そんな衝動が抑えきれなくなってきたので靴を磨きます。
てな話になりますが…。
最近は黒い靴を履きたい欲求が強く、少しご無沙汰だったオールデン(Alden)の975。
オールデンのロングウィングチップをお手入れしようかなと。
ピカピカにして近々の次回の登板に備えてもらうことに。
カラーはブランド定番のNo.8「バーガンディ」です。
本記事ではオールデン(Alden)975ロングウィングチップのバーガンディ色のケア方法を実践形式で解説します。
オールデンのコードバン靴
オールデンとはアメリカの靴メーカー。
オールデンの代名詞ともいえるコードバンの美しさにはため息が出るほど。
僕は出張でアメリカに行った際に手に入れたのですが、真っ先にオールデンを買いに行きました。
なぜなら、日本で買うより安いから。
関税恐るべし。
え?
買った後ですか?
出張の仕事は蛇足です。
会社には大変申し訳なく思っております。(棒読み)
下図がそのときに撮った写真。
色はNo.8といわれるバーガンディ。
ワインレッドに少し茶色身を加えたような味わい深い色味で、とても惹かれます。
我慢できずに宿泊先のホテルで開封し、写真をパチリと。
このときのテンションはもう凄かったです。
リアルに、
状態でした。
革靴を好きな人ならこの感覚、ご理解いただけるかと。
それからの溺愛の日々は筆舌に尽くしがたいものがあります。
この記事ではそんな我が子をお手入れしていきますよ。
コードバン靴の磨き方
それでは、現在のオールデン975の様子です。
アッパーの履きジワが良い感じ。
コードバンのシワは独特の波打つようなうねりとして現れるので牛革の靴とは違う雰囲気が出て、新鮮です。
普段のブラッシングはしているものの、そろそろ革のくもりが気になります。
磨く手順としては以下の通り。
- ホコリ落とし
- 古いクリームと汚れを除去
- クリーム塗布
- 革の毛羽立ちを抑える
- 塗布したクリームを馴染ませる
- 磨き上げる
手順を列挙するだけでテンション上がってきます。
ホコリ落とし
まずは靴紐を外して、馬毛ブラシでブラッシングしていきます。
紐を外す時もこれまでの働きを労いつつ、丁寧にすることを僕のモットーとしています。
ホコリが溜まりやすい羽根とタンの間、ウェルト部分の隙間も入念に。
ホコリは革靴の大敵です。
徹底的に除去していきましょう。
汚れを除去
続いて、サフィールノワールのレザーバームローションで古い靴クリームや履いている間に付着した汚れを落としていきます。
モゥブレィのステインクリーナーでも良いのですが…。
水性クリーナーということもあり、コードバンが水の付着で毛羽立ちやすいということを踏まえると、ついついレザーバームローションに手が伸びがちです。
あまり付けすぎるとベタついてしまいます。
そのため、少量とって薄く伸ばし、足りなければ再度付け足しながら作業します。
クロスに付けたローションでフキフキと。
優しく汚れを落としましょう。
クリーム塗布
汚れ落としが終わったら、クリームを塗ります。
今回使用する靴クリームはこれ。
サフィールノワール(SAPIR NOIR)のコードバンクリームです。
このクリームは名前の通り、コードバン革専用のクリーム。
保革・栄養効果の高いニートフットオイル(牛脚油)配合との記載があり、高い保革・栄養効果が期待できます。
コードバン特有の独特な風合いを保つのに適しているクリームなのです。
そして、クリームを塗る際に使うブラシなのですが…。
牛革の靴の場合は豚毛のブラシを使いますよね?
コードバンの革は比較的繊細で銀面の毛羽立ちが起こりやすいため、より毛が柔らかい、
- 馬毛のブラシ
を使用します。
今回のクリーム塗布にも、馬毛のペネトレィトブラシを使用。
少量のクリームをブラシにとって…
アッパーに塗ります。
優しく円を描くように、アッパー全体に満遍なくクリームを塗ったら次の工程に移ります。
革の繊維を寝かす
クリームを塗り終わったら、アビィ・レザースティックを使ってコードバン革の銀浮き(毛羽立ち)を解消します。
レザースティックを使って、アッパーの銀浮きが気になる箇所を押し込むようにこすり、革の繊維を寝かせていきます。
また、下の写真の赤枠のようにアッパーの傷が付いてしまっている箇所にも有効です。
こういった箇所をスティックでこすっていきます。
あまり力を入れすぎず、こするときに少し抵抗がある程度の力で縦、横、ななめというように色々な角度から革を寝かせていくイメージで作業するのがおすすめ。
スティック掛け後の様子がこちらです。
傷が目立たなくなっているのがお分かりでしょうか?
こすった箇所が白くなりますが、問題ありません。
なぜかというと、次の工程のブラッシングで驚くほどの輝きが生まれるからです。
ブラッシング
続いて、クリームをなじませるためのブラッシングです。
クリームの塗布で馬毛のブラシを使用したように、こちらでも馬毛のブラシを使用します。
こちらはサフィール(SAPHIR)のポリッシャーホースヘアブラシ。
名前の通り、仕上げに持って来いの馬毛ブラシです。
このブラシでコードバン革を円を描くようにブラッシングします。
このブラシは持ち手が丸いので持ちやすく、手にフィットする感じがとても好きで大のお気に入りです。
クロスで磨く
ブラッシング後はポリッシングクロスで余分な靴クリームを拭き取るとともに磨き上げます。
靴クリームを塗りすぎていると、すべりが悪く引っ掛かりがあります。
その際には、クロスの引っ掛かりが無くなってすべりが良くなるまで磨き上げましょう。
そうするとこんな感じに。
ピカピカですねー。
これで終わり…。
ではありません!
山羊毛ブラッシング
最後に、もう1度ブラッシングを行います。
ホコリ落としと靴クリームをなじませるために馬毛ブラシを使用しましたが、今回は山羊毛ブラシを使用します。
コードバンクリームは通常の靴クリームより油分が多いので、毛に水を付けて磨くことでクリームをよりなじませられます。
ワックスで靴を磨き上げる際に水を使用するのと同じ感覚です。
ブラシに直接、ハンドラップで水を付けて…
ブラシで磨きます。
じっくり優しく、丹精込めてブラッシングします。
そして仕上がりがこちら。
革にツヤがあるのはもちろんなんですが、みずみずしい質感を醸し出しています。
これですよ。
この感覚が欲しくて僕は靴を磨いています。
靴磨きフィニッシュ
靴紐を付けたら完成です。
ツヤツヤ。
そう感じます。
オールデンの靴は洗練されているけれど無骨感もあるような。
そんな矛盾すら感じる、何とも形容しがたい素敵な雰囲気を漂わせています。
オールデンの975を磨いていると、オールデンの持つ格好良い雰囲気を僕まで身にまとえるような気になって、とてもテンションが上がるのです。
では最後に…。
磨き前後の比較画像を。
左が磨き前。
右が磨き後です。
磨いた後は革がより深い輝きを放っているのがわかります。
コードバン革は繊細で取り扱いが難しいといわれることが多いです。
実際、水に濡れるとすぐに銀浮きして革が白くなってしまうことも…。
雨の日に履くと、すぐに見た目が変わってしまいます。
そのため、デリケートな印象をより強く感じてしまい、牛革よりも気を遣うのは間違いないでしょう。
ただ、今回のようにしっかりケアをすれば、よっぽどひどい状況でない限り革のツヤを取り戻せます。
ケア自体も簡単。
手順としては牛革の靴と極端に異なる点もありません。
気負わず、コードバンの靴磨きをしてみてください。
それでは、今回はこの辺で。
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました!
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大事な革靴を劣化させないために靴を磨いてコンディションを整えるのがおすすめです。