニートフットオイルとビーズワックスをベースとしたSaphir Noirのコードバン専用クリーム。
色のバリエーションはニュートラル、ブラック、コードヴァン(バーガンディ)、ダークブラウン、フォーンの5種類がラインナップ。
僕はどんな色にも使えるニュートラルを使っています。

コードバンの補色をしたい場合には、色付きのものがオススメです。
コードバンクリームは、繊細で美しいツヤを放つコードバンのケア用に適した成分を含んでいます。
その成分とは…
- ニートフットオイル
- ビーズワックス
ビーズワックスはサフィールの製品で、もはやおなじみのツヤ出しを担うロウ分です。
一方のニートフットオイルは、ビーズワックスほど耳なじみがないかもしれません。
実は、ニートフットオイルはコードバンの保革に適したオイルなのです。
その秘密はコードバンの構造にあります。

コードバンは繊維が密に詰まった構造
コードバンは皮革の線維が垂直の束状になっています。
一般的な牛などの皮革はコラーゲン繊維が絡み合いながら横に連なっているのに対して、コードバンは繊維が緻密に縦に並んでいる構造です。
そのため、コードバンには保革クリームが内部まで浸透しにくいのです。
かといって、革への浸透性が比較的高いデリケートクリームなどには、革への浸透を促進するために水分が多く含まれています。
先ほども述べた通り、水はコードバンの大敵。

水分が多い保革クリームを使うと、たちまちコードバンにシミができてしまいます。
そこで登場するのがコードバンクリームに含まれる「ニートフットオイル」です。
ニートフットオイルは革へ浸透しやすい
コードバンの繊維は緻密に配列されているため、油分が入りにくいですが、コードバンクリームに配合されているニートフットオイルは革に浸透しやすい特長があります。
ニートフットオイルはオレイン酸が主成分。
オレイン酸は美容液やスキンケアオイルとして使われるほど肌への浸透力があり、保湿効果が高いのです。
人の肌に良いのであれば、革に良いのも道理。
オレイン酸が豊富に含まれたニートフットオイルは、油分が革内部まで染み込みにくいコードバンでさえ、その奥まで浸透し、しっかりと保革を行ってくれます。
ニートフットオイルが含まれるサフィールノワールのコードバンクリームは、コードバンのお手入れに最適化されたクリームなのです。
コードバンクリームを使った靴磨き方法
ここからはコードバンクリームを使った靴磨きの方法について、ご説明していきます。
磨く靴はこちら。

シェットランドフォックスのウィンストン。
コードバンで作られた革靴です。

シミのようにできたスポットが多くみられます。
作業工程は以下の通りです。
- ホコリ落とし
- 汚れ落とし
- 革繊維を寝かせる
- コードバンクリームを塗る
- コードバンクリームを革へなじませる
- 余分なクリームを取り除く
- ツヤ出し
図で示しながら、一つ一つの手順を踏んでいきますね。
ホコリ落とし
まずは革靴のホコリを落とします。
外出した後の靴には思いのほか、ホコリがくっついているものです。
革の上に残ったホコリは、革内部の油分や水分を奪い取り、革がかさつく原因になります。
いわば大敵です。
ブラッシングによってホコリを取り除きます。

コードバンは比較的傷が付きやすい革種なので、ブラッシングには毛が柔らかな馬毛や山羊毛を使いましょう。
逆に、豚毛や化繊ブラシは毛が硬いため、コードバンには使わないほうが良いです。
汚れ落とし
続いては、コードバンに付着した水汚れや油汚れ、古い靴クリームなど、ブラッシングでは落としきれない汚れを落としていきます。
使用するのは靴クリーナー。
ですが、コードバンは水に弱いです…。
一般的な水性クリーナーは含まれる水の量が多いため、水シミとなってしまうかもしれません。
そこで登場するのが、サフィールノワールのレザーバームローション。

マイルドローションタイプの靴用クリームで、汚れ落とし・保革・ツヤ出しが同時にできる優れもの。
低刺激なクリーナーとして、コードバンにも安心して使えます。
レザーバームローションを汚れ落とし用クロスに付けて、コードバンを優しく、満遍なく拭き上げていきましょう。


軽いタッチでも十分、汚れや古い靴クリームを落とすことが可能です。

革繊維を寝かせる
コードバンは革の繊維を無理やり寝かせることで、美しい光沢を放っています。
しかし、コードバンの繊維は繊細で、水に濡れたり、どこかにぶつけたりすると、簡単に毛羽立ち、先ほどお見せした写真のように、シミのような跡となることがあります。
でも大丈夫。
毛羽立ったコードバン繊維は再度寝かしつけることが可能です。
そのために使うのが水牛の角。
水牛の角で作られたアビィ・レザースティックはコードバンの繊維を寝かせたり、レザーソールの毛羽立ちを抑えるために大活躍してくれます。
価格が高いのが玉に瑕ですが、美容グッズとして、安価な商品もあります。
水牛の角をコードバンに直接当て、力を入れて押し込みつつ、こすっていきます。

革の繊維を寝かせるイメージであらゆる方向から水牛の角をこすりつけましょう。
この操作は革が少し湿っている状態、つまり、靴クリーナーや靴クリームを使った後に行うと効果的です。
そのため、今回はレザーバームローションを使ってから実施しました。
コードバンにこすった跡が残りますが、問題ありません。

そのまま、次の工程に移りましょう。

コードバンクリームを塗る
いよいよ本記事の主役、コードバンクリームの登場です。
クリームを革靴に塗っていきます。
コードバンクリームを塗るときはクリーム塗布用ブラシがあると、手を汚さずに細かい箇所までクリームを行き渡らせることができるので便利です。
そのときも、革を傷つけないために馬毛のブラシを使います。

クリーム塗布用ブラシにコードバンクリームを少量取り…

コードバンに塗ります。

コードバンクリームを革へなじませる
コードバンクリームを満遍なく塗れたら、そのクリームをより革へとなじませます。
馬毛のブラシによるブラッシングでコードバンへのクリームなじみを促すのです。

クリーム塗布用ブラシは小回り重視で小さいブラシを使いましたが、この工程では別のブラシを使います。
クリームをなじませるためのブラシは一度に多くの面をブラッシングできるよう、比較的大き目のブラシを使うと、効率よく作業できます。

円を描くように、クルクルと優しくコードバンクリームをなじませていきましょう。
ホコリ落とし用ブラシとは別のブラシを使いましょう。
同じブラシを使うと、ブラシに付いたホコリが靴に付いてしまいます。
余分なクリームを取り除く
一通りブラッシングが終わったら、余分なコードバンクリームをクロスでふき取ります。
余分なクリームはべた付きの原因となって靴にホコリが付きやすくなったり、革の風合いを大きく損なわせることになりかねません。
必要最低限の油分と潤いを与えればOKなので、革の上に残ったクリームは取り除きましょう。

ササッと拭き上げた後は、最後の工程に移ります。

ツヤ出し
仕上げに山羊毛ブラシでブラッシングします。
とても柔らかい山羊毛は革のツヤ出し効果が高く、靴磨きの最後に使えば光沢を与えることができます。
山羊毛ブラシを使うときは、ごく少量の水を毛先に付けておくと、得られる輝きが強くなるのでオススメです。
もともとツヤ感のあるコードバンを山羊毛でブラッシングすることで、みずみずしい上品な輝きへと昇華するのです。
僕はブートブラックのフィニッシングブラシを使っていますが、割と高めの金額設定…。
フィニッシングブラシで得られる効果を踏まえれば、価格以上の価値があるのは間違いないですが、比較的安価な山羊毛ブラシもたくさんの種類が販売されています。
お好みの山羊毛ブラシを見つけてみてください。
ハンドラップでブラシに水を付けて…

ブラッシングは優しく。

コードバンのブラッシングはどの工程においても、円を描くように優しく行うのが吉です。
山羊毛ブラシで仕上げたら作業は終了。
革靴はこんな感じになりました。


コードバンの美しさが際立っています。

コードバンクリームで靴を磨いた結果
ここからは、コードバンクリームを使ったお手入れ前後で革靴の状態がどう変わったのか、比較してみます。

上が磨き前、下が磨き後です。
お手入れ前は水シミができ、光沢も鈍くなっていたコードバン。
しかし、コードバンクリームを使って磨いたことでコードバンのツヤが甦り、革本来の魅力が復活しています。
コードバンクリームに含まれるビーズワックスが光沢を与えると同時に、ニートフットオイルがコードバンの奥深くまで浸透するので保革作用もバッチリ。
定期的なお手入れをすることで、コードバンを美しく保てば靴を履くのも楽しくなるというもの。
革の乾燥も防げるので、コードバンが裂けてしまうことも予防できます。
コードヴァンクリームで馬革のツヤを保とう
本記事では、コードバン用ケアクリームである、サフィールノワールの「コードバンクリーム」についてご紹介しました。
コードバンへの栄養補給効果に優れたニートフットオイルと、光沢を与えるビーズワックスを主成分とするコードバンクリームは、コードバンの性質に合わせて最適化された保革・ツヤ出しクリームです。
コードバンは希少な革のため高価。
お手入れを怠って、コードバンが裂けてしまったり、汚れだらけになってしまったら、そんな貴重で美しい革も台無しです。
大事なコードバンを守り、美しく保つためにコードバンクリームで日々のお手入れをしてみてはいかがでしょうか?
それでは、今回はこの辺で。
少しでもご参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!










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