革製品を使っていくと直面する問題…。
それは,使っていくうちに黒ずみができてしまうこと。
革の黒ずみは淡い色味の革ほど目立ち、革本来の美しさを損ねてしまいます。
個人的に、革を使っていくうちに風合いが変わっていく「経年変化」と「黒ずみ」は分けて考えたいところ。
黒ずみは解消しておきたいと思うのです。
僕が普段愛用している、革製の手帳カバーも黒ずみが目立ってきたので何とかしたい…。
ということで、本記事では革製手帳カバーに発生した黒ずみ問題を解消する方法を紹介します。
- 革製品の黒ずみが目立ってきた…
- 革の黒ずみが全然落ちない…
そんな人は読んでみてください。
具体的には、黒ずみ箇所を補色剤で覆う方法です。
革が黒ずむ原因は?
革という素材は非常に丈夫なだけに、僕たちの生活に欠かせない製品に数多く使われています。
日常生活で毎日のように使う革製品たち…。
だからこそ汚れやすいという側面も持ちます。
ホコリや手垢、汗などで革が汚れていってしまいます。
大抵の汚れは汚れ落とし用のクリームでケアしてあげれば、きれいさっぱり除去できるわけですが、厄介な汚れもあります。
それは革の黒ずみ。
革の黒ずみは、ちょっとやそっとじゃ落ちない頑固な汚れ。
革の黒ずみに悩んでいる人は少なくないです。
落ちない革の黒ずみ汚れ
では、革の黒ずみが発生する原因は何なのでしょうか?
それは革内部に含まれているタンニン(渋)が黒く変色してしまうことにあります。
革の黒ずみをクリーナーを使って、いくら拭いても落ちないのは当然なのです。
革が内部から変色してしまっているのですからね。
黒ずみの正体はタンニン鉄。
手垢や汗にはごく少量の鉄が含まれています。
その鉄が、革中のタンニンと反応してタンニン鉄を生成、革が黒ずむというメカニズム。
- タンニン:皮を革へとなめす際に使われる植物性のなめし剤。
革の黒ずみ対処法
革の黒ずみに対する措置はいくつかあります。
代表的なのは、クエン酸などの酸によってタンニン鉄から鉄を脱離させる方法です。
革を洗うのは面倒
クエン酸を含んだ革の黒ずみ用の洗剤も販売されています。
ただ、革製品を洗剤で洗おうとすると手間がかかるのも事実。
- 革を洗う手間
- 革を乾燥させる手間
- 革を保革する手間
革を洗うことは効果抜群ですが、まとまった時間が必要。
重い腰が上がらないということも…。
しかも、革の奥深くまで黒ずみが進行している場合、革を洗っても黒ずみが残ることもあり、黒ずみを確実に落とし切れるかというと微妙なところ。
黒ずみが落ちないからといって革をゴシゴシこすると、革自体を傷めることにもなりかねません。
ただ、革の黒ずみへの対処方法は、革を洗うことのみではないのです。
別の角度から対処する方法もあります。
黒ずみ箇所を補色して黒ずみを隠す
革の黒ずみ対策としての別角度からの手段とは、
革を補色する
こと。
革の黒ずみの上から色を乗せれば、黒ずみを覆い隠すことが可能に。
補色するだけなら操作も簡単。
お手軽に革の黒ずみへの対処をすることができます。
面倒な洗浄操作は必要ありません。
補色クリームで革の黒ずみをカバー
革の黒ずみを補色するためには補色クリームが必要。
僕が普段から愛用しているのはサフィールのレノベイティングカラー補修クリームです。
レノベイティングカラー補修クリームとは
レノベイティングカラー補修クリームは、スムース革製品全般に使用可能な革用補色クリーム。
色だけでなくキズをカバーする効果もあり、色落ちの心配もない、優れた補色特性を持ちます。
他の色と混ぜて、色の調節もできる便利な補色剤です。
レノベイティングカラー補修クリームは革の黒ずみ対策としてもバッチリ機能します。
革手帳カバーの黒ずみを補色してみる
ここからは実際に、レノベイティングカラー補修クリームを使った革の黒ずみ補色をやってみます。
方法はいたって簡単。
- 革の汚れを落とす
- レノベイティングカラー補修クリームの色を調節する
- 補色したい箇所にクリームを塗る
- クリームを乾燥させる
- 乾拭きする
そして今回、革の黒ずみを解消させようと試みるのはこちらの革製品。
ダヴィンチの革手帳カバーです。
革手帳カバー真ん中の折りたたみ部分の黒ずみが大きく目立ち、外周部分のコバも色落ちが進んでいる箇所があります。
黒ずみの発生・色あせが進行している箇所を補色クリームで着色していきますよ。
革の汚れを落とす
補色の前には革の汚れを落とすことが必要です。
というのも、革の上にホコリや油汚れなどが付いていると補色クリームが上手く塗れなかったり、色が定着しなかったりと、何かと不具合が生じる可能性があります。
補色の事前準備として、ホコリや油汚れを落としておきましょう。
まずはホコリを落とすため、豚毛ブラシでブラッシングします。
手首のスナップを利かせて、革表面に付着したホコリを払い落としましょう。
続いて、革表面の汚れを落とします。
汚れを落とすために使用するのは、こちらのレザーケア用クリーム。
コロニルのデリケートクリーム。
名称こそデリケートクリームですが、革を傷めずに汚れ落としができるクリーナーです。
デリケートクリームを使うときには、指に汚れ落とし用のクロスを巻き付け…
デリケートクリームをクロスに付けます。
そして、革全体を優しく拭き、汚れを落としていきます。
デリケートクリームの作用で革に付着していた汚れが浮き上がるため、その浮いた汚れをクロスで拭き取っていくのです。
クリーム使用後はクロスに色が付き、汚れを落とせていることがわかります。
その後、クロスで乾拭きして余分なデリケートクリームを取り除いたら、補色のための事前準備は完了。
ここまでできたら、革の黒ずみ箇所を補色する工程に移ります。
レノベイティングカラー補修クリームの色を調節する
革を補色するにあたり、元々の革の色に合わせて補色剤の色を調節する必要があります。
今回、補色に使用するのはサフィールのレノベイティングカラー補修クリーム。
絵の具のように混ぜ合わせるだけで色を調節できる、便利な補色クリームです。
使用する色は「ブラウン」と「フォーン」。
ブラウンをベースに、フォーンの明るさを足して革手帳カバーの色味を再現していきます。
- サフィールのレノベイティングカラー補修クリームは色の種類が豊富(40色以上)なので、革に合う色が合えばそちらを使うことをおすすめします。
色の調節をせずに済むのなら、それに越したことはありませんからね。
プラ板の上に補色クリームを出し、筆でそれぞれの色を混ぜ合わせます。
プラ板を使うのは、使用後に洗うのが楽だからです。
絵の具用のパレット等、プラスチック素材を使用すると補色クリームがこびり付かず、片付けが楽になります。
作業に戻って…、混ぜ混ぜ。
これから補色する元々の革の色を再現できたら、次の作業に移ります。
補色したい箇所にクリームを塗る
いよいよ塗りの工程。
黒ずみができている箇所に補色クリームを塗っていきます。
今回のような細かい箇所の補色をするときは、細い筆を使うと小回りが利いて便利です。
革の黒ずみを覆い隠すように満遍なくクリームを塗ります。
コバ部分は、こすれなどによって革の色あせが発生しやすい箇所。
黒ずみだけでなく、色あせ箇所もついでに補色しておきます。
補色作業後の革手帳カバーの全体図はこのように。
補色クリームによって、革の黒ずみがカバーできていますね。
クリームを乾燥させる
レノベイティングカラー補修クリームを塗った後は、クリームが完全に乾くまでしばらく待ちます。
乾拭きする
最後にクロスで乾拭きすれば、全工程終了です。
磨き上げる気持ちでクロスを走らせましょう。
革の黒ずみ補色後の状態を確認
補色後の仕上がりはこのような状態になりました。
黒ずみを補色クリームでカバーすることができました。
わかりやすいように補色クリームを塗る前・後で比較してみましょう。
ビフォー・アフターの差は明らか。
まだら模様にできていた革の黒ずみが補色クリームを塗ることで見えなくなりました。
厄介な頑固な黒ずみは補色クリームでお手軽にケアしてみるのも1つの手ですよ。
革製品をきれいに保てば気分も高揚
本記事では、革手帳カバーにできてしまった黒ずみを補色クリームでカバーする方法と、その仕上がりを紹介しました。
中々落ちない革の頑固な黒ずみ汚れを無理に取り除こうとしても、却って革を痛めてしまうことにもなりかねません。
黒ずんだ箇所に補色クリームを塗ってあげれば、黒ずみをカバーして革の美しさを保つことができます。
塗るだけ簡単の補色クリームを使った革の黒ずみ対策。
是非お試しいただければと思います。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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