ドクターマーチン(Dr.Martens)の革靴を履いている人へ。
お手入れしていますか?
…。
ドクターマーチンの革靴はタフなつくりで、正直、お手入れしなくても長く履けます。
しかし、お手入れしないと汚れがたまり、美しさが損なわれます。
同時に、革の乾燥が進んでしなやかさが失われ、ひび割れが発生しやすくなることも…。
革靴をきれいな状態にキープすれば、履くときの気分が上がり、外出が楽しくなります。
せっかく上質なドクターマーチンの革靴を手に入れたのなら、靴磨きして良好なコンディションをキープしてあげましょう。
お手入れ前後で、ドクターマーチンの革靴の仕上がりはこれほど変わります。
ということで、本記事ではドクターマーチンの革靴をお手入れして革を良好な状態に保つ方法を解説します。
- ドクターマーチンの革靴にお手入れって必要?
- ドクターマーチンの革靴を長く履き続けたい
- ドクターマーチンの革靴をお手入れする方法が知りたい
ドクターマーチンの革靴をお手入れしないとどうなる?
ドクターマーチンの革靴はとてもタフ。
丈夫なアッパー(甲革)。
そして、歩きやすさを追求したバウンシングソールは、削られにくく、長く愛用できます。
ガシガシ履ける革靴です。
だからこそ、日々のお手入れは大事。
履く機会の多い靴ほど汚れが付きやすいのはもちろん、不意の雨に濡れることも多く、革の乾燥が進みがち…。
お手入れしていないと汚れが蓄積。
革がカサカサに乾燥します。
ガシガシ履けるタフなドクターマーチンの革靴だからこそ、定期的にお手入れしないと、靴のコンディションがどんどん悪化。
本来の靴の寿命を大幅に縮めてしまうのです。
ドクターマーチンの革靴はタフなつくりゆえ、お手入れしなくても良いと思いがち。
実際、お手入れしなくても他の一般的な革靴よりも長く履けます。
例えば、こちらのモデル1461。
8ホールスタイルのワークブーツである「1460」のローカットバージョン。
3ホールタイプの短靴が「1461」です。
短靴はアッパーに分厚いフルグレインレザーを使用しており、めちゃくちゃ丈夫。
ですが、日々のお手入れを欠かさなければ、革靴の寿命がさらに延び、末永く愛用できるようになります。
しばらく履き続けたドクターマーチンの革靴の状態を確認
今、手元にお手入れなしで1ヶ月ほどヘビロテしたドクターマーチンの革靴があるので、お見せしますね。
ご覧の通り、汚れが目立ちます。
どれどれ。
革の質感は…。
丈夫な革なので、ヘビロテしてもなんてことない表情をしています。
しかし、ここで高を括ってしまうと危ないです。
半年、1年とノーメンテで履き続けると、いくら丈夫なドクターマーチンの革靴とはいえ、ヘタってきます。
革の乾燥が進み、しなやかさが失われるのです。
タフなドクターマーチンの革靴についつい甘えてしまいそうになりますが、その思いを振り切ってお手入れすると、革靴を美しく長く愛用できます。
ドクターマーチンの革靴をお手入れする方法
さて。
ここからはドクターマーチンの革靴をお手入れして、コンディションを整える方法を紹介します。
平たく言うと、ドクターマーチンの靴を磨きます。
先ほどお見せしたモデル「1461」を磨く様子を図で追いながらお見せしますね。
手順は次の通り。
- ホコリを落とす
- 汚れを落とす
- 栄養クリームを塗る
- 栄養クリームをなじませる
- 補色クリームを塗る
- 補色クリームをなじませる
- 余分なクリームを拭き取る
- ワックスを塗る
- 磨く
- ブラッシングで仕上げる
ホコリを落とす
まずは、革靴のホコリを落とします。
ホコリが付いたまま放っておくと、革の水分や油分がどんどん吸い取られてしまいます。
また、お手入れで使う靴クリームの浸透を妨げてしまうため、ホコリはキッチリ落としておきましょう。
馬毛ブラシでブラッシングします。
毛先が細い馬の毛は、革靴の細かい部分に入り込んだホコリをかき出すのに最適です。
手首のスナップを効かせ、ホコリを払い落とすイメージでブラッシングしましょう。
ちなみに、使っているのはブートブラック(Boot Black)の馬毛ブラシです。
汚れを落とす
続いて、靴に付いた汚れを落とします。
ガシガシ履く靴ほど、水汚れや油汚れが付着しやすいです。
汚れた靴は靴クリーナーでクリーニングします。
今回使うクリーナーはM.モゥブレィのステインリムーバー。
ステインリムーバーをクロスに浸みこませて…
革靴を拭いていきます。
アッパーだけでなく、ついでにソールのコバ部分もフキフキ。
コバをきれいにしておくと、靴の雰囲気が引き締まります。
定期的にクリーニングするのがオススメです。
どの程度汚れが落ちるのかをお見せしますね。
こちらのまっさらなクロス。
クリーナーを付けて拭くと…
はい、ドン。
意外と汚れていますね。
一見、きれいに見える部分でもクリーニングしてみると、
- 実は汚れが付いていた
というのは、ありがちです。
革靴全体を靴クリーナーで余すことなくクリーニングしましょう。
栄養クリームを塗る
汚れを落とした後は、革に栄養を与える工程に移ります。
栄養補給に使うのは、サフィールノワール(SAPHIR NOIR)のレノベイタークリーム。
レノベイタークリームを、クリーム塗布用ブラシのペネトレィトブラシに少量付け…
革に塗ります。
小型ブラシのペネトレィトブラシは小回りが利き、栄養クリームを靴の隅々まで行き渡らせるのに便利。
アッパー全体に満遍なく塗っていきましょう。
栄養クリームをなじませる
次に、先ほど革靴に塗った栄養クリームをなじませます。
豚毛ブラシでブラッシング。
革にクリームをすり込むイメージで、力強くブラシ掛けしましょう。
豚毛ブラシを使う理由として、豚毛はコシが強く、クリームを塗り伸ばす効果が高いから。
余分な栄養クリームを毛先に付けて、革上にクリームを残さない意味合いもあります。
補色クリームを塗る
この工程では、革への色乗せを実施します。
使うのはブートブラック(Boot Black)のアーティストパレット。
先ほど塗ったレノベイタークリームは、革に栄養を与えるのがメインの役割でした。
一方、アーティストパレットは革に色を付け、革の風合いに変化を付けるために使います。
革靴の雰囲気を変えたいときにおすすめです。
革の色あせが気になる場合、革靴と同系色の靴クリームを使えば、きれいに補色できますよ。
革に栄養を与えるだけで十分だという人は、この工程は飛ばして構いません。
アーティストパレットも革への栄養補給効果がありますので、
- レノベイタークリーム
- アーティストパレット
どちらか一方を使うだけでもシューケアは可能です。
アーティストパレットをペネトレイトブラシに付けて…
クリームを革に塗ります。
色付きの靴クリームは色が混ざるのを避けるため、色ごとに使うブラシを分けるのをオススメします。
補色クリームをなじませる
先ほどの栄養クリーム工程と同じように、補色クリームもまた、ブラシでなじませます。
色付きクリームは塗りムラがあると、外に出て日の光にあたったときに悪目立ちしてしまいます。
ブラシでキッチリ均しておきましょう。
ブラッシングによってクリームの均一性が高まると、ツヤが出て一気にエレガントな印象が高まります。
余分なクリームを拭き取る
クリームを均した後は、クロスで余分なクリームを拭き取ります。
指に巻きつけたクロスで、アッパーをフキフキ。
余分なクリームが革に残っているとべた付きの原因になり、ホコリや汚れが付きやすくなります。
クロスで拭いたときに引っ掛かりがあるなら、革にクリームが残っている証拠です。
スルスル滑るような感触になるまで、クロスで拭いていきます。
現時点での仕上がりはこのように。
続いて、革靴の美しさを際立たせる作業をしていきますね。
ワックスを塗る
いよいよ仕上げの段階に入ってきました。
ワックスを塗って革にツヤを出します。
今回は、革をガッツリ光らせるための、
- 鏡面磨き
ではなく、薄くワックスを塗って控えめなツヤを出すにとどめます。
気分によって、どう仕上げるかを変えられるのも靴磨きの面白いところです。
サフィールノワール(SAPHIR NOIR)のビーズワックスポリッシュで革にツヤを出していきますよ。
有色のワックスもありますが、先ほどアーティストパレットで色を乗せたこともあり、ワックスには無色(ニュートラル)を使います。
指に直接ワックスを付けて、ツヤを与えたいところに塗ります。
つま先部分や…
靴のサイド、かかとなど、ぐるっと一周、薄くワックスを塗りました。
塗り重ねるほど、ツヤは強くなります。僕は控えめなツヤにしたいため一層だけ塗りましたが、お好みで調節してみてください。
履きジワ付近など、革が曲がる部分にワックスを塗ると、油膜がひび割れて見映えが悪くなる場合があります。
歩いたときに負荷がかかりやすい場所には、ワックスを塗らないようにしましょう。
ツヤを出したいところにワックスを塗り終えたら、10分程度時間を置き、ワックスを乾燥させましょう。
乾燥時間をしっかり設けることが光らせるコツの1つです。
磨く
続いて、ワックスを塗った部分をクロスで磨きます。
ワックスは磨くことで、はじめてツヤが生まれます。
磨き工程はとても重要です。
まず、きめの細かいコットンを使った磨き用クロスを指に巻きつけ、ハンドラップでクロスに少量の水を浸みこませます。
ツヤを出すために、ワックスを水砥ぎするからです。
そして、クロスでワックスをポンポンと軽くたたき、気持ち程度のワックスをクロスに付けます。
ほんのわずかなワックスをクロスに乗せるイメージです。
ワックスを塗った部分をクロスで磨きます。
円を描くようにクルクルと。
力は要りません。
あくまで滑らせるように磨きましょう。
磨き続けると、ツヤが出てきます。
ワックスのなじみが不十分な場合、ワックスがウロコ状に表れるはず。
ウロコ状の模様が現れなくなったら、ワックスがなじんだ証拠なので、最後の作業に移りましょう。
ブラッシングで仕上げる
仕上げとして、山羊毛ブラシでブラッシングして、ワックスをなじませます。
ワックスを塗った部分と塗っていない部分の境目をあいまいにして、より自然な仕上がりにするのが目的です。
山羊毛はとても細かな毛先で、ワックスや靴クリームの成分をミクロレベルで均してくれます。
山羊毛ブラシで磨くと、ツヤが強まりエレガントな雰囲気を高められるのです。
ブートブラック(Boot Black)の山羊毛ブラシで革靴を仕上げていきますね。
ワックスを磨くときに使ったハンドラップが、ここでも登場。
山羊毛ブラシに少量の水を付けておくと、ワックスや靴クリームの成分を均しやすくなるからです。
ブラシに付ける水量は、ごくごくわずか。
水滴一滴にも満たない量で十分です。
そして、ブラッシング。
山羊毛のブラッシングは優しく。
ワックスの磨き作業同様に、円を描くように優しくブラシ掛けしましょう。
アッパー全体をブラッシングしたら、これにて全工程が終了です。
ドクターマーチンの革靴の仕上がりはこちら。
ピカピカになりました。
革の美しさが引き立つ仕上がりです。
汚れもきれいさっぱり。
美しいですね。
ドクターマーチンの革靴をお手入れ前後で比較
ここでは、靴のお手入れの効果をより分かりやすくお示しします。
お手入れ前とお手入れ後で、ドクターマーチンの革靴の見た目がどれほど変わったかを比較してみますね。
上が手入れ前、下が手入れ後です。
違いは一目瞭然。
ケアした後は靴の美しさが際立っていますね。
横からの図も。
ワックスの控えめな光沢が良い味出しています。
汚れやすいつま先部分は、特にお手入れの効果を実感できます。
ガシガシ履いた後の、汚れが付いた革靴の雰囲気もまた、それはそれで趣があります。
しかし、やはりピカピカの革靴を見るのは気持ちの良いものです。
見るものを魅了するエレガントさが素晴らしいですね。
革に栄養が補給され、色あせた部分も補色済み。
日頃からヘビロテする革靴だからこそ、定期的にお手入れしてコンディションを整えてあげましょう。
タフなドクターマーチンの革靴とはいえ、お手入れは大事です。
ドクターマーチンの革靴をお手入れしないのはあり得ない
本記事ではドクターマーチンの革靴をお手入れする方法について紹介しました。
ドクターマーチンの革靴はガシガシ履けるタフさが魅力の1つ。
丈夫な作りで、ヘビロテしても何てことない堅牢さがあります。
ついつい、
と考えがちですが、決してそんなことはなく。
履き続けるうちに汚れが付き、美しさが損なわれます。
また、革の乾燥が徐々に進み、しなやかさが失われ、深い履きジワや亀裂が入ってしまうことも…。
しかし、お手入れすると汚れが落ち、美しさが復活。
革にしなやかさが戻り、靴の寿命が劇的に延びます。
- 汚れが気になってきた…
- 革がカサついてきたな…
と感じたら、お気に入りのドクターマーチンの革靴をケアしてあげましょう。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。